Aqours 5thライブ2日目に向けて、Believe Againを楽しみ尽くすための照明の見所

※この記事はAqours 5thライブのセトリの一部とその演出のネタバレを含みます。回避したい方はここでブラウザバックを推奨します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まずは5thライブ1日目おつかれ様でした。私は友人の連番でライトスタンドのベンチ席に入ることができたのですが、ステージ真横よりもステージ裏に寄った「半見切れ席」のような位置だったので正直今日の夜に照明考察をあげられるのか少し不安視していました。しかし実際ライブが始まってみるとデメリットは中央・サイドモニターの映像とレーザー演出が見えないくらいで、通常の客席よりも広く照明演出を見ることができる位置だったので、その事実も含めてかなりの収穫でした。レーザー演出についても壁に当たったレーザーの光を追うことである程度どのような見え方になるのか予想はできたかなと思います。

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今回の席位置

 

 さて今回のライブもスリリング・ワンウェイや恋になりたいAquariumの照明演出の一部が変わっていたりと細かな変化は見られました。ヨーソロードのような安定した演出がある一方でこのような変化が加えられると毎回新鮮な気持ちで曲を聴くことができていいですね。毎度のことながら舞台監督さんや照明機材を実際に操作しているスタッフさん達には頭が上がりません。

 

 しかし明日に2日目を控えた夜に照明考察をあげる以上、今まで照明にあまり目を向けてこなかった読者の方に少しでも照明を見ていただければと思って今回は記事を書こうと思います。そういうわけで今回の記事でピックアップするのは2日目にもやりそうなBelieve Againです。Believe Againは劇場版の照明の再現にとどまらず元のMVを超えるような演出がとても秀逸でした。照明を楽しむ上での要求度でいうとBelive Againはステージを見据えたまま見られるのでハードルは低めです。今まで照明を気にしたことがないという読者の方がBelieve Againの照明演出よかったなと思っていただければ個人的に大成功ですね(笑)

 

 では早速Belive Againの照明演出を紹介していきましょう。Believe Againの映画中での印象といえば画面の両サイドから煌々と画面を貫く白いレーザーとサビ部分での旧函館区公会堂をバックに踊るシーンでしょう(画像探して一番マシだったのがニュースで使われた下の写真でした…)。この曲はモノクロームの引き締まった印象とサビの部分の色味を使った演出とのコントラストが重要な曲です。

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Belive Againの照明演出はまさにこのコントラストを維持しつつ、映画では描けなかった高度な演出を行なっていました。モノクロームの要素は白色のライトを点滅させながら様々な方向に飛ばすことで、ロック調な曲の激しさと同時に直線的なソリッドさを演出していました。白色のライトはその光の筋がしっかり見える強さで一直線に放たれていたので映画の作画に見られたレーザーのような直線性をしっかりとさらいつつ、客席のどこから見ても「硬いかんじ」が伝わるように設計されていました。一方でサビの部分ではステージから客席の上方に向けて白、青、ピンクの3色のライトが放たれ上下にゆったりと動いていました。これはサビの部分で旧函館区公会堂に投影された雪の結晶のモチーフと同色ですのでそれを意識しての配色でしょうし、ただ投影するだけでなく上下に動かしたのも劇中で模様が流れるように動いていたのを意識しているのでしょう。もしかしたらこの結晶の模様自体を投影できるような照明装置を作って持ってくるのかもとも思っていましたが、流石にそれはありませんでした(笑)。Believe Againの照明でちゃんとピンク色を入れる所に信頼が置けますよね。この曲はルビィの提案からSaint Snowが、そしてなにより鹿角理亞が再起する曲ですが、その輝きにおけるルビィの働きは決して小さくありません。劇場版を見たときも思いましたが鹿角聖良と黒澤ルビィのどちらが欠けても鹿角理亞は立ち直ることができなかったでしょう。その再出発におけるルビィの貢献は照明だけでなく、理亞ちゃんの衣装にのみピンクが使用されているところからも伺えます。

 

 さてしかしここでとどまらないのがこの曲の照明演出のすごい所だといえます。ステージからのライトですでに色味は加わっていますが、このとき同様の配色のレーザーを使ってライトだけでは物足りない色味を補填しています。レーザー自体は直線的なのですが、それを帯状に展開することで柔らかさを両立していました。そしてこのレーザーにのみ上の3色に加えてエメラルドグリーンに近い緑色が織り込まれていました。なぜここにきて元の映像にない色を加えるのか、エメラルドグリーン以外の色であれば私はその目的を理解できなかったでしょう。しかしSaint Snow黒澤ルビィ、エメラルドグリーンから連想されるAwaken the powerのAqoursの衣装というキーワードと共にこの疑問は解消されます。Believe Againの照明にエメラルドグリーンの照明をあえて加えることによって、ただBelieve Againを演出するだけでなくそこに関連する重要な曲としてのAwaken the powerを見事にダブルイメージとして織り込んでいるのです。

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Aqoursメンバーの衣装の主色は明るいグリーンなんですね

Awaken the powerはいわば、妹たちが姉たちから巣立ちの一歩を踏み出した曲。その一歩は自立した姉のものと比べてひどくか弱く心もとない一歩であるけれども互いを支え合うことでその一歩を確実なものへと変えていく、そんな成長が見られる背景を持った曲です。Believe Againが披露されるラブライブ延長戦は、姉の間のやりとりを妹であるルビィが否定し自ら提案し実現へと運んだ企画です。Awaken the powerでの一歩が周りに支えられて踏み出した一歩であるとすれば、Believe Againの一歩は周囲の人を踏みとどまらせるより自立度の高い一歩だと言えるでしょう。つまりこの2曲を軸に描かれる物語はAwaken the power以前に見られる姉-妹の姉妹関係が2組という構造から姉-姉と妹-妹の関係性への構造的な変化であり、これこそがBelieve Againの最大の魅力の一つです。映画の中だけで完結しない劇場での感動を表現するためにはAwaken the powerの要素をBelieve Againの演出の中に組み込むことはむしろ必須と考えられるほどに重要な演出だと言えるでしょう。曲調や劇中での演出を主軸にして曲の音楽的な魅力や映像との視覚的な調和を前面に出しつつも、それを邪魔しない程度に物語的な視点を演出に織り込むことで劇場で見たときの感動すらも表現しようとする。こういった細かい部分に仕掛けられた連想の鍵を拾っていくことは照明を通して曲の楽しみを深める重要な要素だと思います。

 

 2日目のライブでもBelieve Againはきっとやるだろうと思いますので、ぜひこれを見るときにはぜひ映画のシーンだけでなくそこに至るまでのルビィや理亞の成長、そしてそれを見守るダイヤさんと聖良さんの心情に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。照明の演出に散りばめられたヒントをきっかけにライブの盛り上がりの中でもラブライブサンシャインの物語に触れてより重層的な楽しみ方をするきっかけになれば嬉しいです。

 

 ライブ2日目もAqoursSaint Snowのみんなに負けないくらい楽しんで、人生の中の最高の一瞬にしていきましょう!Day2がまた最高の1日になることを祈って今回の記事を締めくくらせていただきます。