久しぶりの照明レポ 〜AqoursのValentine's Dayライブに行ってきました〜
この記事はラブライブ!サンシャイン‼️ Aqours EXTRA LoveLive 2023 〜It`s α 無限大☆WORLD〜 Valentine's Day Concertのネタバレを含みます。ネタバレを踏みたくない方はブラウザバックを推奨します。
さてみなさん、大変お久しぶりです。初めましての方は(いるのか?)初めまして。
まさけです。
最後に書いた記事が去年のバレンタインデー、Aqours 6thの記事でしたので実に約1年ぶりの更新でございます。体感はもっと長いことライブに行っていないと思っていたので、ちょっとびっくりしました。開演前エンカしたフォロワーさんに「下手したら2,3年くらいライブ行ってないかも」なんて言ってしまって、図らずも話を盛ってしまったなと少々反省したくらいです。
ここ1年は二次創作に加えて一次創作にも手を出しまして、その忙しさに追われてライブ会場に足を運ぶことができていませんでした。くわえてLiellaがとても精力的にライブを行なっているおかげでタイムラインで目にするライブの情報は以前に比べて確実に増えています。そうした状況重なってもう長いことライブに行っていないという錯覚を生んだのかもしれませんね。
前置きはさておき、1年ぶりのライブで新曲の情報もあまり追えていない中、飛び入りで参加してどれだけライブを楽しめるのか少し不安もありました。ですが、いざライブが始まってみればその懸念はどこへやら、久しぶりの声出し解禁ということもあって3時間のライブはあっという間に過ぎていきました。
飛ぶように過ぎていった中で印象に残った演出をセットリスト順に振り返りつつ、ライブ全体の印象にも触れていけたら良いなと思います。
それでは参りましょう。
1. 待ってて愛のうた
一曲目の『少女以上の恋がしたい』に続く2曲目にまさか『待ってて愛のうた』が来るとは驚きました。個人的にはライブの中盤、ちょっと落ち着いてきたくらいの頃に歌われる印象を持っていたので、こんな序盤にこの曲を聞くのは新鮮味がありました。
『待ってて愛のうた』の普段の照明といえばやはり会場全体の色調が水色からオレンジ色に変わるところが印象的です。一番を水色で通し、二番から(あるいはそのサビから)オレンジ色に切り替える演出がよく用いられていますね。
水色の光は昼間の海の印象を、オレンジ色は夕日の差した海岸の印象を与えて、一曲を通して時間の流れを感じられるような演出。曲中でも印象的な「待っててくれるかい」というフレーズとこの光の演出が合わさることで、実際に答えを出してくれる時まで待ったような感覚さえ覚える、物語的な印象の演出です。
しかし今回のライブでは1コーラスの中で水色からオレンジに変わるという演出に変わっていました。メロ部分では水色を、サビ部分ではオレンジ色を使うことで、これまで1曲の長さを使って表現してきた時間の経過を1コーラスという短さに圧縮する演出、皆さんはここからどんなものを感じ取るでしょうか。私はこれが「思い出」や「記憶」のように感じられました。過去にあった体験を思い出す行為、それがたとえ昨日のことだとしても10年前のことだとしても、私たちはものの数分で過去の追体験を終えます。こうした時間の圧縮が今のAqoursにはあるのだとこの演出は言っているのではないか。少女だった彼女たちはそれぞれの経験を経てひとまわり成長した姿で今このステージに立っているのだと訴えかける力を感じました。
ガイシホールの1stライブ、あのステージに立っていた頃とは違う景色が見えると伊波杏樹さんはMCで語っていました。また逢田梨香子さんも新しいことに挑戦したかったとMCで語っていました。ライブをするということ自体が新しかったデビューまもないAqoursの面々とは対照的に、数多のステージを経験してきた今のAqoursの面々にとってライブをすること自体は「新しい体験」にはなり得ないのでしょう。ライブをする、歌や踊りを披露するという変わらないことがある一方で、新しい曲や新しい振り付けなど変わっていくものがある。これはまさにAqoursの歴史であり成長です。今までライブの中盤に披露しがちだった『待ってて愛のうた』を序盤で披露することも、照明の演出に目新しい変化を加えることも、この新しい挑戦の一環だったのではないでしょうか。
全く新しい演出に変わっていたら、きっとこんな感想は抱かなかったでしょう。それだけに、水色の照明がオレンジに変わるという「変わらないもの」を演出の中に残しているのは非常に粋な計らいだと感じました。
2. New Winding Road ~ さかなかなんだか?
続きましてはソロ曲パートから3年生曲の部分を取り上げましょう。各曲の演出も良かったですが、曲と曲をよりスムーズに繋ぐ視覚的な配慮も光るパートでした。
まずはNew Winding Roadから。
一曲の中で照明の色調が白→水色→オレンジ色→白と変わっていったことにお気づきになったでしょうか。加えてこの白のライトの調整が絶妙でした。蛍光灯のような白ではなく、若干の黄色やオレンジが混ざった白。より自然光に近い温かみのある白色のライトは朝日が昇る頃の空を思わせる色でした。そこから水色を経てオレンジへと変わる光、推測はやがて確信へ変わります。この照明は空の色であり、ひいてはその色が連想させる時間帯の比喩なのだろうと。
朝起きた時、昼食を黙々と食べる時、職場や学校からの帰り道。人がぼうっと物思いに耽ったり、取り留めのない考え事をしたりする時間帯がこの色には表れているんじゃないかと感じました。きっと歌詞のせいもあるでしょう。「目を閉じたらふとよぎる歌」「遠く離れて気がついたこと」「みんな元気でまた会えるように」こうした言葉の数々、そしてそれをノスタルジックに歌い上げる鈴木愛奈さんの歌唱力によって、ライブ会場には高校卒業後、あるいはその遥か未来で自分の目標に邁進する小原鞠莉の姿が見えた気がしました。目標に向かって突き進むその合間の休憩時間に旧友を思い、「元気でやっているかしら」なんて呟く姿もありありと浮かんできます。きっとAqoursメンバーで集まって同窓会をしたりするのでしょう。みんなで集まれないにしても、ダイヤさんを食事に誘って、そこの会話でルビィちゃんの近況を聞いたりするのでしょう。
この曲から見える情景は、なかなかメンバー全員での時間が取れなくなってきても一緒に同じ目標を追いかけた思い出を糧に日々を強く生きたり、次会った時も胸を張れるようにと努力を重ねていくAqoursの面々の姿です。「成長したAqours」という印象が強く焼き付けられました。
続いてWHITE FIRST LOVEについて。
まず『New Winding Road』の照明を白で締め括ったことで、同じく白色の照明を使うWHITE FIRST LOVEの視覚的な導入がとても綺麗にできています。白という色が演出上別の意味合いを持つとしても、ソロ曲を繋げていく構成のなかでライブ全体での一体感が強く感じられるつなぎでした。
『New Winding Road』では朝日の空を連想させた白色の照明ですが、『WHITE FIRST LOVE』では一転、雪を思わせる模様を会場の壁に描きながら使われていました。ちょうどステージの向かいの壁を見ていると上から雪の粒が降ってくるような光景になる瞬間もありました。
こうした白色のライトを使った雪の表現は決して初めてではありません。Saint Snowが関わったライブでは大きなミラーボールを使って降りしきる雪が表現されたこともありました。そして雪の演出はいつも一方向に流れる雪、空から降ってくる雪を眺めるような演出でした。我々が普段雪という現象に触れる時は上から降ってくることがほとんどでしょうから、照明で雪を表現する際にも上から降ってくるように見せることは理にかなっているでしょう。
しかし今回の雪の演出は、曲の大部分で雪の模様が縦横無尽に動いていたという点で過去の演出と大きく異なったと言えるでしょう。縦横無尽に動く雪とは、言い換えれば宙を舞う雪です。重力に逆らってまでそんな挙動をするとすれば、そこには強い乱気流のようなものが発生しているからなのでしょう。『WHITE FIRST LOVE』の白色照明は地上に降り立つよりももっと上空の、雪に吹き付ける乱気流を表現してみせました。
誰かに恋をして、その人の言動に一喜一憂する感情の揺れや、あるいはやっとの事で告白まで漕ぎ着けて、その返答を待っている間の永遠にも思える気持ちの乱高下をこの雪に託した演出は秀逸です。WHITE FIRST LOVEはもとより恋をした人がその想いを伝えようと思い立つまでが描かれた歌ですが、Valentine's Dayライブで披露され、乱気流に揉まれる雪が添えられることで、歌に描かれた物語の一歩先を見られたような気がしました。果たしてこの恋が実ったのか、その答えを知る由はありませんが、自分の気持ちを込めたチョコレートを渡して、相手の反応を伺うダイヤさんの表情がライブを通して浮かび上がってくる、そんな体験があるパフォーマンスだったと感じました。
最後に『さかなかなんだか?』について。
『WHITE FIRST LOVE』の時と同様、直前の曲の演出の要素を引き継ぐことで曲への没入感を高める工夫がここでも見られました。注目したいのは照明機材の動き。あるいはそれによって壁に映った光の動き。『さかなかなんだか?』のスポットライトは終始上下左右に自由に動き回ります。しかし今度はゆったりとしたスピードで。縦横無尽に空間を駆け抜けた雪の動きのスピードを落とすと、そこには水中の浮力を感じさせる自由な光の動きが現れるのです。
色調を変え、光の模様を変え、照明機材から放たれる光線の印象はだいぶ変わりますが、その動きを見てみれば直前の曲からスピードが落ちただけ。ただそれだけのことで空中の雪の浮遊感をそのまま水中の浮遊感に置き換える演出は技ありな表現だと感じました。
