LoveLight! Online!!アーカイブで楽しむSaint Snowの照明演出!

こちらの記事はSaint Snow 1st GIG ~Welcome to Dazzling White Town~ Day2のネタバレを含みますので、事前情報なしでライブを楽しみたいという方はブラウザバックを推奨します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 みなさま大変ご無沙汰しております。まさけです。この記事が初めてだよという方ははじめまして、まさけと申します。

 

 本日11月8日は僕ラブ27の開催日でもありまして、読者の方の中にももしかしたらイベントに足を運んでくださった方がいるかもしれませんね。改めて僕ラブお疲れ様でした。

 

 コロナウイルス感染症が世界を巻き込む大流行を起こす中、様々なイベントが延期、そしてやがては中止されていく中、ライブもその例に漏れずUnit Live AdventureがAZALEAの回を終えずしてやむなく幕を閉じてしまった時は私も大変心を痛めました。照明ブログを書こうにもライブがないので書くこともできないという日が続き、気がつけば最後の記事から9ヶ月あまりが経ちました。

 

 そんな中、小規模ながらも開催をした僕ラブに参加するたび、以前刊行したAqours 4thライブのブルーレイと一緒に楽しむ照明考察本を手に取ってくれる人がいたことは、非常に大きな心の支えになりました。改めて心より感謝を申し上げます。

 

 さて、未だコロナウイルスは猛威を奮っていますが、一方で感染拡大に配慮しつつもライブイベントが開催されるようになり、オンライン配信、アーカイブ視聴のような新たな鑑賞様式も生まれまして、ついにライブを見れるようになりました。アーカイブが視聴できるため、今回の私のように僕ラブなどのイベントとライブが被っていたとしても後から見ることができる、これは革新的だなと思う次第です。

 

 そして何より、アーカイブで見られるのなら、旬なライブの照明演出を話しても後から確認できるじゃないかということに気が付きまして、今回久しぶりに筆を取りました。これまでこのブログを読んでくださった方々も、この記事から初めてこのブログに触れる方も、この記事を読んだ後にライブを再試聴することがあるならば、その時は自分なりの演出の解釈が形作られる喜びを感じていただければと思います。

 

 少し感傷的に前置きを長くし過ぎてしまいました。本題の照明演出の話に移るとしましょう!今回はライブパートの中で特に印象的だった照明演出と自分の感想を、主に時系列順に話して行こうと思います。

 

 

 

1. Saint Snowムービー、からの登場

 

 時系列順の序列第一位は登場シーンですね!すでにユニットライブ等でもお馴染みとなった登場時の期待感を盛り上げる演出。楽曲をアレンジしたサウンドトラックにセンタースクリーンの映像、そして照明。毎度毎度どのユニットも大好きなんですが、ギルキスとSaint Snowはここがめちゃくちゃかっこいいんですよね。

 

 Saint Snowの今回の登場では、メインステージの階段上と階段下、それぞれの左右に設置されたレーザー装置から放射状に放たれた白い光が互いに交差して、パースのかかったアーガイルのような模様を作るんですが、これがめちゃくちゃカッコよかった。レーザーのくっきりして直線的な光ってとても硬くて冷たい印象を受けるので、Saint Snowのようなハードな曲を特徴としていて、名前に雪を冠するグループにはぴったりだと思うんですよね。例えるなら、雪の結晶が規則正しくまっすぐ枝を伸ばすような印象とでも言いましょうか。

 

 そこからさらにピンクと水色の光を画面に足して、Believe Againを思いっきり意識させてきます。この配色が加わることでSaint Snowくるぞ!っていう期待感が高まりますよね。さらに掛け声に合わせてレーザーを点滅させる演出も加わって、ますます期待感を煽っていく。この手拍子や掛け声を煽るのは通常大光量のハロゲンライトなんかを使うよね〜と思いますが、ここをレーザーに変えてきたのは、新しさもかっこよさも両立していてとてもテンションが上がりました。

 

 

2. White Dazzling Town

 

 セトリの一曲目、そして最後の曲でもあるわけですが、White Dazzling Townの照明も印象的でした。冒頭の照明の色が黄色と紫、それだけで、今までのSaint Snow 楽曲では使われなかった色だと思い、新曲という印象が一気に強まりました。この配色はMVのシーンの配色を意識していると思うので、もしかしたら紫についてはカメラの角度の関係でピンクのライトが紫に見えていたのかもしれません。

 

 しかし、私はむしろ紫だった説を推したい。これは完全に自分の願望なんですが、ラブライブサンシャインのライブイベントで黄色と紫の組み合わせには心当たりがあるんですね。そうその通り、アニサマでやる青空Jumping Heartの照明の配色と同じなんです!青ジャンといえばアニメ一期のオープニングですし、アニサマは言わずと知れた大型ライブイベントですよね。今回のライブはSaint Snowの初めてのライブですし、観客を会場に動員した上でのライブです。だからこそ、物語のはじまりというイメージや観客の存在を意識づけられると、結びつけずにはいられないわけです。

 

 冒頭以降の照明演出でいえば、サビのところで階段上からのレーザーが帯状に広がってステージへ照り付けていましたね。高い場所から打ち下ろすよようなレーザーはラブライブでは比較的新しい演出だと思っていて、ラブライブフェスの果林先輩のパフォーマンスでありましたね。そこでの経験を踏まえているところも過去のパフォーマンスとのつながりを感じて、ラブライブは途切れてなんかいなかったんだという気持ちにさせられました。

 

 またサビ?の「始まれこの場所から」のところに来るとメインステージの前の際に置かれたスポットライトから黄色とピンクをメインにカラフルな光が放たれるんですが、この中に一筋、青色の光も混じっていました。一筋だけ青が混ざっているという光景は(私の記憶が正しければ)4thの想いよ一つになれで似たような演出があったなと思って、これまたステージにはSaint Snowの二人しかいないとしても、Aqoursの9人もまたステージ上の彼女らを応援し支えているんだろうという気がして、素晴らしい構成だなと思いました。

 

3. Crash Mind, Dropout

 

  続いてはアニメ挿入歌よりこの2曲。どちらも赤、青、白の三色を基調とした配色で、Crash Mindではこれに加えてセンターモニターに映ったフレーム映像も加わった画面になっていました。赤青白はラブライブのコンサートでもよく使われる組み合わせではありますが、Saint Snowに関していえばSelf Controlの照明はアニメ映像の時からこの配色ですね。それゆえにSaint Snowが、もっといえば鹿角理亞が転機を迎えるAwaken the PowerやBelieve Again以前という印象が際立つ配色でもあります。今回の二曲はまさにそこを意識しての構成のように思えました。

 

 しかしこの配色はハードな曲調の曲によく用いられている組み合わせで、Strawberry TrapperやLoveless Worldでも使われています。それもあって、特にDropoutとの相性が非常に良くて、Self Controlとの繋がりとかそういう部分を抜きにしても、シンプルにかっこいいという良さがありました。照明はあくまで盛り立て役。キャストのパフォーマンスの魅力を最大限まで引き上げることこそ第一目的であることを考えると、この配色は二重に構えられたとてもいい演出だと感じます。

 

 

4. Lonly Snow Planet

 トークパートを終えての一曲目がLonely Snow Planetでした。この曲の照明は非常にシンプル。ほぼ貫徹して白一色。これは曲を聞かせる演出だと考えてもいいでしょう。実際歌詞がとてもいい曲ですから、非常に正しい選択です。ライトが動いたり点滅したりと、他に気を引く要素がないからこそ、歌詞の魅力が最大限引き立つというのは引き算の美学って感じですよね。

 

 その上で、やはり白という色を選んだのには理由がありそうだとも思います。白のライトはいろんな解釈に繋がりますが、今回は読者の皆さんもすでに想像がついていることでしょう、すなわちこれから何色にでも染まりうる色としての白だと思います。歌詞を見れば、次なる世界、次なる未来、新しい私へという言葉が入っていますし、本を開く振り付けもありました。まさにこの照明の白は、そうした新しい世界に触れる直前の純粋に白紙の状態と言えるでしょう。

 

 これにはやはり5thライブのことが関わっているのだろうと思います。劇場版の曲を惜しみなく披露した5thライブは、多くの人にとってAqoursというグループがアニメという一つの物語のくびきから離れていく印象を与えたことでしょう。そしてそれを裏付けるように、続いて発表されたユニットシングルではそれまでのユニット像を少し覆すような要素が混ざり、ソロアルバムの曲のPVではこれまでとは異なるクリエイターによる映像が付けられています。そして今回の1st GIGのセトリは常に始めと終わりの曲がDazzling White Town、これはユニットライブの時から作られた一種の型を踏襲していますから、このライブもまた新しいラブライブサンシャインプロジェクトの流れの中にあると見るべきなのでしょう。そのように考えると、私がかつてNew Romantic SailorsのライブにAqoursの新たな門出を見たように、このライブもまたSaint Snowというグループの新たな門出を象徴しているのだろうと感じました。

 

5. After The Rain

 

 照明考察最後の曲はAfter The Rainです。Saint Snowの1stシングルをあまり聞く時間がなかったからこその解釈でもあるので、これについては読者の皆さんはまた別の感想を抱くかもしれません。

 

 この曲は冒頭雨音から静かに始まりました。曲に入ると同時にステージ上のスポットライトから細い筋となって降り注ぐような光が印象的ですね。サビに入るとさらにそこにレーザーが加わり、扇状に広がる光が青や水色を添えて画面をよりカラフルにしてくれます。

 

 そんな演出を前に、あまり曲を聞いていないことも助けて、私は曲の一番のあいだ素直にこれを雨の表現のように捉えていました。ステージ上部から降り注ぐ照明は雨を、サビで加わるレーザーの青はそこへ水や冷たさの印象を加えてくれる。Saint Snowにはめずらしいローテンポな曲調もあいまって、私はその静謐な雰囲気に引き込まれました。

 

 しかしこの曲の照明もLonely Snow Planet同様非常に動きの少ない照明です。ゆえに歌詞が頭の中にスラスラ入ってくる。するとどうでしょう、先ほどまで雨と水に見えていた照明演出が、構成自体は全然変わっていないにもかかわらず、二番に入ると違って見えてきました。ステージに注ぐ細く白い光は、雨上がりに雲間から差す日の光に、サビで加わる水色は雲を突き抜けて澄み渡った空を眺めたような印象を与えてくれます。

 

 雨はやがて止むもの。辛いことの後にはきっといいことがあるという歌詞のメッセージをまるで追体験したようでした。このメッセージは意識を鹿角理亞という人物に引き付けていきます。ルビィちゃんに最初にキツく当たってしまったこと、ひとり立ちしようと空回って、返って姉の期待に応えられなかったこと。アニメの中に描かれない人生の中でも、理亞ちゃんにはきっとたくさんの似た辛い体験があったことでしょう。その度にその雨を越えて一歩一歩成長してきた理亞ちゃんに想いを馳せると、彼女の中で聖良さんがどれだけ大きな存在であったか、そしてひとり立ちする今、彼女がどれだけ成長したかが窺い知れます。

 

 構成自体が変わらない照明演出を人の体験に読み替えるのであれば、この演出は当時辛かった体験が、それ自体は何も変わらないはずなのに、時が経つことでそれもまた思い出になったりと見方が変わることを表したような演出だったと感じました。

 

 

 

おわりに

 

 つらつらと書き連ねて、すでに五千字。皆様ここまでお付き合いいただき本当にありがとうございました。

 

 Saint Snow 1st GIG ~Welcome to Dazzling White Town~ を概観して振り返ってみると、今回のライブは今までのSaint Snowの思い出を胸に、新たな躍進に胸を膨らませるライブだったなと感じます。それは上に書いた個々の曲での演出の積み重ねに他なりませんが、とりわけLonely Snow Planetが白一色に尽きたことが大きいなと思います。

 

 1stと言っているんだからきっと2ndもある。そう信じて、これまで赤青白、水色ピンク白と染まってきたSaint Snowが、次は何色の景色を見せてくれるのかに期待して、これからのますますの活躍を願いましょう。

 

 もしこれを読んで改めてアーカイブをみる方がいらっしゃったら、配信は11/15(日)の23:59まで、チケットの購入は同日の21:00までですので、お気をつけください。

 

 改めて、最後まで読んでいただき本当にありがとうございました。この謝辞をもって締めの言葉にかえたいと思います。 

 

 

 それでは皆様また会う日まで、お元気で!