この「浮遊感」は『さかなかなんだか?』という曲を表現する上でも重要な要素になっています。踊るようなワルツのメロディに心を浮かされてついつい海の中を泳ぐような心地よさばかりが印象に残りがちですが、『軽くなるきっと 心は憂いは』という歌詞にも現れているように、この曲の楽しげな雰囲気の後ろには悩みを抱えた果南が隠されています。重たい気分を紛らわすために水と戯れる果南、その瞬間に彼女が感じている水中の浮遊感が、ゆったりと自由に動くエメラルドグリーンの光によく現れています。身体感覚な部分にアプローチする演出は果南らしさが出ているような気がしていいですよね。
しかし曲の最後に着目すると、果南は岸に上がるときに「でも心は軽くなってた」といって曲を締め括ります。落ち込んだ気分が気晴らしをすることで晴れていく体験、こうした緊張からの解放という要素は、『WHITE FIRST LOVE』からの転換に見た乱気流の動きから水中の浮遊感という印象の相転移に綺麗に反映されています。
3. DREAMY COLOR
DREAMY COLORの照明が印象に残っている人はあまり多くないかもしれません。照明の色は水色一色に統一され、動きもない。舞台のセットや大道具のように、キャストのパフォーマンスを見せるキャンバスの一部としてこの曲の照明は機能しています。照明単体で見た時の主張の少なさ、これがDREAMY COLORの照明の特徴だと感じました。
DREAMY COLORはバラードのようなゆったりした曲ではありませんから、スポットライトのような大きな照明を動かさないということはそれだけ余計な視覚情報を入れたくないという意思の表れです。「キャストを見ろ」という強いメッセージが沈黙の中に感じられる演出でした。
このようにキャストのパフォーマンスを見せる照明のあり方は、テレビの歌番組や大きなライブフェスなど、キャストのパフォーマンスを見せることに重点を置いたライブを思わせます。ライブという機会を考えるとこれは当たり前のことのようにも思えますが、ラブライブ!というコンテンツを考えると、これは照明演出における大きな転換があるように感じます。
ラブライブ!は(少なくとも一側面では)声優コンテンツであり、ステージ上で踊っているのもまた声優。彼女たちは役者であり、ライブという一つの演劇を作り上げるピースなのです。ライブで披露される楽曲の多くにはアニメーションPVやテレビアニメなどのストーリー的な背景があり、だからこそ照明の演出の中にもアニメのストーリーやキャラクター同士の関係性を思わせる演出が多々見られました。曲のメロディー、歌詞、キャストの歌声、振り付け、照明等の効果にステージの造形、そうしたライブを構成する全ての要素が絡み合って、Aqoursという一つの世界を表現するのがラブライブ!のライブでした。
しかしこのDREAMY COLORはどうでしょう。今ステージに立つ彼女たちこそがAqoursだと、そう語りかけてくるようではありませんか。あの瞬間、ステージに立つ9人は役者ではなく歌手なんだと説得されたような気持ちでした。ラブライブ!サンシャイン!!の節目となった5thライブを経て、PVをキャストが務めたDREAMY COLORでこうした演出がなされたことに、ラブライブ!というコンテンツが新しい展開へと確かな一歩を踏み出したことを感じました。
そんな新たな予感を裏付けるように、ほとんど動きのないDREAMY COLORの照明で唯一スポットライトが動いたのが、サビの部分でした。列車が動き出す瞬間の車輪のような、ゆっくりとした回転で回る光。非常に小さな動きですが、ライトを大振りで動かすよりもはるかに強く「始まるんだ」という歌詞を印象付けてくれました。
幻日のヨハネのTVアニメ化も告知されて、またあたらしいAqoursの物語が紡がれていきます。MCの中であったまだまだAqoursは止まらないというのも、単なるリップサービスではないのだろうと思える予感。まだ告知はされていないが、水面下でAqoursの新たな展開が胎動するこの予感こそが今回のライブがくれた贈り物です。
DREAMY COLORを振り返ってみたら意外といろいろ書けてしまいました。振り返ってみるとまた考えがまとまって、自分自身非常に楽しめましてハッピーです。上に書いた以外にも今回のライブは新しい挑戦がありましたね。BANZAI! digital trippersでのダンスパフォーマンスも圧巻の出来でした。あのクオリティに至るまで途方も無い努力を要しただろうと思いますが、それを乗り越えた姿を見ると、これからのAqoursの活躍にも期待が高まりますね。
今回はこの辺りで締めとしましょう。また現地のライブに参加することがあれば照明レポート書こうと思います。
それではまた会う日までお元気で!
Aqours 6thライブの印象的な照明演出を振り返る
この記事はAqours 6th LoveLive! ~KU-RU-KU-RU Rock 'n' Roll TOUR~のネタバレを含みます。2日目のアーカイブ公開も先送りになってしまいましたので、ネタバレ回避したい方はブラウザバック推奨です。
皆様お久しぶり(?)です。まさけです。R3BIRTHファンミの記事以来ですので、約1ヶ月ぶりとかでしょうか?
ここ最近はもっぱら配信でライブを見ることが多かった私ですが、今回の6thライブはありがたいことに友人から連番のお誘いをいただきまして、久方ぶりの現地ライブと興じてまいりました。ライブが始まって真っ先に思ったのは「fps値が高い!!」だったので、自分がどれだけ配信という環境でライブを見てきたのかを少し思い知った気分です笑 1日目はアリーナ席でかなり前の方、2日目はステージに向かってほぼ正面の2階スタンド席、どちらも文句などつけようもない素晴らしい席でした。特にアリーナ席は私自身あまり経験がなかった上、初の最前ブロックでしたので「ついに私もキャストばかりを見る日が来たか?!」と思いました。もちろん実際には照明もがっちり見させてもらいましたが。
実際初日はメインステージより低くステージにも近い席から実際にどんな照明が見えるのか私も確信が持てず、レーザーは見えない場合もあるかもしれないと思って参加したんですが、実際はそんなこともなくしっかりどんなレーザーが飛んでいるのかも見ることができました。そのため初日はステージの近くから、2日目は会場全体を見渡す視点からライブを楽しむことができました。
さて、前置きはこのあたりにして本題の照明のお話に移りましょう。6thライブで嬉しかったことの一つとして、ライブ後の照明ツイートの多さが今までと段違いに多かったことが挙げられます。単純に私が見逃しているだけの可能性もありますが、私が照明について書き始めた頃からかなり増えたような気がしました。うれしいことだなぁと思いつつTLを眺めていますと、多くの人がMisty Frosty Loveの照明の話をしているようでした。読者の方もお気づきだったかもしれませんが、Misty Frosty Loveの照明は曲の一部を除いてずっと上手が桜色、下手が水色で二分されている構成になっていました。「誰かとあなたと私」という三角関係や斉藤朱夏さんと逢田梨香子さんがすれ違う印象的な振り付けもあって、この二分された照明演出が「誰か」と「私」の間にある心理的な隔たりを強く印象付けたのです。それゆえにこの照明演出に言及する方が多かったのでしょう。配信で見ていた方に(おそらく配信に乗らなかったであろう)現地の照明情報を追加しますと、この曲中で使われていたゴボ(光の模様)の中に5thのNext Sparkling!で使用されていたのと同じものがありました。サビのところでうっすら見える程度に使われていたのこの模様は、5thライブでは劇場版のテーマでもあった「卒業」を表現するために使われていたものでしたが、これを見て私はMisty Frosty Loveでも卒業がうっすらと影を落としているのかもしれないと考えたりしていました。つまり、この曲を単純にようちかとちかりこという二つのカップリングの狭間のような情景だと捉えると、卒業を機に曜ちゃんと梨子ちゃんがすれ違ったままになってしまう世界線があるのかもしれないと。そんな妄想が捗る演出でした。
このMisty Frosty Loveの照明が印象に残った方にはぜひ涙が雪になる前にの照明演出にも着目していただきたいです。歌詞の方向性はMisty Frosty Loveと異なりますが、この曲もまたすれ違いという「二人の間に隔たりがある状態」を一つのテーマとしています。Misty Frosty Loveの隔たりが左右で表現されたとすれば、涙が雪になる前にの隔たりは前後で表現されたと言えるかと思います。メインステージを中心に会場全体の色調はヴァイオレットに調整されていた一方、レーザーや一部のスポットライトなど、ステージから客席側へ照射されていた光はエメラルドグリーンに調光されていました。立体的に見れば光は交差しているものの光の向いている角度が違う、まさにすれ違っている様が演出されていました。ただ、Misty Frosty Loveと涙が雪になる前にの違いは、前者が曲のラストの振り付けですれ違ったままであるのに対し後者は果南が鞠莉を抱き止めて終わります。すれ違いが解消されるこのエンディングと平行を成すように、会場はヴァイオレット一色になり、客席側へ照射されていたエメラルドグリーンの色はオフになっていました。
2つだった色が1つになったというのはいくつか解釈の余地がありますが、振り付けへかなり寄せるのであれば「2つが1つになった」とシンプルに捉えることができるでしょう。鞠莉の色だけを残していったのは別の色を使うと浮いてしまうなどの理由が考えられます。そのほか、この歌はそもそも鞠莉の回想であると捉えることもできるでしょう。冬になって自室で過去を振り返っている鞠莉自身が1期9話未熟DREAMERで描かれた果南との仲直りのことを思い出している場面のように捉えることもできるでしょう。そのように考えれば、曲の最後でヴァイオレット一色に染まったのは回想が終わり再びシーンが自室の鞠莉に戻ったと考えることもできますね。歌詞自体のフォーカスは「白い雪が二人の方に降る」というところから冬も含んでいると考えれば、鞠莉は日中は果南とどこかへ出掛けていたのかもしれない、など多分に想像が広がりますね!