New Romantic SailorsにみたAqoursの新しい門出

 このブログはLOVELIVE! SUNSHINE!! UNIT LIVE ADVENTURE 2020 New Romantic Sailorsのネタバレを含みますので、そちらを回避したい方はブラウザバックを推奨します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ラブライブフェスの興奮が未だ冷めやらないまま2月を迎えましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。お久しぶりの方も、そうでない方も、また初めての方も、こんにちはまさけです。今回はAqoursがユニットごとに分かれてライブを行うUNIT LIVE ADVENTUREの1発目、Guilty KissによるNew Romantic SailorsをLVで観ましたので、その感想を軽く書こうと思います。

 

 

 まずは恒例ですが、皆様ライブお疲れ様でした。明日の2日目に参加される方は是非思う存分楽しんでいただければと思います。また今回ライブパフォーマンスを行ったGuilty Kissのキャストの皆さん、またライブを裏から支えてくれたスタッフの皆さんもお疲れ様でした。私は今回ライブビューイングでの参加となりましたが、皆さんのおかげで映像や音声も滞ることなく、ライブを楽しむことができました。本当にありがとうございます。

 

 

 今日のライブをはじめとして2/22,23と3/7,8に行われるUNIT LIVE ADVENTUREではありますが、今回のライブはタイトルにGuilty Kiss First Liveと銘打ってありますから、今までのユニット対抗戦のような企画とは一線を画した催しであることが感じられますね。劇場版に始まり、Next Sparkling、キセキヒカル、未体験HORIZONなど、夢は変わり続いていくというメッセージを何重にも伝えられた過去1年間でしたが、ついにその新しい夢が始動したように感じられたライブだったかなと思います。

 

 

 3年前に行われたAqours 1st LiveはAqoursの物語の門出を印象付けるライブでしたが、そうであれば今回のGuilty Kiss First Live、そしてこれに続くCYaRon、AZALEAのFirst Liveは何の門出なのかということが意識にのぼります。私は5thとラブライブフェスを物語としてのAqoursからの離脱と、新しいプロジェクトへの導入としてとらえていましたので、今回のユニットは青春群像劇としてではないAqoursの活動の門出だと捉えています。その上で今回はライブの最初と最後を飾ったNew Romantic Sailorsの照明について書いていこうと思います。

 

 

 推し事ではない方のやることが忙しく、結局New Romantic Sailorsを買う機会を逃したまま今日のライブに参戦した私でしたが、一発目のNew Romantic Sailorsには度肝を抜かれました。まだライブが始まる前に「流石に曲を聞いていないとはいえ、ギルキスのライブですし一発目ですし、ハードめのロック調か落ち着いたお洒落系か、一曲目に持ってくるのならロック調の方がまだ可能性が高いかな」などと思ったりしていました。だったら照明はおそらくステージを赤の色調にして白のムービングスポットライトを素早く点滅させたりというのが王道の演出かなと予測して待っていました。一曲目なら王道の演出もテンション上がって戦略的にもバッチリだろうと。

 

 

 だからこそ実際にNew Romantic Sailorsを聞いたときはびっくりしました。まず曲調がかなりポップよりだし、それでいて若干の暗さを感じるあたりはピンクレディかな?と思うようでした。照明も今までの赤、青、紫といった明るさを抑えた色調ではなくゴリゴリの9色展開でした。しかも冒頭からレーザーもバンバン使いますし、ステージを縁取るLEDもめちゃめちゃ9色のカラフルな展開をしていました。おそらくNew Romantic Sailorsを事前に聞いていたらこの強い驚きはなかったのかもしれませんが、否が応でも「これが新しいGuilty Kissだ!!!!ドヤ!!!!!!!」という力強いメッセージを感じてしまいました。何と言ってもAZALEAみたいなレーザーの使い方がぴったり合う曲に仕上がっている。そんな曲調だからこそレーザーに感じる直線的で硬く冷たい印象は全く受けず、反対にとても楽しげで賑やかな印象を作れていたかなと思います。

 

 

 9色展開ということは、言い方を変えればGuilty Kissの1stライブ(しかも一曲目)なのに全然メンバーカラーを押し出した照明演出ではなかったということです。これにはとても驚きでした。当然ですが出演者がGuilty Kissである以上観客はGuilty Kissを楽しみに会場へ来ています。今までとは毛色が異なる曲をやるにしても馴染みのある曲で会場をあっためてからと考えても良さそうなのにと思いましたが、今回はあえてNew Romantic Sailorsを1曲目に持ってきてしかも思いっきり9色を使って演出していました。この最初の演出を観て真っ先に思ったのは「まるでラブライブフェスの時の虹ちゃんたちのようだ」ということです。虹ヶ咲の楽曲はソロ曲が多いですが、ラブライブフェスではかすみんとりなりーの楽曲の時にバックダンサーとして虹ヶ咲のメンバーたちが駆けつける場面がありました。私はこの様子に「ステージの上では一人でもみんながちゃんと見守っていて応援しているよ、一人じゃないよ」というメッセージを見て取りました。そしてそれと同じことが今目の前のライブで起こっているのではないかと。ライブのみを目的とした企画を初めてたった一つのユニットで背負うというのは大変な重圧でしょう。逢田梨香子さんがMCで「3人だとやはり心細い」ということを言っていましたし、これは他のキャストも感じていたことだと思います。そんなライブの最初の曲、会場を一気に引き込んでライブをレールへと乗せなければならないこの重圧に対して9色のライトを用いた演出をするということは「ステージ上では3人でもちゃんと他の6人は見守っているし、応援している」というメッセージがあるのではないかとおもってしまいます。そしてそれはきっとAqoursで活動する他の声優さんたちだけではなく、一度区切りをつけたアニメの方のAqoursのみんなもまた含まれているのでしょう。ここまで駆け抜けてきて、積み上げてきたものが、今の自分を支えてくれる。応援してくれる仲間がいる。だからたとえ離れた場所にいて、自分たちの道を進んでいても、そこには常に彼女らの応援がある。そんなシーンを見たように思います。

 

 

 思い返してみれば、たとえ離れ離れになってもこれまで積み上げてきた過去が、そして今まで走ってきた軌跡が自分たちをつなげ支えてくれるという情景は、私が初めて照明考察ブログを書くきっかけになったThank You, FRIENDS!の照明に始まり、そして劇場版の物語とNext Sparklingという楽曲、そして5thライブにラブライブフェスという多くの場面で提示されてきたものでした。だからこそ、初めて聴く曲にもかかわらずこんなにもメッセージがスッと入ってくるのでしょう。だからこそ今回のユニットライブは楽しかっただけでなく余韻が深いのでしょう。

 

 

 最後に、これは私の覚え違いである可能性も大きいので断言はできませんが、1回目のNew Romantic Sailorsと2回目のNew Romantic Sailorsで照明演出若干違いませんでしたか?具体的には曲の最初に入るレーザーの色が、1曲目で流れた方では9色だったのに対し、アンコールの締めで再び披露された方ではGuilty Kissのメンバーカラー3色に変わっていたように思いました。後の方ではレーザーの色はメンバーカラー以外も出しているのでこれは本当に思い違いなだけかもしれませんが、もし違ったんだとしたら、ライブの中でGuilty Kissはまた成長したんだなという気がしました。ほんの少しだけ自分たちの力で進むことができたよと、これは別れにもつながるイメージなので少し寂しい感じもしますが、Aqoursもまた次の夢へと向けて成長しているんだなと感じることができました。いい照明演出ですね。

 

 

 今回は軽くですのでこれにて記事は終わりにしようと思います。ここまで読んでいただきありがとうございました。Guilty Kissのメンバーは3人ともソロデビューを果たしてこれもまた非常にめでたいことです。セトリの中には3人のソロ曲も含まれていましたが、これもまたGuilty Kissとしてだけではなくキャスト一人一人が次の夢への一歩を踏み出すイメージがあり、今回のGuilty Kissの門出のイメージと重なってとても綺麗でした。本当に深夜テンションで考えたのかと思うくらいには完成度の高いセトリですね笑 そんな新たな一歩を踏み出したGuilty Kissと、鈴木愛奈さん、小林愛香さん、逢田梨香子さんのますますのご活躍を願って、締めの言葉とかえさせていただきます。

 

 

それでは皆さん、またどこかでお会いしましょう。

ラブライブフェスを振り返って~新しい輝きと後輩を見守る先輩の暖かさの照明~

この記事はラブライブフェス1日目および2日目のネタバレを含みますので、そちらを回避したい方々はブラウザバックを推奨します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 皆さま、ご無沙汰しております。あけましておめでとうございます。今年も細々とこのブログを更新していけたらいいなあくらいに思っております、まさけです。 

 

 まずはラブライブフェス2日間本当にお疲れ様でした。キャストの皆さん、スタッフの皆さんも本当にお疲れ様でした。最高の時間をありがとうと、声を大にして言いたいですね。久しぶりのμ’sの出演に思わず涙したり、声が出なくなったりした方も多かったことでしょう。私も例に漏れず初日はバッチリ泣きました。おかげさまで2日目はしっかりと彼女たちの勇姿を目に焼き付けることができました。また私は今回のフェスが虹ちゃんを見る初めての機会だったんですが、今までのラブライブにはない新しい風がラブライブに吹き込んでくる感じでこれまた非常にワクワクしました。しばらく起動していなかったスクスタをちゃんと起動しようと思います笑 Aqoursも相変わらずのパフォーマンスで安心感があるというか、1stで見たときはあんなに初々しかったのにこんなに安定感のあるパフォーマンスができるようになったんだなと成長を感じてこれも非常によろしかったです。

 

 

 μ'sが参加するライブに現地参戦したのは、サンプラザ中野でやった東京ファンミを除けばこれが初めてだったので、初日の見切れ席、2日目のスタンド席の連番をくれた方々にお礼を申し上げます。ファイナルライブでは叶わなかったμ'sと同じ空間に立つという夢を叶えられて、感無量でした。

 

 

 

個別の演出として印象に残った演出 

 

 自分語りはこのあたりで切り上げて、本命の照明の紹介といきましょう。今回のライブも全体を通していくつかテーマを見つけてやろうと意気込んでいたんですが、2日目の照明演出が予想とだいぶ違っていて正直路頭に迷いました。正直考察しきれていないのは悔しいんですが、お祭りだしちょっとくらい一貫性がなくてもいいじゃないかと開き直って、まずはライブの随所に見られたすばらしい照明を紹介していきます。

 

 

 まずライブ冒頭の未体験Horizon、最高でしたね。きんちゃんがセンターになれてよかった、できる限り花丸ちゃんに投票してよかったと思います。この曲のイントロってキセキヒカルに似てるなと思っていたんですが、照明の面でも花丸ちゃんの黄色を除けば白一色→メンバーカラー9色とキセキヒカルと同じ流れを出していましたね。歌詞もこれから夢の形が変わると言っていますし、しっかりと5thを踏まえた演出だったなと感じます。これと対照的な演出だったのが2曲目のTOKIMEKI Runnersでした。こちらはメンバーカラー9色→白一色という逆の流れになっていました。ソロ活動が主体の虹ヶ咲ということもあるのか白一色になったのは一番最後の音だけでした。ちゃっかり個性出てるなと思いつつ、9色から白へという流れは君ここと一緒だなということを考えていました。9人曲としては初めての曲であるTOKIMEKI Runnersがこの演出になるのは納得ですし、この白がAqoursのようにグループ全体としての目標や輝きといったものであるならそれは一体どんなことになるんだろうとこれから始まるアニメやスクスタストーリーへの期待感が高まりました。

 

 

 虹ちゃんといえば、最後にやったLove U my friendsで、おそらくウォッシュライトだとは思うんですが、観客席を照らすように白熱電球系の色の光が動き回っていたのが印象的でした。観客席にまるでスポットライトが当たったような印象を受けるこの演出はAqoursの「No. 10」でも使われていた照明演出でした。「あなた」と共に歩む虹ヶ咲だからこそいきなりこういう演出の曲が入ってきても違和感がないなと思います。同様の演出は「ユメ語るよりユメ歌おう」などの締めの曲でも見られますが、9色の色の光とこのウォッシュライトの効果で虹ちゃんみんながキラキラしている印象も作れて、虹ヶ咲の締めとしてもバッチリの演出でした。これからの虹ヶ咲の展開への期待感がとても高まる演出になっていたかなと思います。

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ウォッシュライト参考画像。いろんな色の光を出せて、会場の色調を調整したりできる有能なやつです

 

 

 