ライブ後のTLで照明関連のツイートを見ていてもうひとつ多かったのが、涙×のラストサビ前でステージの照明が一気に落ちて、ミラーボールに反射した光がドーム一面に広がり星空を見上げるような空間を作っていた点です。涙×は過去を振りかえって未来を思い描く歌ですが、さながら卒業ソングのような歌ですよね。Misty Frosty Loveの際に触れたゴボが使われていないこの曲ですが、きっと多くの人がこの曲に感傷を抱いたことだろうと思います。曲中に差し込まれた星空に、あるいは配信でそれが映らなくとも一気に暗くなった会場に、読者の皆様はどのような想像を働かせたでしょうか?私はテレビアニメ2期10話「シャイニーを探して」の中で、Aqoursの9人が見た景色はこんな風だったのかもしれないと思いました。母校の統廃合が決定され旅立ちを余儀なくされた彼女たちは、卒業とは別でありながらどこか共通するような感情持っていたのではないでしょうか。土肥駐車場から見上げた満天の星空のなかで彼女たちが考えていたもの、そしてAqoursのメンバーひとりひとりが自身の卒業を目前に考えていたもの、その二つにはきっと共通点があるのだろうと考えたりしていました。
星空の演出は涙×の演出の中でかなり印象的な位置を占めていますが、この曲は他の部分にもしっかりと見所がありました。短くまとめると、涙×は1番と2番以降でサビの照明演出が異なります。AメロBメロを白一色の照明で貫いて始まったこの曲は1番のサビに差し掛かってようやくメンバーカラー9色を用いた照明へと展開されます。この9色はスポットライトであったり、レーザーであったりさまざまなところに表れていましたが、白から9色へと移る進行は光の分離を思わせます。光というのは加法混色をしますので、混ぜれば混ぜるほどその色は白へと近づいていきます。なので白という色は9人全ての色を混ぜて一つにしたもの、グループとしてのメンバー9人を象徴する色の一つだと言えます。その白がメンバーカラー9色へと分化していく、その過程はまさにグループのメンバーひとりひとりが自分たちの道を歩んでいく「卒業」と重なります。過ぎた日々を抱きしめて今度は何がしたい?そう問いかける1番の歌詞は9色の光に彩られることで、卒業を目前に自分が歩んできた道、これから歩む道に思いを馳せる彼女たちの表現へと昇華されていきます。一方2番ではメロからサビを通して常に白一色で演出が進行します。9色へ分かれた1番を経てたどり着いた2番の歌詞の中でグループとしてのAqoursが占める位置、それは各々が大学、社会と時を進めてなお決して褪せることなく記憶の中で輝く「思い出」なのではないでしょうか。過ぎた日々は還らない、二度とはこないからこそ愛おしい。そしてこころがひとつになった時代を忘れないでとつぶやくのは、それが大切な思い出だからなのでしょう。2015年2月26日のプロジェクト開始からもうすぐ7周年を数えるAqoursだからこそ、この時間の重みが実感として感じられる演出だったのではないでしょうか。
最後にWATER BLUE NEW WORLDとMIRAI TICKETについて少しだけ。Aqours 6thライブはこの2曲が同日に披露された初めてのライブとなりました。WATER BLUE NEW WORLDは水色一色を貫いた照明演出に、MIRAI TICKETは時折白色の照明を交えつつもメンバーカラー9色を活かした構成で披露されていました。どちらもかなり久しぶりに見たので、私は当初WATER BLUE NEW WORLDの照明配色がMIRAI TICKETのものに、そしてMIRAI TICKETの配色はWATER BLUE NEW WORLDのものに変わっていると勘違いすらしてました。(勘違いではあったものの私個人はめちゃくちゃ盛り上がってましたけどね笑)ただ改めて過去の映像を確認してみるとそんなことは全然ありませんでした。その勘違いを正してなお、この二曲の関係には涙×に見られたような、グループのメンバーがそれぞれの道へ進んでいくモチーフは見て取れるように思います。
アニメの時系列で見ればMIRAI TICKETが先に来るべきところを、今回のライブではWATER BLUE NEW WORLDが先に披露されました。この曲で使われている水色は、白とは別のもう一つのAqoursのカラーです。OCEAN STAGEというサブタイトルに相応しい「恋になりたいAQUARIUM」からほぼ水色一色に染まった会場を引き継いだこの曲は水色一色の照明演出でAqoursがたどり着いた一つの終着点を想起させます。廃校が決まった浦の星の名をラブライブ優勝の歴史の碑に刻むこと、これがテレビアニメ2期の大きな目的の一つであり、Aqoursがたどり着いた一つの結末であると言えるでしょう。しかし、知っての通りAqoursの物語はこの後も劇場版へと続きます。3年生が卒業した後のAqoursはどうするのか?劇場版で扱われたこの問題はアニメ作品の枠にとどまりません。5thライブ以降、Aqoursは常にこの問いを投げかけられてきたように思います。先行するアニメ作品やストーリーとの同期をめざすパフォーマンスのあり方から、2次元のAqoursと3次元のAqoursが足並みを揃えて進むコンテンツへの転換。言い換えればアニメーションPV付きのシングル等で楽曲が発表され、書籍等で物語が提示されるスタイルへの転換。故にWATER BLUE NEW WORLDは過去のAqoursのあり方の象徴であり、先に演じられるべき思い出の曲なのでしょう。一方この転換は見方を変えれば過去への回帰でもあります。そもそもラブライブというプロジェクトが、μ'sというグループが電撃G'sマガジンで始まった時、企画はこのような形でした。そうして未来を切り拓いていく、Aqoursはまさに今次世代のμ'sへと変貌を遂げようとしているのかもしれません。故にMIRAI TICKETは後から披露されるべき曲なのでしょう。プロジェクトとしては過去への回帰でありながら、グループとしては未来へと続く確かな一歩である。グループとしての一体感よりキャラクター各々の個性が花開き輝くような未来を予感させる9色の光がMIRAI TICKETにはあったのかもしれません。
5thライブ以降繰り返される新たな輝きを求める姿、次のステージへと進もうとする姿。私は今までこれらを見て、Aqoursのメンバーもやがてμ'sのメンバーのように各々の道へと邁進していくことを暗示しているのだろうと思いました。それは喜ばしいことであり、私はファンとしてそれを笑顔で見送るべきなのだろうと。かつて矢澤にこが言ったように、アイドルとはメンバーが変わってもグループが残っていくもの。ラブライブという企画もまた、グループが入れ替わっても企画が残っていくのだと。ただ、今回のライブを見て、今照明考察を書いて、ラブライブはそうではない道を模索しているのかもしれないという発想を得ました。応援していたメンバーが企画を去っていくときに感じるであろう喪失感とどう向き合おうか考えあぐねていましたが、それは少し取り越し苦労に終わるかもと思うと、若干気が軽くなる思いもしますね。
最後は少ししんみりとしてしまいました。考察記事もまた生き物で、書きながら思索を巡らすうちに新たな気づきや発見があるものですね。照明に関するツイートが多く見られて嬉しかったのは紛れもない事実です。この記事が皆様の気づきや発見の一助となれば、私も嬉しい限りです。またライブに行ったら記事を書くかと思います。その時は是非、まだいらしていただけましたら嬉しいです。
それではまた次の記事でお会いしましょう。
配信で見てもすごかった -R3BIRTHファンミライブ照明を振り返る-
こちらの記事はR3BIRTHファンミDAY2のネタバレを含みますので、回避したい方はブラウザバックをお願いします。
みなさんあけましておめでとうございます。最近はライブを見ながら思ったことをTwitterに投げて終わりにしがちなまさけです。
本日1/23は中須かすみちゃんの誕生日であり、僕ラブ23の開催日であり、R3BIRTHファンミ2日目でもあるという特濃の1日でした。
私も僕ラブには参加していましたので、もし読者の方で私のスペースに来てくださっていた方がいたら、あらためてここでお礼を。ありがとうございます!
Aqoursの4th以来照明考察をちらほら書いて、照明考察本も3冊出して、段々と身の回りでライブ後に照明の話を耳にするようになって、嬉しい限りです。今回のR3BIRTHのファンミライブも当初見る予定は実はなかったんですが、僕ラブのスペースでファンミの照明がすごかったという話を聞いてしまって思わずアーカイブのチケットを買ってしまいました笑
そんなわけでR3BIRTHファンミのライブアーカイブを見たわけですが、「ああここのことを言っていたんだろうな」と、ばっちりわかるほどに特徴のある照明でした笑 ライブのハッシュタグと照明を合わせてTwitterで検索してもちらほらとツイートがあって、それくらい印象に残る照明演出だったんだなと感じました。
今回のブログではライブパートのソロ曲パート、決意の光から翠いカナリアまでの各曲の照明演出を一つずつ振り返ってみようと思います。それぞれの曲の照明演出で随所に異なるこだわりが散りばめられていたように感じます。それでは決意の光からいきましょう!
1. 決意の光
ソロ曲一曲目は決意の光。2ndライブでお披露目済みのこの曲はトークパートとライブパートとの橋渡しとしてまさに適任と言えました。そんな決意の光の照明演出は2ndライブの時との違いが印象に残りました。
2ndライブで披露された決意の光は静と動の対比を軸に曲の疾走感を押し出した演出でした。疾走感の部分とは、具体的に言えばAメロ前の前奏や間奏でレーザーがぶわっと扇を開くように展開したり、下手から上手へ向かってスポットライトの光が動いたりといった画面全体で動きを出す演出です。対照的に、曲がグッと静かになるAメロではライトをほとんど動かさないようにすることで静的な印象を作り出していました。この静と動の対比と疾走感が、栞子ちゃんの加入によって次の章へ物語が動き出すことを予感させ、また新しい一歩を踏み出す栞子ちゃんを印象付けていました。
ファンミライブにおいてもこの静と動の対比や疾走感という演出の軸は受け継がれていました。いわばこの曲の良さですから、当然と言えば当然ですね。一方、前奏や間奏でスポットライトが下から上へ動いたり、桜の花弁がひらひらと舞う映像が差しこまれたりと前回にはなかった演出が見られました。下から上へという動きはスポットライトだけでなくステージを縁取るLEDにも同様の演出が見られましたね。これは純粋に「上を目指す」というメッセージと捉えて良いのでしょう。初披露時のテーマが「はじめの一歩」だとするなら、今回のライブで「上達」をテーマにするのは自然な流れですね。舞い散る花弁についても、桜の蕾が春の知らせであるならば、舞い散る桜は初夏の足音を予感させます。栞子ちゃんがスクールアイドルを始め、その中で技術の未熟さを感じ、それゆえにもっと技術を磨きたいという気持ちになるのはストイックな栞子ちゃんにぴったりです。そんな一面が今回の照明からは感じられました。
2. I'm still...
疾走感から一転、暗めの青を基調に光量を落とした照明から始まったI'm still...は直前の曲との対比もあってかなり静かな印象でした。この曲を配信で見て真っ先に印象に残ったのは内田さんを正面からアオリのアングルで捉えた映像の画面です。これはきっと狙っていると思うんですが、この画面だと内田さんのちょうど頭上にスポットライトがきらりと輝くように映ります。まるでキャラクターの頭上に輝く一つの星といったように。頭上に輝く星で連想されるのは「憧れ」や「手の届かない存在」といったところでしょうか。決意の光で垣間見た「上達」のテーマがここに通じているのが絶妙なバランスですよね。
モノローグのように綴られる歌詞と暗めの照明は夜に自室にこもっているような状況を連想させます。「眠れない夜」という言葉があるように、こうした状況は不安やもどかしさといった感情と容易に結びつきますよね。だからこそこの画面から感じ取れるものは自分の気持ちを抑え込んでいるような、どこか塞ぎ込んだような印象です。こうして「空と地上」「夜」「塞ぎ込んだ気持ち」といった要素をAメロBメロでの静かな照明演出を通してセットアップしていきます。
そして積み上げた要素をサビで一気に転換する演出。感情が一気に込み上げる爆発力のある演出でした。光量は増して全体をより明るい画面へ、レーザーの色には青い光に緑を混ぜたより明るいシアンを使うことで、色の統一感を維持したまま一気に印象を明るくしました。この転換から「夜明け」や「気持ちが晴れる」といったことを連想した人も多いのではないでしょうか?塞ぎ込んでいた気持ちが晴れて事態が一気に好転したような印象を受けますよね。
そしてサビの照明演出ではもう一点、スモークとレーザーの組み合わせがよかったですね。帯状に展開したレーザーがスモークの中を通ることによって、レーザー面に雲のような模様が出現していました。これによってAメロBメロで形成された「頭上の星と地上の私」という対比構造が取り払われて、「私」もまた星たちと同じステージへ立ったという物語が作られていました。2番のサビでモニターに映されていた雲上の青空の映像もこれと並行をなすものでしょう。「雲を切り裂いて空高くへ」という歌詞とも重なってこの歌に描かれた物語を強烈に印象付ける演出になっていたと感じました。
3. Toy Doll
物語性に溢れたI'm still...とは対照的にこちらはスポットライトを動かし、ステージの色調を変え、ライトの点滅やハロゲンライトで観客を煽る非常に動きのある演出でした。
I'm still...が静のステージだとすればToy Dollは動のステージだったと言えるでしょう。決意の光が1曲の中で用いた対比を2曲間の関係に再構築することで、統一感と変化をいいバランスで調和させています。
そんなToy Dollは正統派ライブチューンといった照明演出で、ライトの動きで曲の疾走感を演出しつつライトの点滅を使ってビートを強調してメリハリをつけています。ここでの照明演出は曲への没入感や一体感を高めるのが目的ですので、物語性はあまり感じなくても問題ないですね。観客としてぶち上がれればそれが正解でしょう。
あえてこの曲に物語性を付与するとすれば、Toy DollはI'm still...の続編としてこのライブでは位置付けられているように感じました。I'm still...をステージに上がるまでの物語だとすればToy Dollはステージに上って「なりたい自分」を解放している姿なのだろうと思います。あの瞬間の会場にはきっとミアテイラーが顕現していたと思いますし、そのように感じた方も多かったのではないかと私自身は思っています。
4. QUEENDOM
ランジュちゃんの一曲目はQUEENDOM。曲が始まる直前、ステージの装飾だと思っていた宝石から放たれる煌めきに度肝を抜かれた方はいらっしゃいますか?私はぶち抜かれました。どうやったらあんな演出が可能なのかわからなさすぎて何度も一時停止をしました。
色々見てみて立った仮説ではあるんですが、おそらくあれは宝石の形の装飾に対して外から光を当てて作っているんだと思います。アーカイブで冒頭の映像を確認してもらえればよりはっきり分かりますが、装飾から伸びる光の筋のいくつかが他のに比べてかなり長いのが分かります。このことから、おそらく会場後方からステージの装飾めがけて強く細い光を当てているという予想ができます。
このように言葉で書いてしまえばなんてことないですが、これはかなりすごいことのように思います。装飾に差し込んだ光が中で反射して再びステージに姿を表すということは、実際の宝石と同じように光が装飾の中で屈折し、反射するように計算されて作られているということです。そう考えるとこのステージ照明は「宝石みたいな装飾」ではなく「宝石と同じ性質を持った装飾」であるということです。美術さんと照明さんの連携があってこそ可能になった演出と言えるでしょう。
冒頭の照明で度肝を抜いたQUEENDOMですが、曲中の照明は大きく2パターンに分かれていました。AメロBメロで用いられていたのは主に紫〜青の色調に統一された配色でした。比較的おそめのBPMに合わせた動きの少ない照明ですが、所々色を切り替えたり光を点滅させることでビートの強調をしていました。一方サビでは色調をオレンジへと寄せより活動的な印象を作りつつ、レーザーとミラーボールによるゆったりとした動きを演出していました。
この照明演出で強調されているQUEENDOMの特徴は「安定感」でしょう。一貫してゆったりとしたビートを刻むこの曲は自身を崩さず悠々と道を闊歩するような自信と余裕が感じられます。そんな「威風堂々」といった様がサビのミラーボールやレーザーの動きに現れているのではないでしょうか。特にミラーボールの動きはゆっくりですので、その余裕が感じ取れるかと思います。
また、少し細かいところではありますがステージの一階部のスポットライトがスモークに向かって光の模様を投影しています。この模様は通常ステージの床面・壁面に投影されるものなので、この使い方はランジュ特有の使い方だといってもいいかもしれません。
5. 夜明珠
こちらの照明もQUEENDOMと同様、安定感のあるビートに合わせてレーザーがゆったりと動いています。ゆったりと大きく動かして自信や余裕を演出するというのはランジュを演出する上での一つの軸になっていると言えるでしょう。
演出上の軸は似通っているかもしれませんが、配色は大きく変えていますね。マゼンタやシアンの色のレーザーは上海の夜景を思わせます。QUEENDOMがオレンジの照明とレーザーで絢爛な印象を形作っていたのに対し、こちらはネオン街をイメージさせるような演出になっていました。これは「夜明」という文字からも連想を広げた結果なのでしょう。
またQUEENDOMとの違いで言えばミラーボールの動く速さもこちらは速くなっています。こちらはもしかすると光の筋を動かすというよりもステージを見る観客に対してキラキラした印象をより強める働きを狙っているのかもしれません。「余裕」と「煌びやかさ」といった印象を強く押してくる演出には、皆の模範や憧れの対象でありたいという願望が隠れているのかもしれません。
6. 翠いカナリア
ソロ曲パートラストは再び栞子ちゃんが登場し翠いカナリアを披露しました。
この曲で印象的なのはサビで激しく動き回るレーザではないかと思います。この曲が持つ激しさや疾走感をよく表したような激しい演出ですね。みている側も自然とアドレナリンが出るというか、突き上げる衝動を感じます。
一方でこの曲には1stの栞子にはみられなかった要素も見て取れます。それは例えばBメロで照明のメインカラーがマゼンタピンクになる点であったり、ミラーボールを使用している点だったりですね。さらには先ほどランジュ特有とした光の模様をスモークに投影する方法です。
こうした他のキャラクターに見られる演出を取り入れている姿は、自身の殻を破ろうと努力する表現として捉えられるのではないかと思います。決意の光のなかで「上達」というモチーフを匂わせた栞子ですが、その努力が垣間見えるのがこの翠いカナリアの演出ではないでしょうか。これから栞子の曲の演出がどのように変化していくのか、それを見守ることで、栞子ちゃんの成長の一面を照明演出から感じ取れるように思います。
以上、ファンミライブのソロ曲パートを振り返ってみました。
実はこの記事を書いてる現時点で私はまだランジュちゃんやミアちゃんのストーリーをほとんど追えていないので、もしかしたらスクスタストーリーを踏まえると異なる解釈になるところもあるかもしれません。そんなところがあったら、ぜひ皆さんもご自身で考察してみてください。きっとライブの楽しみが1段階深くなることと思います!