 つぎはAqoursユニットですが、初日と2日目で結構印象が違ったのでそれぞれ書いていきます。初日で特に印象に残ったのはユニットの2曲目でした。「P.S.の向こう側」「Lonely Tuning」ときて「Guilty Eyes Fever」と来るかと思いきやまさかの「Guilty?! Farewell Party」でしたね。私はギルキスの2曲目が始まった瞬間に「ですよねー!!!」と叫んだ後に曲が予想と違ったことに気がついて非常に恥ずかしかったです笑 初日のユニットはAZELEAの3人が堕天ポーズしたりギルキスの3人がセルフコントロールの最後のポーズをしたりと次のユニットへ繋ぐ演出が見られました。照明でもゴボといって照明の光を切り取って光の模様を投影する道具があるんですが、その模様がユニット間で共通していて繋がりを感じられる仕様になっていました。具体的には下のような2種類のゴボが使われていました。CYaRonとAZELEAの間でゴボ1が、AZELEAとギルキスの間でゴボ2が使われていました。ゴボ2は5thで使われていたものと一緒でしたね。5thの時の記事に載せた図とは柄が違ってしまっていますが、実際には同じものを使っていたと思います。5thライブの記事はライブから3週間後くらいに書いたのでうろ覚えだったんですね。

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初日ユニットで使われていたゴボ

 

 5thの記事を読みたい方はこちらをクリックしてくださいね。5thのゴボと比べてみると、ゴボ2は共通していますし、ゴボ1もドット系という共通点があるので、初日は5thを意識しているのかなと思いました。物語の主役としてのAqoursと声優がグループとして実際に活動するAqoursとのあいだに一区切りつけるという役割を5thライブが背負っていたと考えるとP.S.の向こう側の歌詞はキャストからキャラへあてたメッセージと解釈できるという友人の話に繋がるように思いました。Lonely Tuningも小宮有紗さんがDJ始めたことが連想されて、これからのAqoursメンバーひとりひとりが活動していくことに意識が広がりますね。ギルキスに至っては思いっきり5thでやった曲ですしやはりこれからのAqoursというイメージが強く強調されているように感じました。

 

 初日のユニットでもう一つ「おぉっ!!」と思ったのが、Lonely Tuningの最後の照明でした。この曲は最後にスクラッチ音で終わりますが、この音をイメージして先ほどのゴボ2をくるくるっと前後に回転させていました。ちょうどターンテーブルのディスクを回すような感じです。振付の中にもヘッドフォンに手を当てて、もう片方の手でスクラッチをする振付がありますが、これを回収してくれたような気がして曲の終わりにもかかわらず声が出てしまいました。こういうちょっとした遊び心が見えた時ってライブがいかに作り込まれているか気付かされますよね。

 

 

 2日目の演出は初日とは全く変わっていて、5thの要素が全然見当たりませんでした。全体の考察が路頭に迷った原因の一つがここにあります。とはいえAZELEAのときめき分類学の照明がよろしかったですね。今回はセンターステージで披露されたこの曲ですが、メインステージのモニターでは1stライブ以来見ていなかったときめき分類学の映像が映っていました。1stではメインステージでの披露だったなあと懐かしく思ったんですが、ここで誰もいないメインステージにメンバーカラーのスポットライトが降りていることに気がつきました。きんちゃんが歌っているところでは黄色が、すわわが歌っているところではエメラルドグリーンが、ありしゃが歌っているところでは赤が当時の立ち位置に合わせて降りていました。この演出もとてもいいですよね。かつて立っていた場所に彼女たちはもう立っていないんだなと思い、時の流れとか成長を強く感じて、嬉しさと寂しさの混ざった感情を覚えました。1stライブであんなにも初々しかったAqoursちゃんたちが、今や虹ヶ咲の子達を先輩として引っ張っている。私が誰もいないステージに見たのは思い出として存在するかつてのAqoursの影でした。だからこそセンターステージで踊るAZALEAの姿がより輝いて見えたんだなと感じました。

 

 この後はAqoursとμ'sのパフォーマンスでしたが、こちらは大体は見慣れた演出でした。μ’sのはメドレーということもあって過去のパフォーマンスとは違う演出でしたが、9色使って盛り上げるというのがメインの演出になっていました。一部特筆する部分はあるのですが、そこはこの後の部分で触れることとします。

 

 

 

ラブライブフェスとして印象に残った演出

 今回のラブライブフェスを通して私が強く感じたのは、虹ヶ咲もラブライブの一員なんだよということでした。当たり前といえば当たり前なんですが、μ'sからAqoursへの移行がそうだったように新しいプロジェクトの導入は少なからず抵抗感を伴います。とりわけ虹ヶ咲はG's本誌ではなくスクフェスのPerfect Dream Projectが発端ですし、受け入れが必ずしもスムーズにいかないことが予想されます。この抵抗感を和らげて虹ヶ咲の物語へファンを導くことが今回のフェスの目標の一つだったのかなと感じました。

 

 

 μ'sとAqoursの照明演出の話をする前にまずは虹ちゃんの照明演出の話から始めましょう。私は正直虹ヶ咲の概要を知っているくらいで全然追っていなかったんですが、今回のラブライブフェスを通してがっちり心を掴まれました。9人曲であるTOKIMEKI RunnersとLove U my friendsはどちらも9色を前面に押し出した照明演出でしたし、今まで使ってきた照明技法を踏襲している部分にも個人的には強くラブライブを感じました。その上でソロ活動を中心に据えた虹ヶ咲に合わせた新しい演出も感じられたところもとても良かったです。

 

 

 虹ちゃんのソロ曲を一つ一つ振り返ってみます。まずは初日トップバッターの「夢への一歩」。冒頭の「果てしない道でも一歩一歩」のところでステージのライトをピンク→白→消灯の順に変えていくことでライトが下から上へ一歩一歩進んでいく様子が示されていました。ソロということもあって基本的にはイメージカラーの薄いピンクと白を中心に構成された照明でした。ここの白はスクスタの「あなたちゃん」をイメージしているようにも解釈できて、正妻の風格を感じてしまいました。やはり幼馴染は強いですね。ただ2日目に披露した曲では特に顕著でしたが、白のライトは虹ちゃんのソロ曲で多く使われているので、白をあなたちゃんの色と解釈するなら彼女の存在が虹ヶ咲全体にとって大きいものであることを感じます。

 

 つづいて「ドキピポエモーション」。虹ヶ咲のメンバーがバックダンサーとして応援に駆けつけたのもびっくりしましたね。イメージカラーの白を前面に押し出した非常に明るい照明演出でした。特にライトがガンガン動くといったことはなかったと記憶していますが、途中青や赤のさし色が使われたのが印象的でした。ブルーは悲しみ、赤は怒りや情熱、黄色は幸せといった具合に感情と結びついた色があることを考えるとこのさし色は一つ一つの感情を表しているのかもしれないと考えられました。そう考えると璃奈ちゃんのイメージカラーが白なのは感情表現が苦手で、様々な感情(色)が混ざった状態としての「白」なんだと考えることもできるのかなと思いました。今後璃奈ちゃんの曲の照明でさし色の頻度が増えたり種類が増えたりするといった演出が考えられますが、その通りになったら面白いですね。

 

 続いて「眠れる森に行きたいな」。こちらは曲調もかなりゆったりしていたので、照明はステージ全体の色調を整えることに終始していたように思います。しかし彼方ちゃんのイメージカラーのすみれ色が曲のイメージとバッチリあっていましたね。青〜赤の色調の色はあまり明るい光ではないので必然的に会場全体が暗めになります。このおかげで睡眠と相性のいい夜の雰囲気を演出することができます。またスモークをしっかり焚いて床の上を覆わせていたのも良かったですね。ステージの床面が見えなくなって雲の上にいるような演出になっていました。雲の上で眠るイメージは定番になっていますし、雲自体も軽くてふわふわな印象があるため快眠とつよく結びついているように思えます。ステージ全体で夢心地といった印象を表現できていたので、これは彼方ちゃんの演出として非常に成功していたと言えるでしょう。

 

 続いて1日目のラストを飾った「Starlight」。果林先輩のイメージカラーの青を中心に水色と白の色を織り交ぜてレーザーを多用した照明演出でした。青のライトもやはり暗い色になるので、イメージカラーを出しつつ、そこに白や水色の光を差し込むことで星の光を表現できていたかなと思います。個人的にすごいと思ったのは、レーザーがステージの上の方にも設置されていて、そこからステージに向けてレーザーが打ち下ろされていたことでした。上からレーザーを下ろすことで今までよりも立体的なレーザー演出ができていました。キャストのいる方向へレーザーを飛ばす以上今までよりも安全への配慮が増えただろうなとは思いますが、虹ちゃんでこうした新しい演出を見られるのは非常に嬉しかったです。ちなみにこの上からのレーザーは果林先輩の他ではSaint Snowでちょっと使われたくらいだったので、このレーザーがほぼ「Starlight」のために用意されたと思うと、やっぱ虹ちゃんラブライブフェスの主役張ってるなと思わせてくれますね。

 

 つづいて2日目に入りまして「あなたの理想のヒロイン」。しずくちゃんのイメージカラーである薄いブルーを基調にしつつ、白のライトをゴボを使って模様にして投影していました。お花っぽい見た目のゴボが使われていたんですが、この模様がヒロイン感をさらに高めていました。情景描写の手法として背景にお花を咲かせるのがあると思うんですが、ちょうどそんな感じで柔らかい幸せ感が表現できていたなと感じました。

 

 

 次に 「Evergreen」ですね。エマ・ヴェルデのヴェルデがイタリア語で緑を意味することからもイメージカラーがライトグリーンなのは納得ですね。照明演出上もライトグリーンは基軸の色の一つとなっていました。これにスカイブルーを加えた2色が基本となっていましたが、これは「どこまでも広がっているエヴァーグリーンと空」という歌詞を反映したものだろうと思います。ゴボは使っていませんでしたが、照明に大きな動きを持たせない演出計画は「あなたの理想のヒロイン」と似ていましたね。メロとサビで照明の照らし方自体を変えていたところが違いかなと思います。

 

 

 3曲目はかすみんの「ダイアモンド」でした。2日目のバックダンサー曲がこの曲でした。愛され後輩キャラな感じも出ていますし、ちょっとから回っているところもたまりませんね。照明は黄色と白を織り交ぜたものに、先ほどのゴボ2の模様も白でつけていました。かなり豪華な構成で、曲名に負けないゴージャスさがあったと感じます。白と黄色でかなり光量が多い組み合わせになっていて、璃奈ちゃん同様かなりまぶしい感じの照明演出になっていました。この明るい雰囲気はかすみんの表現としてぴったりでした。

 

 4曲目は宮下愛さんの「めっちゃGoing!!」でした。メロの部分ではオレンジ1色、サビでは白を加えて、動きも出していました。風船が降ってくる演出も元気な愛さんらしい演出になっていたなと感じます。サビのライトの向きはちょうど正面から見ると扇型に広がっているように見える配置で固定されていて、ライトの色をオレンジと白で変えることでバケツリレー的に色を動かしていました。イメージとしては下のような感じです。

 

[白] [橙] [橙] [白] [橙] [橙]

[橙] [白] [橙] [橙] [白] [橙]

[橙] [橙] [白] [橙] [橙] [白]

 

こうやって動かすと白のライトが左から右へ動いていくのが綺麗に見えますよね。白→橙→白→橙と交互に動かすよりも動きが見て撮りやすいのが特徴です。「めっちゃGoin'」はサビのテンポ感が強いのでライト自体の向きを変えて動かすよりもこちらの方が曲に合っているなと感じました。このテンポ感の演出はAqours 2ndライブの恋アクの冒頭でも確認できます。気になった方はこちらの動画の6:05あたりから確認してみてください。キャストの後ろのスポットライトが左から右へと青い光をを渡していくのが確認できると思います。

 

 最後がせつ菜ちゃんの「CHASE!」ですね。9曲のうち唯一炎が演出で使われたのがこの曲でした。イメージカラーの赤と炎の組み合わせはMY舞☆TONIGHTやLOVELESS WORLDを思わせる組み合わせでしたが、CHASE!もハードさを前に出した演出でしたね。サビでは白のライトを高速で点滅させていましたが、この演出はLOVELESS WORLDで同様の演出を見ることができます。気になった方はこちらの視聴動画を見て見てみてください。LOVELESS WORLDは9:22あたりから始まります。

 

 ここまで虹ちゃんのそれぞれの曲の演出を追ってきました。どの曲もキャラクターのイメージカラーをしっかり使って、なおかつ曲の印象に合わせた演出がなされていることがわかります。初日と2日目を合わせて虹ちゃんは一人一曲ずつソロ曲を披露したことになりますが、ソロ曲全てにおいてメンバーカラーを演出の基軸に据えているのは実は初めての試みです。μ'sにもAqoursにもソロ曲は存在しますが、照明演出において全てメンバーカラーを基軸に据えているものはありませんでした。比較的記憶に新しいところでいくとAqoursの3rdライブでBlu-ray特典のソロ曲が披露されていましたが、ルビィちゃんのRED GEM WINKでは途中でステージ照明が赤に染まる部分がありますし、ダイヤさんのWHITE FIRST LOVEでは曲名に合わせて照明は白がメインになっていました。これを踏まえると、虹ちゃんのソロ曲はどれもメンバーカラーを思いっきり押し出した演出であることがわかるでしょう。ラブライブフェスでの虹ちゃんへの力の入れ方はかなりのものがありました。スクスタの映像がモニターで使われることが多かったことも「ラブライブの次のステップ」を意識させられました。

 

 

 この虹ちゃんの頑張りを受け止めたのがAqoursとμ'sでした。まずセトリの面からなんですが、かなりプレッシャーがかかる1曲目はAqoursが担当し、2曲目からグループ1組目として虹ちゃんが担当しました。どの部分で出演してもプレッシャーはかかりますが、仮に虹ちゃんが失敗してしまっても、後からAqoursとμ'sで巻き返すから、安心して全力でステージに望みなさいという意思を感じますよね。1日目はAqoursがグループ2組目を担当して締めをμ'sが担当する。後輩を守る先輩の暖かさを感じる構成でしたよね。2日目もやはり虹ちゃんはグループ1組目を担当しています。ただし2日目はμ'sが2組目を担当してAqoursが3組目を担当しました。1日目と同じく後輩を守る先輩の構図を出しつつ、μ'sが担当したトリを担当できるくらいAqoursちゃんたちは成長したぞと言われているような気持ちでした。これをみるとときめき分類学の演出がさらにぐっと心に訴えかけるものになりますね。

 

 そんな後輩を見守る先輩という演出がμ'sとAqoursの照明演出にちらっと混ぜられていたのがめちゃくちゃ心に刺さりました。ここで紹介する演出は私が肉眼で確認した2日目のものですので、もしかすると1日目は違ったかもしれません。

 

 まず2組目を担当したμ'sですね。ぼらららとスノハレをフルで披露して、その間にスペシャルメドレーを披露しました。ぼらららとスノハレは懐かしの照明を再現した照明演出で本当にタイムスリップしたようでした。一方メドレーは基本的に9色で照明を展開して、Love U my friendsのようにウォッシュライトで客席もバンバン照らしていて、非常に楽しげでキラキラした演出になっていました。この9色展開が途絶えたのがSTART:DASH!!の時でした。メドレーの中で唯一cメロへ飛んだSTART:DASH、この部分の歌詞が「またひとつ夢が生まれ」なんですよね。このときμ'sはトロッコに乗ってセンターステージのさらにその先のところにいたんですが、その後ろのメインステージでは光の色がオレンジ、オレンジ、うすいピンクの順でつけられていました。この時点でお気づきかと思いますが、これは各グループの公式順で一人目に当たるキャラクターのメンバーカラーです。虹ヶ咲という新しい夢が始まったんだなということを強く意識づけてるとともに、μ'sの夢、Aqoursの夢、そして虹ヶ咲の夢と多くの夢の軌跡があったねと語りかける先輩としてのμ'sがそこにはいました。後輩を見守るμ'sの頼もしさと後輩たちを見守る暖かさがこの照明には現れていたように感じました。

 

 次にAqoursですが、2日目にはHAPPY PARTY TRAINが披露されました。この曲のパフォーマンスの間、一貫してステージを彩るLEDの光が虹色を出していました。実はメンバーカラー9色なだけじゃないかと思ったりもしたので直後の君ここと色を見比べていたんですが、HPTの時はやっぱり緑色が果南ちゃんの色にしては濃かったですね。どちらかというと花陽ちゃんの緑に近い色になっていました。この虹色に気付いた時に楽曲の背景に思いを馳せてみると、HAPPY PARTY TRAINAqours Next Step Projectの最初の曲だったなと気づきました。歌詞でも冒頭で「受け取ったよ次の夢を」という言葉が出てくるように、この曲もまた「新しい夢」をテーマとした曲でした。この曲が初めて披露された時にはAqoursの次の一歩を印象付ける曲でしたが、今回のライブでは照明演出と相まって虹ちゃんの次の一歩を印象付けるものとなっていました。Aqoursもまたμ'sのように後輩を暖かく見守る先輩としての貫禄を身につけつつあるんだなと感じることができました。

 

 このようにAqoursやμ'sの曲でも後続のグループを意識した演出が差し込まれていました。上に書いた以外にも、メインステージの階段部分にピンスポットライトが当たると、光のふちの部分が青や緑といった原色に別れていて虹色に見える瞬間があったり、階段部分自体の光に虹色が差し込まれていたりとライブを通して虹を意識させる演出が散りばめられていたように感じます。

 

 

 ここまで読んでいただいてありがとうございます。改めて振り返ってみるとAqoursの5thを意識した演出がなされていたことには意味があるように思えますね。Aqoursの5thはNext Sparklingをタイトルに冠したライブだったからこそ、「夢は変わっていく」「新しい輝きへと手を伸ばそう」というメッセージが強く印象に残ったライブでした。この新しい輝きをAqoursだけでなく、ラブライブプロジェクト全体という文脈で再提示してくれたのがラブライブフェスだったのかなと感じます。今回のライブを通して私のように虹ちゃんに興味を持ったという人、Aqoursを今まで受け入れられなかったけど興味を持ったという人、μ'sは今まで見たことなかったけど今回のフェスで興味を持ったという人がいることでしょう。こうしてまたラブライブの輪が広がっていけばそれは素敵なことだなと思います。

 

 

 長々とお付き合いありがとうございました。ラブライブプロジェクトのさらなる繁栄とラブライブのキャストの皆さんのこれからの活躍を願って締めの言葉といたします。ユニットライブには忙しくて応募できなかったのでチケットの空きが降ってこない限りは参戦する予定はありませんが、またライブを見た時には記事にしようと思いますので、その時またお会いしましょう。

 

 

その時までみなさんどうぞお元気で!

 

 

音で沼津を照らしたい、その照明に心を照らされたわたし

 皆さまお久しぶりです。まさけです。初めましての方は、お初にお目にかかります、まさけと申します。

 

 5thライブの3週間後に意地と根性で照明ブログを書き上げてから早3ヶ月といったところででしょうか、皆様いかがお過ごしだったでしょうか?私はと言いますと、あの後ライブブルーレイで楽しむ照明演出企画を形にするべく、視聴動画を漁ってちゃんと引きの画が映っているかとか、引きと寄りの割合はどうかとか、寄りの時に照明機材が映り込むことは頻繁にあるアングルで撮られているかとかを検証しておりました。その甲斐あって実際ある程度なら照明演出楽しめるじゃないかということで、Blu-rayも入手してなんとか9月初旬開催の僕ラブに間に合わせる事が出来ました。正直自己満本もいいとこだったので売れるわけないとタカをくくっていたのですが、予想以上の反響をいただいてイベント会場では印刷分全て完売という奇跡に巡り会わせていただきました。感想もちょくちょくいただいて嬉しい限りです。もしこちらの本にご興味のある方は右のURLで通販を承っておりますので、ぜひご利用ください↓↓↓

twilightrobe.booth.pm

 

 

 

 さて近況報告はこの辺にしておきまして、本題の音で沼津を照らしたいの第4回公演へと話を移しましょう。音で沼津を照らしたい(通称おとぬま)はラブライブ!サンシャイン!!曲のインストアレンジを中心に沼津で開催される有志の音楽イベントです。詳しい来歴についてはお恥ずかしながら存じ上げませんが、その評判の高さを以前より私も耳にしていました。しかし足を運ぶ機会に恵まれず、今回4回目の公演にして初の参戦となった次第です。4回目の公演を知ったのもこの公演で技術監督と照明を担当されていたまつばらさんのツイートを偶然目にしたことがきっかけでしたし、足を運ぶことができたのも偶然バイトが入っていなかったからなので、偶然が重なっての巡り合わせって本当にあるんだなあとしみじみ思いました。

 

 肝心のライブパフォーマンスも非常にレベルが高かったです。まず出演者の方々が総じて演奏が上手い。音楽はかじった程度なので耳は肥えていないかも知れませんが、私は大満足でした。また大人数でのパフォーマンスにもかかわらずしっかりと音もあっていましたし、音量のバランスもしっかりと調整されていました。PAさん本当におつかれさまです。おかげさまでこちらも我を忘れて楽しむことができました。ライブ自体も複数の部に分けられていて、幕間の映像も用意するなど音楽パフォーマンスだけでなくライブを構成する細部にもしっかりと気が配られていて芸が細かかったです。「鯖は飲み物」のハッシュタグ、機会を作って使わせていただきます笑

 

 そして大本命の照明!!ここが本命なのも少し変かもしれませんが、正直度肝を抜かれました。じっくりと語っていくとしましょう。ここからは機材紹介をした上で、Dropout!を中心に印象に残った照明演出を紹介します。

 

機材紹介

 

まずは会場の特徴から。今回の会場は沼津市民文化センターの大ホール。収容人数1516人の大きな会場でした。演劇用にも使われる舞台ということでサスペンションライトがある!!!驚きとともにテンションが上がる!!!これは照明本を書く過程あってこその驚きなんですが、そもそもライブ会場に普通のサスペンションライトは映像を見る限りでは持ち込まないみたいなんですね。これはよくよく考えると当然で、搬入できる機材量が有限である以上動かしたり色変えたりできないサスペンションライトはコスパ悪いんですよね。その点今回は会場にこのライトがあったのでスクールアイドルの地元ライブ感高くてテンション上がるな!!!と一人で高まっておりました。使い方もしっかり考えられていて、ステージ上の演者を照らすだけでなく観客のレスに合わせて光らせることもしていました。Awaken the Powerではアニメ映像中の花火のようにイントロに合わせて光らせる場面もあり、まるでAqoursのライブの時のように「わかりみ~~!!!」と声を上げてしまいました。

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参考画像:サスペンションライト

 

 サスペンションライトの他にコロガシみたいなライトが客席に向けて設置されていたのも印象的でした。コロガシとはフットスポットライトとも呼ばれ、床にそのまま置いて使うタイプのスポットライトのようなものです。高さが全然ないので床の上にライト本体を直置きしているみたいな見え方をしますね。演者を照らすサスペンションライトとは対照的に、こちらは綺麗な逆光を作ってくれるライトでした。サスペンションの光を落としてコロガシを入れると明暗のコントラスト強くついて画面が引き締まります。全体の光量を上げるのにも使われていましたし、こちらもサスペンションライト同様Awaken the powerの花火演出にも使われていました。

 

 さて舞台用照明機材にとどまらないのがおとぬまのすごいところ。しっかりとムービングライトも設置されていました。ムービングライトはライブハウスでも置いてないところにはないので、大きめの音楽ライブに来た感が高まりますね!!私の席から見えた感じだとステージの前方上部、客席からも見える位置に1列と、客席からは見えないステージ中央あるいは後方にもう1列配置されていたように見えました。こちらのライトはLEDを使用したウォッシュライトのタイプだったかなと思います(下は参考画像なので機種は異なるかもしれません)。光の色を変えることができるので会場の雰囲気づくりが得意な子ですが、光を点滅させたり向きを変えたりと多彩な演出に使えるのが良いところですね。ドームなどの大きな会場でメインに使われるムービングスポットライトと違い光線を出すのが得意なわけではないウォッシュライトですが、おとぬまでは白や黄色といった高光量の色では光線がうっすらと見えていました。

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参考画像:ウォッシュライト

 上記の他にストロボとレーザーも使用されていました。この二つは使用法を誤ると体調不良や健康被害に繋がるので気をつけなければいけませんが、その分上記のライトではできない特徴的な演出が可能になるのがいいですね。今回のおとぬまで心残りなところはスモークを焚いていない関係でこのレーザーがほとんど見えなかったところでしょうか。私のように演奏中に後ろを振り向くならまだしも、ステージを見続けていた方からすると両脇でなんか光ってるなくらいにしか見えなかったかなと思います。レーザーに限らずライブの照明機材の光は指向性が強くあまり拡散しないので、スモークを焚くことでこれを光線として見える形にできるのですが、スモーク量の調節が難しい、機材が手に入らない、あるいは会場・演者の事情により使用できないといった背景があったのかなと思います。Aqoursに限らずですが、ライブは多くのプロフェッショナルの仕事の上に成り立っているんだなと改めて実感できますね!