それでは今日はこのあたりで。またどこかでお会いしましょう!
AZALEAちゃん2ndの照明演出 〜私まで元気もらいました〜
この記事はAZALEA 2nd LoveLive11 ~Amazing Travel DNA Reboot~ のセトリや演出の一部のネタバレが含まれますので、一切の先入観を排して曇りなき眼でライブを観たいという方はブラウザバックを推奨します。
ということで、AZALEA 2ndライブの1日目お疲れ様でした!
この記事を執筆しているまさけはと言いますと、最近はめっぽう配信でばかりライブを観ておりまして、「配信で照明見るのも慣れてきたな〜」なんて思ってたりしていたわけですが、久々に現地に足を踏み入れたらあまりの情報量に倒れてしまいそうでした。
やっぱり現地で見るライブはカメラの画角に左右されずに好きなところを見られるのがいいですね。音響も自宅のスピーカーからはおよそ流せない音量と音質で、久々に重低音で体が揺れるのを感じました。配信ライブも気軽でいいけど、現地参戦もやっぱりいいと再認識いたしました。
さて本題のライブですが、皆さんはどんな感想を持たれたでしょうか?Happy Party Trainで実家のような安心感を感じたでしょうか?はたまたLONELY TUNINGでぶち上がったでしょうか?あるいはFuture flightで心を撃ち抜かれたでしょうか?幕間アニメで笑い転げていたという方も多いでしょう。
私はDJ DIAのパートではちゃめちゃに盛り上がってました。もし今回のライブが声出しOKだったら、DJ DIAパートが始まった瞬間「電音部始まったな!!!白金さーん!!!」って叫んでいたこと間違いなし。あこがれランラランが流れた時も心の中でめいっぱい「あっぱれーー!!!!」って叫んでました。他にもPerfect SEKAIの照明が一瞬カラフルになって「蜷川実花じゃん……」ってなったりと、終始楽しく忙しいライブでした。
そんな中、個人的に特に印象深かったのはメタモルフィズム、HAPPY PARTY TRAIN、そして夢で夜空を照らしたいでした。ライブ前半(DJ DIAパート手前まで)は特に高槻かなこさんに向けたメッセージのようなものを感じましたが、それを特に強く感じたのがこの3曲でした。
まずメタモルフィズムでは下のような形の光を重ねてステージ床に投影していました。
これが重なることでまさに答案用紙なんかにつける花マルになったように見えました。ただこれは模様を作りながら自分で3つくらい重ねてみたんですが、その時は全然花マルに見えなかったので、もしかしたら別の模様だったかもしれません。ただライブで見ていた時は花マルに見えていましたので、ダイヤさんと果南さん2人のステージにゴボで花丸を足すなんておしゃれなことするなぁなんて思っていました。
その次のHAPPY PARTY TRAINではメインステージの二人がセンターステージへ移動するところで二人の後を追うようにこの花マル模様が後ろをついていったんですが、ここで「ちゃんと花マルに見えるように狙っているんだろう」と確証を得たような心地でした。この他にもHAPPY PARTY TRAINでは果南ちゃんの歌唱パートで使われている緑色の照明が、二人が歌っているセンターステージではエメラルドグリーンに、メインステージからの光は黄緑色にと2色使われていて、これもまた後ろから二人を見守る花丸ちゃんの存在が示唆されていました。ちなみにダイヤさんの赤で同じ演出がなされなかったのは、赤い光を黄色方向にシフトするとオレンジ色になってしまって、演出上別の意味を持ちかねないという判断からの配慮かなと勝手に思っています。
さてこの2曲で今回のステージには花丸ちゃんも一緒に立っているんだということがやんわりと示唆されてきたわけですが、この匂わせを回収したのが『夢で夜空を照らしたい』でした。
今回の夢夜空の照明ではいくつか光の模様が使われていたわけですが、そのうちの二つが下のものになります。
四角形を集めて丸く切り取ったような模様の方は、5thで披露されたNext Sparkling!の時に使われていたのと同じものです。花びらのような形の方はお馴染みのものですね。四角形を集めたものはネクスパ以外でもたくさん使われているんですが、今回別のゴボとセットで使われていることや、ステージに立っているのが3年生だけであること(ちょうど劇場版と逆の構図ですね)、また夢夜空は曲を歌うメンバー構成がちょうど1・2年生であるところも劇場版のネクスパと重なっています。その他高槻かなこさんが不在であるという状況もまた3年生不在のステージという劇場版の内容と重なり、5thの演出を強く意識させるものになっていたと感じます。
ここで5thでのネクスパの照明演出を簡単に振り返っておきますと、上の四角形を集めたような模様の光に加え、小さな丸をいくつか集めた(ちょうど望遠鏡で星空を眺めた時のような)模様のふたつが曲中で使われていたんですね。丸を集めた方は在校生が歌っているパートで、四角形を集めた方は3年生が歌っているパートで別々に使われていて、9人が揃う最後のところで二つの模様が両方使われるという演出だったんです。この演出を通して3人が卒業した後でも心は一つなんだということを表現していたわけですね。
夢夜空の照明ではこの別離と共存という二律背反のモチーフを再び持ってくることで、高槻かなこさん不在という状況にあってなおAZALEAは3人であるということを表現したかったんだろうと思います。この共存の要素は光の配色にも表れており、上の2つの模様は曲中の1番、2番、ラストの順でそれぞれ白&オレンジ→ピンク→黄色と色使いが変化していました。とりわけ一番で2色だったものが2番でピンク1色に統合されたところは3人で AZALEAなんだという意思を強く感じます。そういう意味でも、今回は花びらの形をした模様を採用したのでしょう。
このように考えると、高槻さんが抜けたフォーメーションでも照明演出が3人の時のままなのは、ただその演出で決まっているからというよりはそこに高槻さんが帰ってくる場所がちゃんとあるというメッセージのように思えます。こうしたメッセージはコロナ感染症での延期に続いて活動休止でのライブ不参加と悔やまれる結果を残してしまった高槻さんを強く元気づけたことだろうと思います。
さてDJ DIA以降の部分では2人でなおパワフルなパフォーマンスをするダイヤさんと果南さんが印象的でしたが、アンコールでは一転、『卒業ですね』を披露して前半で持ち上げた別れのテーマを再び起こしました。この展開は少し意外で驚きました。3年生だけで歌うこの曲は見送る側の花丸ちゃんがいないことでさらに別れの歌の印象が強くなった気がします。花丸ちゃん不在というのを誰しもが意識したでしょうし、キャストである高槻さん本人は尚更でしょう。この曲ではあくまでも別れに焦点が当たっていて、それが前半と食い違うようでちょっとした違和感があったのも事実です。
ただ、この違和感はアンコール2曲目に未熟ドリーマーが披露されたことで納得感へと昇華されていきます。曲の冒頭、「いつもそばにいても伝えられない想いで こころ迷子になる」や「言葉だけじゃ足りない そう言葉すら足りない ゆえにすれ違って」という歌詞は諏訪ななかさんと小宮有紗さんからの罪滅ぼし的な側面もあるのではないかと。罪滅ぼしというと少し言葉が強いですが、端的に言ってしまえばユニットメンバーとしてそれなりに距離も近く関わっていたにもかかわらず大変な状況に気づいてあげられなかったことや力になりきれなかったことへのちょっとした罪悪感のようなものがあるのではないかと思います。Aqoursも今年で6周年、苦楽を共にしてきたメンバーにはかなり深い絆があることでしょう。それだけに高槻さんの活動休止はAqoursのメンバーにとっても大きなショックだったのではないかと思います。
しかしこの歌は別れの歌ではありません。かつて散り散りになってしまったダイヤ、果南、鞠莉の3人が再びAqoursに合流する歌です。そういう意味でここは再会がモチーフになっていると言えるのではないでしょうか。仮に今は離れ離れだとしても、必ず同じステージに立つ日がくると、そう強く語りかける姿が私には見えました。
そしてアンコールの最後を飾ったAmazing Travel DNAは旅の歌。今ではないどこかへと移りゆく変化を歌った歌です。諸行無常とはよく言ったものですね。人生は旅であり、変わらないものなど存在しないのでしょう。疲れたら休憩することもありますが、疲れが取れれば旅人はまた次の目的地へと向かうのです。先日高槻かなこさんが活動再会を発表しました。私たちはまさにこの変化の瞬間を目撃しているのでしょう。
これから向かう未来がどんなものになるかはまだ誰も知りませんんが、それでも「楽しくなるはずだよ」と思ってしまうのはセトリの妙でしょうか。
そんなこんなで私はAZALEAの2ndライブ1日目を通して高槻かなこさんに寄り添う諏訪さんと小宮さんをみたような気がします。改めて皆さんは今回のライブにどのような感想をお持ちでしょうか?この記事がその感動を深めていれば嬉しいなと思います。
最後にいち花丸推しとして、高槻かなこさん活動再開おめでとうございます。活動再開の報せを聞いて胸を撫で下ろす一方で、無理をして再開をしていないか心配する自分もいます。いつか高槻さんがステージの上で思いっきり歌う姿を見るのを楽しみにしていますね。
それでは長々とお付き合いありがとうございました。今回はこの辺りで幕引きといたします。
それではまたどこかで!
CYaRonライブから見えた「未来への希望」
この記事はCYaRon! LoveLive! ~大革命☆Wake Up Kingdom~ Day2の感想記事です。そのため多大なネタバレを含む可能性がありますので、「ネタバレはちょっと………」という方はブラウザバックをお願いします。
お久しぶりです、まさけです。初めましての方は、初めましてまさけと申します。
ここのところは忙しくてライブを観れていなかったり、ライブを見ていてもツイートにその時々の感想を流すだけでまとまった文章に起こしていなかったりということが続いていまして、このブログを書くのは本当に久しぶりですね。
こちらの記事を書いていない間は照明考察の同人誌を作ったりしていましたので、もしかしたら読者の方の中には照明本を買ってくださった方もいるかもしれません。そんな方には改めてこの場でお礼を。本当にありがとうございます。いつも支えになっています。
さてそんな照明本をBlu-Rayが発売されたタイミングで制作していた私ですが、久しぶりにライブの直後に書くこの感想ブログのフレッシュ感が恋しくなりまして、筆をとった次第です。以前のように長文で饒舌に語ることは叶わないかもしれませんが、心に残った演出を話せたら嬉しいです。
今回取り上げたいのはCYaRon 2nd Liveで最後の曲として披露された2曲について、より正確にいえばアンコール前の「ユメ語るよりユメ歌おう」と「近未来ハッピーエンド」の2曲についてです。このセトリの組み方がとてもうまかったなと感じます。実際この2曲の配置が印象に残った方も多いのではないでしょうか?私はこのセトリを通して「Aqoursのライブはここで終わるのではなく、次へつながるんだ」というメッセージを受けました。
「ユメ語るよりユメ歌おう」と言えばラブライブサンシャインのアニメ1期のエンディングとしてお馴染みですね。2期のエンディング「勇気はどこに?君の胸に!」と同様にライブでは締めの曲としてお馴染みな印象があります。どちらかというとアンコールで披露される印象が強いでしょうか。
例えばAqoursの1stライブや2ndツアーの埼玉公演ではユメユメがアンコールで披露されていますし、同様にAqoursの3rdライブでは勇君がアンコール内で披露されています。4thライブではアンコール前の締めを「勇気はどこに?君の胸に」で行っています。アニメシリーズのエンディングテーマ曲という性質上、ライブの終わりや区切りを意識させるパートにこれらの曲が使われることはさして不自然とも言えないでしょう。
ただ、エンディングでライブを締めくくってもまだアンコールが続くという期待感は、かなり直接的に「未来へと続いていく」印象を与えます。4thライブの時はこれが劇場版のことを意識させましたし、今回はコロナ感染症拡大の影響を受けて足止めを多々受けていたAqoursの活動がこれからも続いていくという印象を与えてくれました。
この期待感はアンコールの最後に披露した近未来ハッピーエンドによってさらに強化されます。歌詞としては友達の恋を応援する曲ですが、近い未来にいいことが起こるというこの曲の方向性は、ユメユメからアンコールへ繋いだ事による期待感に拍車をかけてくれました。
このようにして、今回のセトリから未来への希望を感じ取った人は多いんじゃないかなと個人的には思っています。ライブ中も伊波さんが「これからのAqoursに会いに来て」と言っていたことや、サクラバイバイの歌詞に登場する「終わりから始まりへ続いてる」という言葉も合わせて、この「未来へ続いていく」というメッセージはCYaRonが伝えるのにぴったりなメッセージだったのではないでしょうか。
以上がセトリから見えてくる「未来への希望」という印象でした。ここからは似たようなメッセージが、「ユメ語るよりユメ歌おう」と「近未来ハッピーエンド」の照明にも見て取れたという話に移りましょう。
まずはユメ語るよりユメ歌おうの照明から見ていきましょう。皆さんはこの曲の照明ってどんな印象をお持ちでしょうか?なんとなく眩しかったり明るかったりという印象を持っているんじゃないでしょうか。というのも、この曲はよくキャストがトロッコに乗る曲で、しかもライブの最終盤ということもあって白一色の照明で客席をガッツリ照らす演出が多用される曲なんです。客席の方にもスポットライトがよく向けられるのでキラキラした印象や眩しい印象がつきやすいんですね。
しかし、今回のCYaRonのライブではメインステージで披露されました。しかも、会場を彩るスポットライトの色もAqoursのメンバーカラー9色を用いたものでした。そのため、普段のようなライブの終わり感がほとんどなく、むしろ君の心は輝いているかい?や青空Jumping Heartのような曲と近しく感じられるようになっていました。
一方で近未来ハッピーエンドの方はどうだったかというと、こちらはトロッコ曲でしたので実際に観客席の方をスポットライトが照らす演出は入っていたんですが、色が白ではなくCYaRonのメンバーカラーだったように思います。(水色が入っていたのは確かですが、ちょっと他の色が入っていたかどうかはうろ覚えですが…)普段の白一色の照明がライブの終わりにスクールアイドルの輝きや煌めきを脳裏に焼き付けるための演出だとすれば、今回の水色はそれには光量が足りていません。強い印象をつけるというよりも次が見たいと思わせる演出だったのではないでしょうか。
こうして「ライブの終わり」を印象付ける照明演出が入らないことで、このライブの「続いていく感」がより強化されていたように思います。セトリだけでも「未来へ続く希望」という印象は出せていましたが、照明演出を普段のものから変えることでこの印象をより強めてくれるライブスタッフさんの仕事に思わず息を飲んでしまいます。
ということで、今回はCYaRon 2nd Liveで披露された「ユメ語るよりユメ歌おう」と「近未来ハッピーエンド」の演出を振り返ってみました。楽しんでいただけていたら幸いです。
こちらのライブのアーカイブは10/20(水)まで視聴可能ですので、もし改めて見返してみたいという方は是非みてみてくださいね!
それではまた次の照明考察でお会いしましょう!
いつだって新しい夢を見ていい ~ 次の夢を紡ぐ照明演出 ~
こちらの記事はAqours COUNTDOWN LoveLive! ~WHITE ISLAND~ 二日目のセトリ等のネタバレを含みます。ネタバレが気になる方は、ブラウザバックを推奨します。
みなさま、あけましておめでとうございます!昨年はたくさんの方に本ブログの記事を読んでいただき、大変嬉しく思っております。2021年もよろしくお付き合いいただけたら幸いです。
そして、2021年の初日から照明考察をかける喜びがすごい!!!ラブライブ運営に感謝しかありません。Winter Island、めちゃくちゃいいライブでしたね。キャラクターのお誕生日をライブでお祝いするのは、くっすんのお誕生日を祝った5thを思い出してますます嬉しい。本当にいいライブでした。
スリリングワンウェイを久しぶりに聞けたのも嬉しかった。新年一発目で一気に盛り上がる曲っていいですよね。ライブの中に二度始まりがあるのは、なんだか一つで二度美味しいみたいな感じでとってもお得感がありました笑
さて、前置きもほどほどにして、本題の照明と演出に話題を移しましょう。今回は本公演が初披露の場となったデュオトリオの照明をそれぞれ見てから、全体での演出の考察を紹介していこうと思います!
今回のライブでの新曲披露はデュオトリオ曲に加えてFuture flightもありましたが、Future flightの演出については全体の演出と絡めてお話しすることとします。まずはデュオトリオ曲の照明から見ていきましょう。
新曲:デュオトリオ曲の照明演出
1. Party! Party! PaPaPaParty!
2日目のデュオトリオ一発目を飾ったのはぐーりんぱ曲のParty! Party! PaPaPaParty!でした。曲の冒頭、配信の画面で見るとステージの天井に設置されたスポットライトの光がちょうど放射状に広がるように向きが調整されていました。おそらくメインステージ天井には(少なくとも)2列のスポットライトが設置されていて、客席から見て後ろ側のライトは真下と左右を、前側のライトは客席側を照らすように調整されていたのでしょう。無観客という特殊な形態でのライブではありますが、配信を通して観客全員が同じアングルから画面を見るという特性を逆手に取って、画面の面白さを追求した新しい演出だったように思います。これをしっかりきれいに抜いたカメラさんも素晴らしいですし、そこへしっかりと位置を合わせているキャストも素晴らしいです。
曲を通しての演出としては結構賑やかな曲であるにもかかわらず、ほとんど照明が動くということはなかったのが印象的でした。スポットライトから出たゴボ(光の模様)が回転することと、強めの白色の照明と、画面に合成された紙吹雪のエフェクトで賑やかさを演出していました。ちなみにこちらのゴボはギルキスのユニットライブの印象が個人的には強い、植物のつるがくるっと巻いているような模様で、少しハロウィンっぽさもあってお祭り感がありましたね。またセンターステージの周囲には円形のLED照明があしらわれていて、その色が緑と赤を交互に照らしていたおかげで、歌詞の中のクリスマス感がしっかりと視覚的にも演出されていました。
2. キモチもユメも一緒だね!