 

さてこれで機材紹介はおしまいです。次は印象に残った演出をかいつまみつつ、DROPOUT!?の照明演出を語りましょう!

 

楽曲中での照明演出

 さてお待ちかねの楽曲中での照明演出です。ライブ全体を通しては2部くらいまでの前半はサスペンションライト、コロガシ、向きを固定したムービングライトの3つで照明を回していたなと思います。私自身、前半部を見ていた時にはせっかくムービングライトがあるのに全然動かさないしもったいないなあと思っていたんですが、後述のDROPOUT!?から使ってる照明機材は増えるし使い方も種類が増えるしで最高でした。これは本家のAqoursのライブでも同様でして、ライブが進むにつれて予想もしなかった照明演出が出てきて楽しくなるんですよね。この辺りも意識していたのかはわかりませんが、ものすごい再現度でした!

 

 印象に残ったというかわかりみが深かった照明演出としては、まずBrightest Melodyのサビ直前でコロガシをゆっくりとつけていく朝日の演出ですね。1番サビではこれが行われなかったので「朝日演出ないの?ないの?」ってなってたんですが、2番サビに入るところでこの演出が飛び込んできて「それな〜〜〜〜!!!!!!」ってなってしまいました。焦らしプレイとは意地が悪いですね笑 このコロガシはサビ中光ったままなんですが、ステージ後方のムービングライトの色が紫がかった白から水色へと変わったのもよかったですね。「夜明けから朝になったじゃん!!!」と心の中で思いました。スモークがないためライトが反射する床の色だけが変わって見えるんですが、これが海面のイメージに繋がったのもよかったです。沼津といえば海だしね、Aqoursの物語にも海は欠かせないよねということで深く印象に残っています。

 

 海といえば波ですが、レーザーを波型に展開する演出もされていました。「卒業ですね」をはじめとしていくつかの曲で使われていたんですが、これは後ろの壁に当たったレーザーの光を元に判断しました。波型のレーザー光といえば5thで使われていましたね。Over the Next RainbowかNext Sparkling!!のどちらかだったような気がしますが、当時見た景色を思い出すようでした。正直レーザーの光自体が見えていなくても壁に当たった波状の光が重なる様子はそれ自体がとても美しいんですよね。ちょうど曲も5thでやった曲だったので、「5thのメットライフドームで壁面に映ったレーザーの光を見ながら『めっちゃ波じゃん、劇場版冒頭へのさりげない言及じゃん。なんなら閉校祭の回で波がAqoursの文字を消す演出と劇場版ラストで波の先にAqoursの文字が残ってる演出も意識に上るじゃん、バケモンかよ!!!!!!』と思っていた人が私の他にいたなんて、キセキだよ!!!!」と思っていました。同類がいるって嬉しいですね。え?ひどい妄想だって??知ってますよ!!!!!!!(血涙)

 

 ちなみに「卒業ですね」のレーザー演出は海の波模様のレーザーに留まっていませんでした。同じ波線のモチーフを使っていても、波の幅と高さを小さくした波線を使ってそれを伸び縮みさせるように動かしたり、幅を抑えつつ高さを出した波線をちょうど海を泳ぐウミヘビのように動かしたりと、正直言葉では説明し難い動きをいくつもさせていました。このレーザー演出は5thの時の演出とかなり似ていたように思います。とはいっても5thの卒業ですねの照明の記憶はかなり曖昧なのでなんともいえないんですが…。「5thのレーザーもこんな感じの不思議な動きしてたな」という感情を喚起されてただただ脱帽といった感じでした。

 

 このように後半では照明機材の種類や使い方に工夫を凝らしたものが多く大満足だったんですが、この後半の皮切りとなったのがDROPOUT!?でした。幕間が終わって函館のユニットカーニバルを彷彿とさせる映像がスクリーンに映り、同時にSelf Controlのインスト(?)の音源がうっすらと流れて「まさか?」となりながら始まった3部ですね。この映像自体めちゃくちゃ出来が良くてVJグッジョブ!!!!と心で叫んでいました。導入部ですでに高まり切った頭をスッとなでるような滑らかなピアノとそこにぶち込まれる重く歪んだギターの旋律で完全に心を持って行かれました。そしてドラムの入りと同時に高速で点滅する白に統一されたムービングライト。それまで画一的に揃っていたムービングライトの向きがここにきて一つ一つが別の方向を向いていました。それが高速で点滅することで光が無差別にいろんな方向へと飛んでいる印象を作り出していました。白色光のため光線がスモークなしでも光線がうっすらと見えたのもよかったです。光線の直線的な外見と明暗の強いコントラストが曲のハードさを、点滅の速さがビートの速さを、そして色々な方向へと飛ぶ光が曲の暴力的なまでの躍動感を演出していました。サビの直前ではストロボも使用されて、白と黒のコントラストがより強烈に印象付けられていました。DROPOUT!?という曲のハードな印象を光の色調、方向、強弱の3モードを使って非常に綺麗に演出していました。これは本家顔負けといってもいいでしょう。

 こうしたハードな演出が曲に私を引き込んでくれたおかげで、この曲のハードさを受け入れつつ曲の背景に意識を伸ばすことができました。激しく点滅し光を撒き続けるムービングライトから感じるのは鹿角理亞の激情という印象。その激情の正体とはなんなのか?優勝候補とまでいわれたSaint Snowが予選敗退という結果に終わってしまい、その責任を強く感じている理亞、この姿はアニメだけでなく劇場版でも色濃く描かれていきます。DROPOUT!?という曲はそのタイトルからも敗退という結果を意識した曲。この敗退という結果をうけて理亞は後悔と自責の念に苛まれたことでしょう。敗退の瞬間まで信じ続けた自身の行動とそれを打ち砕く敗退という事実。誰しも自分が間違っていたと認めるのは難しいものですから、自尊心を守ることは人間の行動原理の一つと言えるでしょう。この時の理亞もまた敗北という事実による自尊心への脅威を感じていたはずです。しかしそれと同時に尊敬する姉の最後の晴れ舞台に泥を塗ってしまったという罪悪感にもあったはずです。自分を肯定したいという気持ちと姉への強い罪悪感、どちらも理亞の正直な感情だからこそこの二つの感情の衝突はやり場のない苛立ちとして理亞に現れたのではないでしょうか。このやり場のない苛立ちこそが理亞の激情の正体、激しくのたうつ光線の中に私が見出した意味なのだろうと気づかされました。曲を楽しむのと同時に頭がフル回転してそれまで見えなかった景色が見える、照明演出を考えていて一番楽しい瞬間です。

 

 CDの音源を聞いているだけでは至れなかった「曲が伝わる」の瞬間をもたらしてくれたおとぬま照明担当のまつばらさんとさとるさん、本当に素敵な時間をありがとうございました!!!!!!!!!!!関わったスタッフさんの名前がわかるって嬉しいですね!!!!!

 

 ここに書いた以外にも照明たくさん働いていました。いまパッと思い出したところですと、スタッフロールでスタッフさんとspecial thanksが流れた後、and youの文字が画面に出たところでコロガシを使って客席にライトを当てるとか、細やかながらメッセージ性に富んだ演出がなされています。しかし悲しいかな今回はメモを取っていない、高まった頭から印象的な照明演出が飛んでいってしまいました。

 

 最後に、おとぬま次回があるならまた絶対行こうと思いました!!照明演出だけとっても、次はこんな風な動きもできるようになってるかもとか、ゴボが導入されたらこんな演出できそうとかたくさん楽しんで鑑賞できました。また照明演出だけでなく、VJさんの映像も素晴らしかった。僕らの走ってきた道はの部分で冒頭に無人のホールから映像を始めたり、幕が開く映像を差し込んでいたりしてこだわりを感じましたし、Believe againの雪の結晶模様の鬼の再現度…。ライブを通してクオリティがとても高かったです。改めて素敵な時間をありがとうございました!!!!!!

 

 

 

 

セトリと合わせて考える照明 ~Aqours 5th Liveのテーマと照明演出をマクロに振り返る~

この記事はAqours 5th Liveのネタバレと照明演出への妄想が多く含まれているので、回避希望の方は適宜ブラウザバックをお願いします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、本業にしばらく追われていたのですっかりこちらの編集を放置してしまっていましたが、今回のライブもとても良い内容でした。私自身はライブ中どうしても高揚感にとらわれてしまってあまり感極まって泣いたりはしないんですが、その分ライブが終わったあと数日くらいはBelieve AgainやBrightest Melodyを聞いては照明演出やらそこまでの物語やらが頭に浮かんでは急に泣きそうになったりしていました。

 

 今回のライブでは全体を通して照明演出を見てみようと初めてライブ中メモを取るということをして見た訳ですが、セトリと合わせて考察した結果セトリの方が中心になってしまいました。ということで今回は「ライブのセトリがエモすぎる」という内容を中心に「照明がエモいセトリとどうリンクしているか」という話をできればなと思います。

 

5thライブのテーマ 

 照明演出の前に今回のライブのテーマについて少し考えて見ましょう。まず劇場版公開の後のライブですから、今回の目玉曲は何と言っても映画曲ですね。中でもNext Sparklingはライブタイトルにもなっているくらいです。ラストを盛り上げる曲ではなくしっかりと演出するこの曲で締めるという構成は素晴らしいですし、だからこそこの曲が残した強烈な余韻がライブが終わった後も会場を捉えて離さなかった、ライブから数日空けても私の心を離さなかったのだろうと思います。

 

 そしてこれとは別にもう一つ今回のライブテーマとして、私自身は「Aqoursの歩みを振り返って、そして君も夢を追え!」という強いメッセージを受けたように思います。このメッセージを感じた一つの手がかりとして、ライブのセトリがあります。

  • 1.僕らの走ってきた道は…
  • 2.スリリング・ワンウェイ
  • 3.青空Jumping heart
  • -MC(コーレス)-
  • 4.SKY JOURNEY
  • 5.Daydream Warrior
  • -幕間アニメ-
  • 6.逃走迷走メビウスループ
  • 7.予測不可能Driving!
  • 8.Marine Border Parasol
  • 9.ハジマリロード
  • -幕間アニメ(劇場版ダイジェスト映像)-
  • 10.Hop? Stop? Nonstop!
  • -幕間アニメ-
  • 11.恋になりたいAQUARIUM
  • 12.君の瞳を巡る冒険
  • 13.未来の僕らは知ってるよ
  • 14.SELF CONTROL!!
  • 15.Believe again
  • -幕間アニメ(劇場版ダイジェスト映像)-
  • 16.Brightest Melody
  • 17.Over The Next Rainbow
  • -MC-
  • 18. ホップ・ステップ・ワーイ!
  • EN1.卒業ですね
  • EN2.Guilty!? Farewell party
  • EN3.サクラバイバイ
  • -幕間アニメ(劇場版ダイジェスト映像)-
  • EN4.Next SPARKLING‼︎

こちらは1日目のセトリですね。「このタイミングでこの曲!?」みたいなことが1日目結構あったので、2日目の会場へ向かう道すがらなぜこのセトリだったのかをぼんやりと考えていました。そこで最初に思ったことですが、「僕らの走ってきた道は…」「スリリングワンウェイ」ってそのまま文として噛み合っているじゃないか!と。そこで、実はMCや幕間を境界線にしてそれぞれのセクションでまとまりを作っているんじゃないかと。そしてそれをつなぎ合わせるとライブのテーマが見えて来るんじゃないかと。

 

 そのように考えてみると最初のセクションは僕ら(Aqours)が走ってきた道はスリリングワンウェイだったということになります。スリワンのサビには「止まらないよ 溢れそうな思いは。誰かのためじゃなくて自分勝手なパッション」「めちゃくちゃな願いを 誰もが隠してるよ 自分勝手にレッツゴー」とあります。他の誰でもない自分だけの願い、それを一言で言うのであれば「夢」という言葉がピッタリでしょう。ここに追い風を加えるように青ジャンが「見たことない夢の軌道、追いかけて」と歌い出します。つまり一番最初のこのセクションでは夢を追い始める時の高揚感や夢を実際に追いかけ始める時の熱い気持ちを表現していると言えるでしょう。「輝きたい!」そんな高海千歌の夢からラブライブサンシャインの物語は始まりました。この始まりはラブライブでの「叶え!みんなの夢!」という台詞も同時に思い出させます。ここからはAqoursの辿った夢の軌跡と夢を追う人たち一般によくあることを念頭に置いて続きを見ていきましょう。

 