続いて2曲目はルビまる曲ですね。曲披露前のアニメの振り返り映像は1期4話を中心とした構成で、1期4話大好きマンの私としては最高に嬉しい始まり方でした。曲の演出にはやはりゴボが使われていて、Party! Party! PaPaPaParty!で使われていたツルを巻いたようなゴボに加えて、たくさんの四角をランダムに並べたものを円形に切り取った模様のゴボも使われていました。こちらのゴボは5thライブのNext Sparklingで使われていたものと同じものです。こちらもまた思い出深いものを使ってくれて個人的には大満足でした。
一曲目のParty! Party! PaPaPaParty!と同様にこの曲も照明の動き自体はゴボが回っているくらいで、他の照明は色を添えるのがメインの演出となっていました。センターステージの後方に映っていたメインステージはピンクと黄色の光で彩られ、パフォーマンスが行われているセンターステージには深い青の照明で色を添えて、キャストを白色のスポットライトで抜く構成でした。また、画面に合成された雪の結晶が降り注ぐエフェクトも非常に印象的でしたね。
画面の印象的にはルビまるの色が目立ちますが、メインステージの際に設置された光るアクリルパネルのような照明装置が柔らかく9色のメンバーカラーを提示していたのも印象的でした。デュオトリオの中で唯一一年生のみで構成されたデュオですが、アクリルパネルの色と特別なゴボとで、他のメンバーが一年生二人のステージを見守っているような印象をうけ、Aqoursのあたたかさを感じました。
3. Misty Frosty Love
つづいて3曲目はようりこ曲。振り返り映像の中にちょくちょく千歌ちゃんが出てきているあたり、どうしてもその3人の関係を思ってしまいますよね笑 曲の途中でもメインモニターに三角形が並ぶシーンがあって、やっぱりそういう三角関係的な話なの???と思わず疑ってしまうほどでした。
ここまでの2曲があまり照明を動かさなかったのとは打って変わって、この曲では冒頭からレーザーがしっかりと動いていました。その動き方も単調な一方向の動きではなく、速いペースでレーザーを左右に振るのを基本として、方向転換をキュッキュッと素早く行っていて、キレのある印象が強かったです。このキレは冒頭のレーザーの動きだけでなく、メロに入ってからのゆったりとしたレーザーの動き、そしてサビ前で差し込まれる一瞬の鋭いレーザーの動きという緩急にも現れていたように思います。斉藤朱夏さんというダンスの本命を擁するデュオのお洒落なダンスナンバーという位置付け的にも、ユニットの特色を強く印象付けていく照明演出でした。
一つ気になったのは、レーザーの光の帯の中を模様が走るように見えたこと。ちょくちょく見る演出ではあるんですが、毎度毎度どういう原理であの見え方が達成されているのか、その仕組みが非常に気になります。
レーザー以外の照明は基本的にステージの色調を青に調整するところに注がれていました。また、使用されているゴボはここまでの2曲とは変わって、小さな白い光の点がたくさん映るものでした。ミラーボールを使って出した光と似たこの光は、単なる雪っぽい印象というだけでなくセイントスノーも連想させますね。
雪の演出ではもう一つ、こちらの曲でも画面に雪の結晶が降り注ぐエフェクトが画面に追加されていました。ルビまる曲ではウキウキするような印象の雪でしたが、ようりこ曲で見る雪の演出は一転して冬の人肌恋しさや物悲しさを思わせました。冬がくれた予感と似たような切ない気持ちが連想されて、同じ演出でも曲調や歌詞によって見え方がかなり違ってくるのが面白いですね。
4. 涙が雪になる前に
デュオトリオラストはかなまり曲です。こちらの曲の照明は再びシンプルなものに立ち返って、白を基調とした演出でしたね。画面上部にはオーロラのような光の帯がエフェクトで追加されていて、それが画面を単調にしないように色を添えていました。一方で、メインモニターと照明はほとんど白一色に近い状態で、曲名にも入っている雪の印象を強く前へ押し出していました。
ようりこ曲で使われていたゴボがここでも使われており、光の粒をステージ前方から後方へと動くように動かすことで、雪が降り注ぐような印象を作り出していました。同じ照明でも動かし方によって見えかたが変わってくるところは、さすがに観客を飽きさせないプロの仕事が見て取れます。
また涙が雪になる前にの印象的な部分はなんと言っても振り付けではないでしょうか。アニメのシーンをなぞるような振り付けに、誰もが画面に目を奪われたことと思います。直前のようりこ曲では最後の振り付けで曜ちゃんと梨子ちゃんの視線が交差しないように振り付けられていました。正直この振り付けを見た時には文字通り胸が締め付けられるような感覚に陥りました。これとは対照的に、涙が雪になる前にでは、一度は果南ちゃんがマリーのハグを素通りするものの、ハグする前の段階から互いの目を見て言葉を交わすように歌って、曲の終わりをハグで締めるという構成になっていました。かなまりならではの振り付けではありますが、直前の振り付けとの兼ね合いを踏まえるとより一層心に染み渡る振り付けだったなと思います。
ここまででデュオトリオの4曲を振り返ってみましたが、デュオトリオパートを一貫してつらぬく演出プランは、直前の曲の演出の一部を使うという点でしょう。1曲目から2曲目で言えばツルが巻いたゴボがそうですし、2曲目から3曲目で言えば画面に合成される雪のエフェクトがそうです。デュオトリオという少ない人数でステージに立つ曲であっても、リレーのようにAqoursの全員はつながっているんだなということがみて取れる演出でした。この点はライブ全体を通して受けた印象とも関わってきますので、これを頭の片隅に起きつつ、今度はライブ全体の演出へと視点を移していきましょう。
ライブ全体での演出
ここからは今回のカウントダウンライブを通しての印象について話していきたいと思います。
まず結論から述べておくと、今回のライブは「個として輝くAqoursとこれからのAqours」をテーマに、それぞれの夢へ邁進するメンバーを支える絆としてのAqoursという一つの回答を示唆したライブだったなと感じました。そしてその姿を通して、私たちに夢を追う勇気をくれるライブだったとも感じました。ここからは、セトリを追いつつ、それぞれの箇所の演出で自分がどう感じ、この実感に至ったかを時系列的に追いながら、ライブを振り返っていきたいと思います。
聖なる日の光という落ち着いた曲から始まったのが目新しかった今回のライブでしたが、既出の曲の照明演出という部分では、これまでのライブで披露した時との共通点が強く印象に残りました。例えば聖なる日の祈りで言えば、水色と白のレーザーをメインにこれを水平方向へ非常にゆっくりと動かす演出ですとか、ジングルベルは止まらないで言えば照明のメインカラーが赤黄色緑の三色で、これを左右に大きく動かす演出であるところです。使っている装置がムービングスポットライトからレーザーへと変わったというような違いはあれど、これまでのライブとの類似を感じる安定感のある演出がメインだったなと感じました。
ライブを楽しむという観点で言えば、これは決して悪いことではありません。ライブで頻繁に披露される曲の演出が似通っているというのは、一種の様式美がありますし、見慣れた演出からうける会場やキャストとの一体感は、今回のようなオンラインライブでは特に重視される要素だったかなと思います。
一方で、様式に偏りすぎると、今回のライブはどういうライブだったのかという印象が弱くなってしまって、ライブを作り上げる過程でスタッフの方々はこういう点にも非常に注意を払っているのではないかと思います。だからこそ、小さくても今までと変わったなという印象をライブの中で意識的に、あるいは無意識的に観客たちは探しているのだろうと思います。今回のライブで最初にこの小さな違和感を私に与えたのがHappy Party Trainの間奏部分の照明でした。
今回のライブでは、HPTの間奏部、具体的には果南レールが敷かれる前のところでステージ全体の色調をみかん色→桜色→エメラルドグリーン(順番は正直覚えていませんが)と言った具合にそれぞれのメンバーカラーで染め上げていく光の演出がありました。HPTの間奏部分にこれだけ意識を向けるのは初めてなので単純に覚え違いなだけかもしれませんが、これまではムービングスポットライトにメンバーカラー9色をあてがって、それぞれ色を切り替えながらライトを動かすような演出だったと思います。ステージ上の照明装置の一部のみがメンバーカラーを(しかも9色同時に)担当していた演出を、ステージ全体の色調の演出に変えてきた、という印象が強く残りました。
全体の色調をメンバーカラー単色に調整するというのは、ステージがそのキャラクターのものであると言っているようなものです。歌唱パートでメンバー一人が歌っている部分ならまだしも、9人曲の間奏部分でこれをやるのはかなり挑戦的な構成ではないでしょうか。そこから、今回のライブはAqoursというグループのライブであると同時に、高海千歌をはじめとするメンバー9人それぞれのライブであるという風に見せようとしているんじゃないかと考えました。
この推測を一歩確信に近づけたのが、デュオトリオ直前の幕間です。起こそうキセキを!の劇伴と共に光るイルカが会場を泳いでいたのが印象的な幕間でしたが、センターステージとその真上についたスポットライトもまたこの幕間の光の演出に参加していました。センターステージ周りに設置されたスポットライトは二本の光が交点を結び、それをリレーのように右から左へとつないでいくように動いていました。一方ステージ上部のスポットライトは全てが画一的に動いていて、地面に当たったライトの点を結んだ円がセンターステージの中央を中心として常に同心円になるように、ステージの周囲に集まっては外側へ散り、散ってはまた集まりというふうに動いていました。
光の交点は出会いの象徴だという話を4thライブの考察でも書きましたが、センターステージ周りの照明はまさにこの出会いとつながりを印象付けてくれます。Aqoursメンバーが出会いを経てつながって、それが一つの円を成している。それはまさに個として独立してなお強い絆として存在し続けるAqoursというつながりを思わせます。