 さて、高海千歌一人の夢、そしてAqoursの物語に関わるキャラクターたちの「夢の軌道」を描くアニメシリーズにおいて、その夢が壁に直面する部分がアニメ2期で描かれていきました。MCの後のSKY JOURNEYとDaydream Worrierはここに対応していると考えてよいでしょう。冒頭の「どこから来たの?ずっと遠くから!」そして2番の「どこを目指すの?もっと遠くへと」という文言はまさに道半ば、しかしまだ自分が至らんとする場所にたどり着いていないイメージへと聴衆を誘い込みます。しかしこの前向きな言葉とは裏腹に、サビでは「胸に確かなもの持ってたらそれだけでなんとかなるって なぜ優しく語れるのだろう」と歌います。「すぐにここから次の場所へと旅立つだろう」の部分では夢を追う中で次第に迷走していく姿が如実に浮かびます。自分のしたいことやりたいことを追い求める中で道に迷うことは誰しも経験のあることではないでしょうか、そうした背景を自分も持っているからこそこの歌はとても心に刺さりました。そしてDaydream Warriorでは「夢は夢でしかないと 嘆きの果ての運命は変わらずに今はlost love」と歌います。所詮夢は夢だと、諦める人の多くが口にする言葉が出て来ます。このあたりからも夢を追う途中で困難に直面しているイメージが強く湧くことでしょう。ちなみにこの曲で夢とは別に「恋人・想い人」というモチーフが出て来ますが、恋人のポジションに夢をいれてみると、これも少しあとになって効いて来ます。

 

 さて幕間アニメを挟みまして逃走迷走メビウスループという曲で先ほどのセクションのテーマを引き継ぎつつ、曲調を明るいものへと変えていきます。夢との恋路がうまくいかない時、人は諦めを選択しそこから逃げることもあるでしょう。しかし自分が夢を諦めても夢の方は簡単に諦めてくれたりしません。かつての夢がしばしば脳裏に浮かんでは諦めたのだと言い聞かせて夢から逃げる。この様子は裏を返せば自分が夢を諦めきれず心のどこかでそれを追い続けているという関係性を反映しているのではないでしょうか。こんな逃げたり追いかけたりといった様子は「追いかけられてるはずが 追いかけてるのかも本当は」という歌詞にぴったりですね。また「本音ってばあついね」という歌詞が、SKY JOURNEYの「あついよ」と呼応して夢への渇望をここで再び思い出させてくれます。

 

 メビウスループに続く学年曲3曲では共通して見られるテーマがあります。「夢があったらdriving」「迷いながらdriving 望むところさ」と歌う予測不可能Driving!、「水の中揺れる太陽 捕まえたつもりでもキラキラこぼれてしまう」「僕らの夢の色は変わっていくと気づいた」と歌うMarine Border Parasol、「ハジマリとオワリの線など引けないよいつのまにかまた始まる」「駆け抜けたがる僕らはどこへ」と歌うハジマリロード。これら3曲はどれも夢が固定的なものでないこと、だからこそどこへ向かっているのかわからないことが決して迷走ではないこと、そしてそれこそが自由であるということだと歌っていきます。これはすなわちSKY JOURNEYの部分で出てきた「迷走」というあるべきではない状態を「自由」というあるべき状態であると塗り替えているわけです。夢を追いながらも自分のあり方に悩む人たちのネガティブな気持ちを、それこそ夢に近づくためのあり方だとポジティブなものに捉え直していくわけですね。

 

 そこに綺麗に追い討ちを入れるのがHop? Stop? Nonstop!です。「ミライはイマの先にある それには自由な翼でFly away!」と歌うこの歌は映画の中で鞠莉が自分のやりたいことを母親に認めてもらうように歌う曲です。やりたいことを自ら追うのだと、そのためには前セクションで出てきた「自由」が必要なのだと訴えていきます。学年曲のテーマの後に聞くと映画での役割とは別にAqoursの夢が私たち聴衆の夢へと繋がり広がっていく様子が眼に浮かぶようですね。

 

 幕間を挟んで恋アクから君の瞳をめぐる冒険へと、そして映画曲へと繋がります。恋アクに関しては正直「道ができていく」という部分が欲しいのかなくらいに思っています。曜ちゃんソロにできるヨーソロードを自分の道が拓けていくイメージと重ねているのかなと思います。この道ができる演出はDay2の果南レールも同様ですね。一方君の瞳を巡る冒険についてはDaydream Warriorの時に立てた「恋人、想い人」のモチーフが活きてきます。「謎はいつも目の前で違う場所を開く、謎を解いてこのセカイであそぼうよ」「僕は君を見てる 君の目に僕を映してよ」「見つけたの言葉を待ってるよ、早く探してよ」これらの文言を含む君の瞳を巡る冒険の歌詞は夢から私たちに語りかけていると考えると、これまでのセトリとぴたりと符合する点が多く出てきます。目の前で違う場所を開くからこそ私たちは迷ってしまう、夢を夢だと諦めてしまう。それでも夢が私たちを追ってくるのは夢が私たちを見ているからなのでしょう。デイドリで片思いのように見せかけたところを君の瞳を巡る冒険で両想いへとリフレームしていく。その間にある謎が人と夢とをすれ違わせてしまうというメッセージを発しています。だからこそこの次の曲が未来の僕らは知ってるよなのでしょう。「夢のカタチをさがして」いる私たちに「未来の僕たちは答えを持っているはずだから、本気で駆け抜けて」と伝え、その答えとはすなわち「We got dream」だと強いメッセージを投げかけてくるのでしょう。「君と夢との出会いは果たされる!」と強く私たちの背中を押してくれるのがここまでの流れです。ちなみに君の瞳を巡る冒険はDay2ではMy list to youになるわけですが、こちらも未来に会うべき想い人へ語りかけるという要素は引き継いでいます。ただ語りかける強さは君の瞳を巡る冒険の方が強いように個人的には感じますが(笑)

 

 ここまでで打ち立てた「あなたの夢を追え!」というメッセージは劇場版曲へとつながって、映画でのメッセージの「やってきたことはゼロにはならない」「明日は今日より夢に近いはずだ」という映画のテーマへ合流していきます。このようにまとめると今回のセトリは安直にアニメシリーズでの曲をたどるのではなく、それでいてこれまでのAqoursの歩みと夢追う人たちのイメージを重ねて映画曲の希望のイメージを最大化するように構成されていたと言えるでしょう。Aqoursの物語が必ずしも一筋縄にはいかない夢のあり方を描く作品だったからこそ伝えられる「うまくいかない時があっても夢を追い続けることの美しさ、尊さ」というメッセージを、そしてこのような文脈を事前に立てているからこそ「新しい輝きへと手を伸ばそう」というメッセージが最大限聴衆に響くように構成されたライブだったのかなと思う次第です。

 

各セクションでの照明演出

 セトリを眺めている時に考えた構成の素晴らしさを語っただけでかなり文字数が多くなってしまったのですが、各セクションでの役割と照明演出におけるモチーフとの対応を見ていくにはどうしても欠かせないのでお付き合いいただきました。ここからは照明装置の動きだったり壁に映った光の模様の動き方を中心にセクションテーマがどのように表現されているかを見るとしましょう。ここで記述する照明の演出はDay2でメモを取ったものなのでセトリはDay2のものとなります。

 

 まず最初のセクションですが、ここでの照明の特徴はライトを固定して光の軌道は動かさずに曲のリズムに合わせて照明を点滅させたり色を変えて照明に変化を生み、ステージ上のLEDライトの方で動きを出していました。ステージ上部についたサスペンションライトや床や客席の位置にあるコロガシのようなライト(ここではフロアライトと呼ぶとしましょう)が曲中で回っていたのは青ジャンでの間奏くらいでしょうか。このような「直線的」「固定的」といった印象の照明演出は「ワンウェイ」の文字によく現れるような迷いのなさを強調しているように思えます。まさに夢に向かってまっしぐらな頃の象徴的な態度を意識した演出だったのではないでしょうか。

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特に資料を参照してないので造形はイメージです


 

 この直線的だった照明演出はSKY JOURNEYになると一変します。SKY JOURNEYの照明はサビの部分でサスペンションライトとフロアライトを大きく回して演出していました。実はこの時ステージにつけられたモニターでは矢印がぐるぐると回るような映像がカメラ映像に上乗せされていました。この二つは「堂々巡り」「同じところをぐるぐる回って先へ進めない」というイメージを強調します。2つ目のセクションは夢の道半ばで迷う部分であることを考えるとここを照明演出に組み込むことは非常に納得いきます。Daydream Warriorは曲調自体がとてもハードで直線的な照明イメージと相性がいいです。このためサスペンションライトやフロアライトは固定で演出されていました。しかし、キャストがセンターステージへと移動した後、センタステージの縁のLEDライトがセンターステージの周りをぐるぐると回るように光を回していました。(下図参照)またステージの方から目をあげるとステージを囲うようにスタンド席上部に設置された照明ブースから大きな円を作るようにライトが飛ばされていたのも印象的でした。下図では客席の方から見たイメージでしか描けませんでしたが、5thライブの会場ではスタンド席の奥の方に照明棟が組まれていて、スポットライトと細い光を出せるライトが4つ備え付けられていました。ちょうどこの照明棟が会場をぐるっと囲むように合計10棟設置されていて、下図のように細い光を各棟から左右に飛ばすことで全体として大きな丸を作っています。このように2つ目のセクションでは円のイメージが照明演出に取り込まれていました。

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客席上部のライトとセンターステージを縁取るLEDライトのイメージ

 

 さて逃走メビウスループの照明に関するメモが全く残っていないのですが、予測不能DrivingについてはAメロの時点でサスペンションライトをサーチライトのようにあちこちへと動かしていました。このサーチライト様に動かす照明演出はMarine Border Parasolとハジマリロードでも使われていました。ここまでは直線と円という規定された動きであったのに対し、サーチライトはどの方向を照らしているのか定まらないという動きです。これは3つ目のセクションで描かれる「自由」を象徴しているのでしょう。どこへ行こうか決まらないけれど、ただの迷走ではなく次行く先を探すという積極性を伴う行為がサーチライトから感じ取れますね。メビウスループから始まるこの3つ目のセクションでのテーマが「迷走→自由」というイメージの刷新であることを考えると、この積極性という違いをしっかりと照明演出に反映させてくるあたり仕事の堅実さが伺えます。

 

 Hop Stop Nonstop!はまた考察に使えそうなメモが全然残っていないのでどのような演出だったかしっかりと思い出せないのですが、その後に披露されたHappy Party Trainではサスペンションライトを回す演出から固定する演出へ変えるのを曲中で行なっていました。この次のMy list to you、未来の僕らは知ってるよでもサスペンションライトを固定した演出をメインに行なっていました。これは回転→固定という演出ですが、ちょうど1, 2番目の照明演出の逆になりますので迷っているところからまた再び夢を見据える状態への変化を示唆していると考えられるでしょう。このセクションはここまでのセトリを映画曲中心の部分へと接続するところなので、「夢を再び追い求める」という演出は映画曲への接続部としてはぴったりではないでしょうか。しかも、セトリ上このセクションでは迷いなどを乗り越えた後での夢を見据えられている状態と考えると、夢はおそらく叶ったのではないかと思えてなりません。というのももしまた探しているのであればサーチライト的な動かし方を使えばいいからです。そこをわざわざ直線のライトを使っているということはしっかりと夢を見られている、自分の進むべき場所がしっかりと見えていることの表れなのではないでしょうか。君の瞳を巡る冒険の目線で捉えるなら、自分の瞳に夢を映すことができた状態だと捉えられます。だからこそみら僕のラストに現れる「we got dream」という歌詞にさらなるパワーを上乗せして、夢は叶うという強いメッセージを生んでいます。

 

 こうして「夢は叶うよ」というメッセージを焼き付けたあと、ライブは映画曲と全巻購入特典へと移ります。別れはあってもそれまでの軌跡は自分の中に残っているというテーマを映画曲で導入し、それぞれの特典曲で卒業を明るく彩っていきます。この辺りは映画の大きなテーマと重なりますし、映画の追体験的なセクションと考えていいでしょう。そして最後にNext Sparklingで「明日は今日より夢に近いはずだよ」、さらには「止まらない 熱くなって 新しい輝きへと手を伸ばそう」と歌ってライブを締めくくるわけですね。この「止まらない 熱くなって」のあたりは冒頭のスリリングワンウェイと重なる訳で、新しい輝きとは新しい夢と解釈できるでしょう。この部分で改めてMarine Border Parasolの「夢は変わって行く」やBrightest Melodyの「新しい夢、繋がってくんだ」という部分が頭に浮かびます。以下無限ループって感じですね笑

 

 まとめ

今回はセトリの解釈を中心にそれに沿う形で照明がどの様に演出に利用されていたかをたどってみました。ライブから時間が経ってしまって覚えていない部分も多い中拙い長文にお付き合いいただいた読者の皆様には感謝いたします。「以下無限ループ」と先ほど書いたのですが、新しい夢で同様のことを繰り返すということなので完全な無限ループではないことが大切ですね。これを書きながら思ったのですが、劇場版のパンフレットで酒井監督も「日常を繰り返している様で少しずつ変わっているということを表現したかった」とインタビューに答えていましたが、夢を叶えては新しい夢を追って、こうして人は成長していくのだろうと考えると今回の5thライブは酒井監督と同じ方向を向いていたのでしょう。そしてそのメッセージの一部でもこうして汲み取れたこと、またもし読者の皆さんがこのブログを読んで夢への希望を新たに持つことの一助になれたのであれば書き手冥利に尽きるというものです。私も夢に向かって突き進むぞという気持ちを強く持てたので、また少しずつ頑張っていこうと思います。

 

それでは皆様、また会う日まで……!!

 

 

おまけ

 ここからはおまけです!やっぱり曲の中で特に印象に残った最高の照明演出について語りたいという私の欲望をここで放出していこうと思います(笑)

 

 今回はBrightest Melodyの照明ですね、何と言っても壁面に投影した光の模様の使い方が良かった。そして香貫山からの朝日を普段観客を煽る時に使ってる大光量のライトでやっていることのわかりみが深かった。

 

 香貫山のシーンは映画でもかなり目立つ演出だったので印象に残っている方も多いのではないでしょうか。ちょうど衣装が変わるところですね。「衣装チェンジやばかった!!」と周囲のみんなが口々に発している中私は一人ステージ上部のライトを見て「うおおおおおおお!!!!!!!!」と叫んでおり、肝心の衣装チェンジの部分を見られなかったのが残念でなりません。Blu-rayはよ!!!!って気持ちでいっぱいです。しかし実はこの香貫山の朝日のライブ演出はライブ前に自分で予想していたのもあって、自分の考えた演出と実際の演出が重なった時の感動はひとしおでした。香貫山のシーンは中央モニターでバッチリ映っていたのですが、そこに妥協せず照明装置でも同様のシーンの再現をしようとする照明さんのお仕事には感服するばかりですね。

 

 そして大光量ライトとは別にもうひとつ、Brightest Melodyの照明演出では壁面に投影するライトが2種類使われていました。舞台照明で言う所のゴボネタってやつですね。ライブ中に壁面にライトで模様を投影すること自体は珍しくないのですが、私が覚えている限りでは2種類同時に壁面に投影したことはなかったので、何か演出上の意図があるのではと勘ぐって注目していました。

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Brightest Melody中で使用されていた壁面投影用のライトのイメージ

上図に示した2種類が2塁スタンド席の真上に使われていたのですが、Brightest Melodyで2種類といえばやっぱり3年生と1、2年生なのかなと思って見ていると、やはりそうなのではと思えるような演出が見受けられました。曲の1番では二つのライトは同じ動きをしていたのですが、3年生パートがない2番ではbメロのところで、壁面投影1のライトが止まっているのに壁面投影2はくるくると回っていたんですね。そこをみて壁面投影2のライトはもしかして1、2年生を象徴しているのでは?と思っていた訳です。やっぱりライトが静止していると「アクティブじゃない」感じがするんですよね。学校から卒業してしまえばOGになってしまう訳で、学校の生徒というアクティブな状態ではいられなくなってしまうんですね。そう考えると止まっている壁面投影1は卒業した3年生を、動いている壁面投影2は在学している1、2年生を表している様に印象づけられます。この後のサビでは壁面投影1も回っているので、歌っている人たちにある程度対応させた動きにすることでこの対応関係をより強固なものにしているなと感じます。

 

 そして間奏後の「輝いていたいんだこのまま進もう」の直後、3年生の3人が「Ah, どこへ行っても忘れないよBrightest Melody」と歌い始めるところで壁面投影1のライトが会場の左右へサッとはけたんです。「卒業した!!!!!!!!!!!!」と思いました。3年生が卒業しても一緒に過ごした時間は変わらないし、繋がりは消えないんだよな!!!サンフレなんだよな!!!!!と思ってそれはそれはハチャメチャにエモい演出だなと思いました。ラストのサビでは壁面照明1が再び2塁スタンドの上に戻ってきて、壁面照明2と一緒にくるくる回る演出が使われます。たとえ居場所が離れてしまっても、このBrightest Melodyがみんなの心を繋いでくれるんですねと、やっぱりサンフレなんだよな!!!!とこみ上げる感慨は今でもよく覚えています。映画の文脈だとどうしても1、2年生が「心はいつも3年生も一緒だよ」ということに気づいて前へ進む力を得られた曲として印象付けられてしまうんですが、3年生もまた3人別々の道を歩み新天地での生活に不安もあることだろうと思うんです。映画に映らなかった場面でもしかしたら3年生もまた各々の中に不安を抱えていたかもしれない、それでも前へ進もうという原動力は単に3年生同士の繋がりだけでなく、心では1、2年生もまた力を貸してくれるんだというところから勇気を得ているかもしれない。そんな3年生目線をサラッと照明演出に反映してくる照明さんめちゃくちゃすごくないですか!?!?僕はすごいと思います。

 

 映画のテーマを再構成している様に演出しつつ、細かい部分で映画の再構成にとどまらない演出を見せる照明さん達には感服するばかりです。やっぱり照明演出大好きです…。それと勢いで「サンフレなんだよな!!!」と2度も書いてしまいましたが、何のことだ?と思った方はぜひ4thライブのThank you, Friendsの照明考察を合わせて読んでいただければと思います。リンクを下に貼っておくので、気になった方はぜひそちらからアクセスして見てください。

 

masake.hatenadiary.jp

 

それではここで本当におしまいにしたいと思います。おまけまで付き合っていただいた方には改めて最後で読んでいただいてありがとうございますと謝辞を述べたいと思います。みなさんが「照明って面白いな」と少しでも感じていただければとても嬉しいです。長文失礼いたしました。

 

 

それではまた会う日まで、お元気で!!!

 

Aqours 5thライブ2日目に向けて、Believe Againを楽しみ尽くすための照明の見所

※この記事はAqours 5thライブのセトリの一部とその演出のネタバレを含みます。回避したい方はここでブラウザバックを推奨します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まずは5thライブ1日目おつかれ様でした。私は友人の連番でライトスタンドのベンチ席に入ることができたのですが、ステージ真横よりもステージ裏に寄った「半見切れ席」のような位置だったので正直今日の夜に照明考察をあげられるのか少し不安視していました。しかし実際ライブが始まってみるとデメリットは中央・サイドモニターの映像とレーザー演出が見えないくらいで、通常の客席よりも広く照明演出を見ることができる位置だったので、その事実も含めてかなりの収穫でした。レーザー演出についても壁に当たったレーザーの光を追うことである程度どのような見え方になるのか予想はできたかなと思います。

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今回の席位置

 

 さて今回のライブもスリリング・ワンウェイや恋になりたいAquariumの照明演出の一部が変わっていたりと細かな変化は見られました。ヨーソロードのような安定した演出がある一方でこのような変化が加えられると毎回新鮮な気持ちで曲を聴くことができていいですね。毎度のことながら舞台監督さんや照明機材を実際に操作しているスタッフさん達には頭が上がりません。

 

 しかし明日に2日目を控えた夜に照明考察をあげる以上、今まで照明にあまり目を向けてこなかった読者の方に少しでも照明を見ていただければと思って今回は記事を書こうと思います。そういうわけで今回の記事でピックアップするのは2日目にもやりそうなBelieve Againです。Believe Againは劇場版の照明の再現にとどまらず元のMVを超えるような演出がとても秀逸でした。照明を楽しむ上での要求度でいうとBelive Againはステージを見据えたまま見られるのでハードルは低めです。今まで照明を気にしたことがないという読者の方がBelieve Againの照明演出よかったなと思っていただければ個人的に大成功ですね(笑)

 

 では早速Belive Againの照明演出を紹介していきましょう。Believe Againの映画中での印象といえば画面の両サイドから煌々と画面を貫く白いレーザーとサビ部分での旧函館区公会堂をバックに踊るシーンでしょう(画像探して一番マシだったのがニュースで使われた下の写真でした…)。この曲はモノクロームの引き締まった印象とサビの部分の色味を使った演出とのコントラストが重要な曲です。

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Belive Againの照明演出はまさにこのコントラストを維持しつつ、映画では描けなかった高度な演出を行なっていました。モノクロームの要素は白色のライトを点滅させながら様々な方向に飛ばすことで、ロック調な曲の激しさと同時に直線的なソリッドさを演出していました。白色のライトはその光の筋がしっかり見える強さで一直線に放たれていたので映画の作画に見られたレーザーのような直線性をしっかりとさらいつつ、客席のどこから見ても「硬いかんじ」が伝わるように設計されていました。一方でサビの部分ではステージから客席の上方に向けて白、青、ピンクの3色のライトが放たれ上下にゆったりと動いていました。これはサビの部分で旧函館区公会堂に投影された雪の結晶のモチーフと同色ですのでそれを意識しての配色でしょうし、ただ投影するだけでなく上下に動かしたのも劇中で模様が流れるように動いていたのを意識しているのでしょう。もしかしたらこの結晶の模様自体を投影できるような照明装置を作って持ってくるのかもとも思っていましたが、流石にそれはありませんでした(笑)。Believe Againの照明でちゃんとピンク色を入れる所に信頼が置けますよね。この曲はルビィの提案からSaint Snowが、そしてなにより鹿角理亞が再起する曲ですが、その輝きにおけるルビィの働きは決して小さくありません。劇場版を見たときも思いましたが鹿角聖良と黒澤ルビィのどちらが欠けても鹿角理亞は立ち直ることができなかったでしょう。その再出発におけるルビィの貢献は照明だけでなく、理亞ちゃんの衣装にのみピンクが使用されているところからも伺えます。

 

 さてしかしここでとどまらないのがこの曲の照明演出のすごい所だといえます。ステージからのライトですでに色味は加わっていますが、このとき同様の配色のレーザーを使ってライトだけでは物足りない色味を補填しています。レーザー自体は直線的なのですが、それを帯状に展開することで柔らかさを両立していました。そしてこのレーザーにのみ上の3色に加えてエメラルドグリーンに近い緑色が織り込まれていました。なぜここにきて元の映像にない色を加えるのか、エメラルドグリーン以外の色であれば私はその目的を理解できなかったでしょう。しかしSaint Snow黒澤ルビィ、エメラルドグリーンから連想されるAwaken the powerのAqoursの衣装というキーワードと共にこの疑問は解消されます。Believe Againの照明にエメラルドグリーンの照明をあえて加えることによって、ただBelieve Againを演出するだけでなくそこに関連する重要な曲としてのAwaken the powerを見事にダブルイメージとして織り込んでいるのです。

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Aqoursメンバーの衣装の主色は明るいグリーンなんですね

Awaken the powerはいわば、妹たちが姉たちから巣立ちの一歩を踏み出した曲。その一歩は自立した姉のものと比べてひどくか弱く心もとない一歩であるけれども互いを支え合うことでその一歩を確実なものへと変えていく、そんな成長が見られる背景を持った曲です。Believe Againが披露されるラブライブ延長戦は、姉の間のやりとりを妹であるルビィが否定し自ら提案し実現へと運んだ企画です。Awaken the powerでの一歩が周りに支えられて踏み出した一歩であるとすれば、Believe Againの一歩は周囲の人を踏みとどまらせるより自立度の高い一歩だと言えるでしょう。つまりこの2曲を軸に描かれる物語はAwaken the power以前に見られる姉-妹の姉妹関係が2組という構造から姉-姉と妹-妹の関係性への構造的な変化であり、これこそがBelieve Againの最大の魅力の一つです。映画の中だけで完結しない劇場での感動を表現するためにはAwaken the powerの要素をBelieve Againの演出の中に組み込むことはむしろ必須と考えられるほどに重要な演出だと言えるでしょう。曲調や劇中での演出を主軸にして曲の音楽的な魅力や映像との視覚的な調和を前面に出しつつも、それを邪魔しない程度に物語的な視点を演出に織り込むことで劇場で見たときの感動すらも表現しようとする。こういった細かい部分に仕掛けられた連想の鍵を拾っていくことは照明を通して曲の楽しみを深める重要な要素だと思います。

 

 2日目のライブでもBelieve Againはきっとやるだろうと思いますので、ぜひこれを見るときにはぜひ映画のシーンだけでなくそこに至るまでのルビィや理亞の成長、そしてそれを見守るダイヤさんと聖良さんの心情に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。照明の演出に散りばめられたヒントをきっかけにライブの盛り上がりの中でもラブライブサンシャインの物語に触れてより重層的な楽しみ方をするきっかけになれば嬉しいです。

 

 ライブ2日目もAqoursSaint Snowのみんなに負けないくらい楽しんで、人生の中の最高の一瞬にしていきましょう!Day2がまた最高の1日になることを祈って今回の記事を締めくくらせていただきます。

 

ダイスキだったらダイジョウブの照明演出のバランス感がとても良いというお話

お久しぶりです、初めましての方はお初にお目にかかります。まさけです。

 

 照明演出のお話をするというニッチな目的でこのブログを開設したわけですが、そもそも「ライブがないことには照明演出を語ることができない!!」ということでどうしても更新をしないまま長い時間が過ぎる命運を背負ってしまいました。

 アジアツアーは台北公演を新宿のLVで見ていたのですが、LVで照明演出をみるのはかなり骨が折れました。当然ですが基本的にカメラさんがキャストの方々を抜いていくので照明演出を見ようと思ってもライトがどう動いているかとかはあまり見えないんですよね。結果、自分が以前見た照明演出やら画面の端に映るライトの動きやら曲調やらを考慮して照明装置の動きを事前に予想(そして一瞬引きで映った時には確認)したり、画面の端に映り込んだ床に当たった光の色を確認したりと現地の数倍頭を使ったのにあまり成果が得られない内容となってしまいました。とはいえ普段よりもたくさんキャストさんを見られたのでその部分はLVのいいところだなと思います笑

 しかし照明演出をより親しみやすいものにできるようにとこのブログを開設したわけですし、できることならもっと更新頻度をあげられればなあと考えています。そこで現在Blu-ray映像で照明演出を見られないか画策中でございます(需要あんのかこれ)。できた暁には同人誌にでもしようと思うので興味のある方は続報をお待ちください!

 

 

 さて本日はアジアツアーの3ヶ所目、TOKYO公演を友達の連番のおかげで現地参戦してきたわけですが、今回も素晴らしい照明演出が各所に見られて大満足でした。本題のダイスキだったらダイジョウブに入る前に、夢で夜空を照らしたいの照明についてすこしだけ…。なんといっても配色がとてもよかった。アニメ映像では夜から朝焼けへと移り変わる空の色が背景に広がったりそこに浮かぶランタンがとても綺麗な曲ですが、照明ではその夜空と朝焼けの空が見事に表現されていました。ステージ上に設置した固定のライトから青の光をメインで当てることで全体的に落ち着いた夜の色調を作り出し、そこにステージ前方からオレンジ色のライトを重ねて当てることで少し紫がかった色に調整していました。これが夜から朝方にかけての空の色となっていて曲の世界観への移入を促していましたね。私はこの演出を見た時「これがかつて清少納言枕草子に記した、夜明けの紫がかった空なのか」とその美しさに感動しました。また青だけでは光量が足りないので会場後方のスポットライトでキャストを照らして、ステージ真上のライトもオレンジ色にした光を弱く当てることで明る過ぎずしかしキャストがしっかりと観客から見えるように明るさが調整されていました。色調と光量の二つの側面から曲の雰囲気をしっかり形作った上で見やすさにもしっかりと配慮しているところはまさにプロの仕事だなと感じます。

 またライトの動かし方もゆったり左右に揺らす動きを基調に光の模様を会場の壁や天井に投影して回すなどBPMの低い曲調に寄せながら単調にならないように気が配られており仕事の細かさが伺えます。ちなみにサビの時後ろを振り向くと後方の壁面にはピンク色の光の点を四角に並べた光がいくつも並んでいてそれが回っていたのですが、その光景が朝焼けの海を写真に撮った時の水面のきらめきやフレアのようでこちらもまた非常に美しかった。演奏中後ろを振り向くことはあまりないとは思いますが、あくまでも会場全体を装飾している照明さんの仕事は観客だけでなくAqoursのキャストの皆さんにもまた綺麗な光景を見せているんですね。

 このほかにもミライチケットで下から前へ手をあげる振り付けに合わせてステージ上真上のサステインライトを一斉に下から前に飛ばしたり、未熟ドリーマーでは観客のコールを促す時に使う大光量のライトを使って花火の光を表現したりと曲への没入感を強める演出がなされていました。想いよひとつになれでも何かものすごくエモい演出があったような気がするんですが、とてもエモかったことだけが記憶に残って何がエモかったのかさっぱり忘れてしまいましたw やっぱメモ取るのは必須かもしれませんね笑

 

 上に書いた以外にもたくさんいい光の演出はあったんですが、そろそろ本題の「ダイスキだったらダイジョウブ」に移るとしましょう。ダイダイの照明の良さを一言で表すのなら、「素人感を適度に演出できるプロのバランス感覚」とまとめることができます。

 まずダイダイではどのような照明演出がなされていたかを振り返っていきましょう。アニメで放送された楽曲ということもあって全体的な色調は白熱球の色を基調に明るすぎないように調整されていました。会場後方からスポットライトでキャストさんを照らすことによってステージの照明を使わなくとも光量的に十分な見易さを確保していました。ちなみに稼働していたスポットライトは6本だったので一人につき2本ず当たっていたと思います。この後ろからスポットライトで照らしている様子は1期3話のむつといつきを思わせました。(本数は違いますが笑)こういうところでめちゃくちゃエモいと思っちゃうんですよね。

 さて固定ライトとスポットライトでキャストが十分に見える光量を確保できているのでステージ周りの動かせるライトを演出に使う準備が整いました。サステインライトやステージ上の可動ライトは蜜柑色、水色、桜色の3色を切り替えながら四方八方に光を飛ばして、ステージ上にいるキャラクターに寄せた演出となっていました。メンバーカラーに照明を揃えるのはまさに王道の演出、実家のような安心感を与えつつ動きのある伴奏にも対応できる照明パターンをここに持ってくるのは伴奏に疾走感のあるところとゆったりとしたテンポのところの両方があるダイダイの照明にはもってこいのセッティングと言えるでしょう。

 しかし、ここまで曲を盛り上げる舞台が整っているからこそサビでの照明演出に違和感を覚えたのは間違いありません。Aメロの部分でBPMに合わせるようにライトの色を切り替え、Bメロではライトの向きを変えて再び固定することでゆったりとした曲調に沿うような照明になっていました。ここまで曲調に寄せているのであればサビで再び盛り上がるところではサステインライトを上下左右に回すなり、上下の動きを繰り返してウェーブのような効果を狙うなり、サビの盛り上がりに寄せた照明演出がくるだろうと予想していました。ですが、実際の照明演出は再び照明の向きを変えた後に固定して、BPMに合わせたライトの点滅によって動きを出していました。壁面に模様を投影する照明も特に動員していなかったので奇しくもAメロの照明演出と似た演出となっていました。私の予想に反して、照明を回すように動かすことで動きを出したのはサビではなく間奏の部分でのことでした。サビの部分で照明を回してしまうと間奏部分での動きの出し方をまた別に考える必要が生じかねないので異なるモードで動きを演出することは合理的ではありますが、盛り上がりの強さを考えるとサビで動かしても良かったのではないかと考えられます。

 さて、以上の照明演出を踏まえて演出を納得できる形で解釈しようとすると、サビで照明を回さなかったことにむしろ明確な理由があると考えれば良さそうです。そしてこの答えは「ダイスキだったらダイジョウブはどんな背景を持った曲か」というところに見つけられました。この曲が放送されたのはアニメ1期の第3話、当時まだメンバーが3人だったAqoursの初ステージの曲でした。初ステージの曲という要素は振り付けにも反映されていて、比較的単純な振り付けが多く使われています。何かを始めたばかりの頃って当人としてはとても頑張っているんだけれども、いざ成果物として人に見せるとみんなはプロが作ったものをすでに見ているというのもあってどうしても見劣りしてしまうということがあります。ただ見ているだけだったものを自分でやってみるということの難しさは、何か新しいことに自分で挑戦してみたことのある人であれば大いに共感することでしょう。「ダイスキだったらダイジョウブ」という曲にはまさにこの初心者ならではの一生懸命さという魅力があります。パフォーマンスを構成するパーツはそれほど洗練されたものではないかもしれない、しかしその荒削りな中に確かな情熱を感じる時人は大きく心を動かされるものです。そんな荒削りな中の情熱は千歌たちだけのものだったのか?そんなことはありません。千歌たちをサポートすると決めたよいつむトリオもまた初めての裏方だったのではないでしょうか?ここまで言えばもうわかってしまいますね。そう、ライブにおける点滅を多用した照明は、振り付けと同様にAqoursの初ライブ感を演出するのみならず、Aqoursの初ライブを裏方で支えるよいつむトリオの初ライブの演出という意味合いを帯びているのです。実際照明を回す演出はたくさんのライトでやるほどに躍動感が出ますが、当時のAqoursのサポート体制ではおよそ実現不可能でしょう。また正確にライトを動かすことも機械やコンピュータの力を借りないことには難しいです。その点、ライトを点滅させるという演出はむつといつきの力でもできますし、ライブ演出上も動きが出てよりキャストの動きを際立たせることができます。ここまで考えていたんだとしたら、舞台監督さん素晴らしすぎる……。こんなエモい演出どうやったら思いつくんでしょうか。

 さて上に長々と書いたようなAqoursとよいつむトリオの初ライブという解釈を得た私は曲の演奏中に高まり散らしていたわけですが、ここに至ってさらに照明演出のプロフェッショナルな仕事に心を撃ち抜かれます。上にも書いたように荒削りな中の情熱とは心を動かすものですが、その演出をそのままやってしまうと今度はライブコンサートとしてパフォーマンスを見たときに少し物足りなくなってしまいます。曲自体がアニメという背景を背負っている一方で、実際にはライブパフォーマンスとして観客を楽しませなければならない。この矛盾した状況の打破に一役買っているのが照明でした。アニメでは見られなかった照明演出がライブにおいて見られるのは普通のことなのですが、メンバーカラーを次々に映し出す照明だけがアニメと異なるわけではありませんでした。照明演出の振り返りのところでも触れたように間奏部分では照明が回ります。つまりむつやいつきにはできなかったであろう演出が使われています。アニメという背景から乖離して実際のパフォーマンスの完成度という観点から考えると、Aメロ~サビにかけては照明がほとんど固定されているので間奏で照明を動かすことによって演出の中に緩急が生まれ演出が飽きのこないものになります。アニメと密接に関わりあってしまう歌詞という要素があるAメロ~サビにかけては曲調に寄せつつもアニメの背景を意識した照明演出をとる一方で、歌詞のない間奏の部分ではアニメという背景から離脱してライブパフォーマンスとしての完成度を上げることを意識する。稚拙さとパフォーマンスとしての完成度という一見矛盾する二つの要素を絶妙なバランス感覚で照明さんは達成していたんですね。ライブ中曲の2番が終わったところでこれに気づいた私はそりゃあもう高まるなんてものじゃありませんでした。曲が終わった瞬間に連番していた友達にオタク特有の早口で話しかけてしまいました。

 

 あいも変わらず長々と書いてしまいましたが、このようにダイスキだったらダイジョウブという曲を最大限にライブ用の曲として演出した舞台監督さんと照明さんにはただただ脱帽するばかりです。これからもライブを見るたびにこういう発見があるんだろうなと思うと心が踊りますね!

 

 Aqours史上初のアジアツアーも残すところ韓国のみとなりましたが、嬉しいことにアジアツアーはセトリがほとんど変わりません。もし韓国公演を現地で見る方が読者の中にいたのなら、ぜひダイスキだったらダイジョウブの演奏中にほんの少しだけでも照明演出に意識を向けていただけたらと思います。また現地ではないけどLVで参戦!という方も、カメラさんが照明を抜いてくれることは望むべくもありませんが、キャストの後ろに映り込んだステージの色調やライトの色がアニメとリンクしているかもしれないと一瞬気にしていただけたのなら照明推し冥利につきます。

 

 アジアツアーの先には5thも控えていますし、個人的にはBlu-rayで楽しむ照明演出企画の実現も頑張らねばなと思います。まだまだやることが尽きないラブライブサンシャインのこれからの展開に輝かしい未来があることと、私に何とか5thライブの現地チケットが舞い降りてくることを願って今回のブログを締めたいと思います。

 

それではみなさん、また会う日までお元気で!