ステージ上部からの光は、集い、そして各々の道へとまた散っていくスクールアイドルのあり方を思わせます。その集いは浦の星の生徒として出会い、Aqoursとして集い、そして卒業を経てまた散っていく彼女たちの姿に重なりますし、散っては集いを繰り返す光の動きには心の中での強いつながりや、あるいは毎年忘年会のような形で顔を合わせるといった姿と重なります。そうしてそれぞれのメンバーがそれぞれの新天地へと根を下ろした後もAqoursという絆があり続ける姿は、これからのAqoursというグループの方向性を暗示しているようにすら思えました。
この幕間の演出を受けて、それを曲の演出としたのが、先ほど記述したデュオトリオの演出となるでしょう。リレーの部分は直前の曲の演出プランを受け継ぐという部分に直結しますし、キモチもユメも一緒だね!の部分に書いたアクリルパネルのメンバーカラーなどは絆として存在するAqoursのあり方という部分に重なってきます。
Aqoursのこれからを思わせる演出は5thライブ以降の演出に特に顕著だったように思います。「新しい輝きへと手を伸ばそう」という歌詞と共にアニメラブライブサンシャインのグループとしてのAqoursに一区切りをつけ、それ以降の曲やライブでは今までになかった演出が盛り込まれている点が大きく目立ちました。またライブ演出以外でもFantastic Departureというタイトルをドームツアーのテーマ曲に持ってきたり、このタイミングで各メンバーのソロアルバムをリリースしたりという動きもありました。これらは一重に「新しいAqours」を印象付けると共に、これまでAqoursにかかりきりだったキャストたちがそれぞれの道へと進み始めていることを反映していたように思います。
デュオトリオまでの演出で私が抱いたこの印象を確信へと変えたのが未熟ドリーマーという選曲でした。小宮さんも言っていた通り、そもそもかなまりデュオの直後が未熟ドリーマーだというのはそれだけでかなり印象深いセットリストだと言えます。そこにさらに前述の視点を加えると、もう一つこの選曲に強い意図を感じることでしょう。未熟ドリーマーはアニメでの位置付けで言えば9人のメンバーが揃って初めて披露した曲。いわば、Aqoursというグループの始まりを象徴する位置付けの曲です。まだわからない未来に対して「でも楽しくなるはずだよ」と希望を述べる始まりの歌、それは物語としてのAqoursに区切りをつけて新たな一歩をまさに踏み出そうとしている今のAqoursにぴったりの選曲でしょう。
曲を彩る演出という点で言えば、未熟ドリーマーはこれまでの演出をしっかり踏襲した、いわば様式美の演出でした。であるにもかかわらず、ご存知の通りこの曲の後半ではメンバーそれぞれを模した反物の帯がモニターに映し出されます。これまでのライブでは反物で揃えた統一感が際立っていたように見えたのに、今の視点ではむしろ色の違いに目がいって、別々の道を象徴したような背景に見える。視点が違うことで見え方が異なることを肌感覚で伝えてくる、痺れるような演出でした。曲の位置付け上、3年生がピックアップされる部分も多い曲ですが、こうした新しい道への旅立ちという視点で3年生を捉え直すような表現はしっかりと劇場版の内容も踏まえているように感じられて、曲の噛み合い方が神がかっていますね。
ここまでですでにAqoursの門出なんだという印象がしっかりついてきたところで、ダメ押しのStep! ZERO to ONEはもはや反則でしょう。モニターで2020→2021と映されているところとか、このダジャレみたいなセンスはめっちゃ好きでしたw しかしこのひょうきんさのヴェールをめくると、Step! ZERO to ONEもまた始まりの曲という要素を多く持っています。1stシングルのカップリング曲であり、Aqours 1st Loveliveのいわばテーマ曲のような存在であり、ゼロからイチへというAqoursの原点を飾る曲。それをこの門出のライブの、しかも新年カウントダウンの直前に持ってくるセトリ、端的に言って至上のセトリと言えるでしょう。
Aqoursの新しい一年が今まさに始まろうとしている、そんな強い期待を持たせて旧年を締め括り、ライブは最後の3曲へと向かいます。
新年明けて一曲目がスリリングワンウェイ、二曲目がMY舞☆TONIGHTでした。
観客を一気に最高潮へ持っていくスリワンのイントロ、そこから入る赤と白の照明は、ハードな曲の演出のお約束を踏襲しつつも、紅白で新年を祝い、ダイヤさんのカラーをしっかりと印象付けるものでした。
MY舞も紅白を基調にした照明でスリワンと統一感がとれていますし、ダイヤさんのソロパートもあって、1月1日のライブとしては絶対に外せない曲ですね。MY舞は衣装も和服をモチーフとしていて、曲調も和風ということで、メインモニターには多数の吉祥文様が映し出されていました。お正月と言えば吉祥文様みたいなところもありますし、縁起も良くて2021年本当にいい年になってほしいというスタッフからの願いが込められているようにさえ感じました。覚えている限りでも七宝、入子菱、菱万字は使われていました。この辺りはスタッフからAqoursへの祝福といった風にも解釈できそうです。
また、MY舞の2番で1年生が歌うAメロの部分だけ、メンバーアイコンをあしらったサークルが画面にエフェクトとして追加されました。未熟ドリーマーのところでこれでもかというくらい3年生を印象付けましたが、新年明けてからはこれからの未来が楽しみな1年生を印象付けていく。ちょっとした演出ではあるものの、改めてはじまりを意識させられました。
そして満を持して披露されるFuture light。
ここまでで新たな始まり、その道を突き進む情熱を見せてきたところで、歌い出しが「心は希望だらけさ」なのが強すぎる。2020年コロナがあって、ライブも中止になったりして、先行きの見えない不安を覚えた人が多数いたことでしょう。私もまたその一人です。その一年をやっと乗り越えたところで「心は希望だらけさ」なんて言われてしまったら、こっちも負けてられないなって思っちゃいますよね。
曲中の照明演出はHPTと同様にメンバーカラーで会場全体を染め上げる演出。メインモニターにはその時その時のパートを歌っているメンバーのアイコンが現れていました。そして歌う人数が複数になると、会場の色とモニターのメンバーアイコンも複数になる。ここにきて初めて、メンバー同士が手を取り合って舞台へ上がることを印象付ける演出を持ってきました。
ここで意識に登るのは、やはりデュオトリオ前の幕間にあった「光の交点をリレーする照明」でしょう。モニター上のアイコンが二つになった瞬間に、納得感にも似た感覚を覚えました。Aqoursのみんなは仲間なんだと。これからは互いに助け合いつつ、それぞれの夢を紡いでいける存在になったんだなと。「アニメ一期放映当時、学年間の絡みが少ないみたいな話あったなあ...そこからここまで仲間として互いを支え合えるグループに成長したんだなぁ...」なんて、少し懐かしい感じさえしました。
Future flightの照明演出はステージから伸びる多数のレーザーも目をひきました。水色のレーザーを使った演出は数あれど、この文脈で真っ先に浮かぶのはMIRAI TICKETの演出でしょうか。4thライブの時、Aqoursシップを中心に広く伸びていく無数のレーザーに、彼女たちは何にでもなれるし、どこへだっていけるんだという強い可能性を感じたのを覚えています。今新たな始まりにたった彼女たちの立つステージから伸びる無数のレーザーはあの時とはまた違った夢へと伸びているんだろうと感じさせました。また、レーザーの差す方向があちこち変わる様子は、「次は何をしようか」とワクワク感を胸にいろいろ考えている様子を想像させてくれます。そういった心躍る感覚もまた、この曲がもつ躍動感をさらに印象深くしているのでしょう。
こうして振り返ってみると、Aqours初のカウントダウンライブは、まず第一にこれからのAqoursの新たな一歩をさらに強く印象付けるライブだったと言えるでしょう。そしてそれと同時に、感染症の世界的な流行という時勢で下を向いてしまった人々にまた上をむかせるようなライブだったなと思います。私はこのライブを通して、Aqoursのみんなに「私たちは先へ進むよ。あなたはついて来られる?」と問いかけられたような気がします。
彼女たちが新しい夢を追うというのなら、私たちも負けていられませんね。答えはいつだって決まっています。「Yes!!!」と笑って返してやりましょう!!新しい夢を見たくなる、今回のライブは本当にそんな希望に満ちたライブだったなと感じます。そう所感を述べて、考察の締めといたします。
以上、長々と書いて9000字強、本当にお付き合いありがとうございました!
ライブ終わりの興奮と夜更かしの眠気でわかりにくい部分もあったかもしれませんが、少しでもライブ演出が面白いと思っていただけたら幸甚の至りです。
最後まで読んでいただき本当にありがとうございました。
LoveLight! Online!!アーカイブで楽しむSaint Snowの照明演出!
こちらの記事はSaint Snow 1st GIG ~Welcome to Dazzling White Town~ Day2のネタバレを含みますので、事前情報なしでライブを楽しみたいという方はブラウザバックを推奨します。
みなさま大変ご無沙汰しております。まさけです。この記事が初めてだよという方ははじめまして、まさけと申します。
本日11月8日は僕ラブ27の開催日でもありまして、読者の方の中にももしかしたらイベントに足を運んでくださった方がいるかもしれませんね。改めて僕ラブお疲れ様でした。
コロナウイルス感染症が世界を巻き込む大流行を起こす中、様々なイベントが延期、そしてやがては中止されていく中、ライブもその例に漏れずUnit Live AdventureがAZALEAの回を終えずしてやむなく幕を閉じてしまった時は私も大変心を痛めました。照明ブログを書こうにもライブがないので書くこともできないという日が続き、気がつけば最後の記事から9ヶ月あまりが経ちました。
そんな中、小規模ながらも開催をした僕ラブに参加するたび、以前刊行したAqours 4thライブのブルーレイと一緒に楽しむ照明考察本を手に取ってくれる人がいたことは、非常に大きな心の支えになりました。改めて心より感謝を申し上げます。
さて、未だコロナウイルスは猛威を奮っていますが、一方で感染拡大に配慮しつつもライブイベントが開催されるようになり、オンライン配信、アーカイブ視聴のような新たな鑑賞様式も生まれまして、ついにライブを見れるようになりました。アーカイブが視聴できるため、今回の私のように僕ラブなどのイベントとライブが被っていたとしても後から見ることができる、これは革新的だなと思う次第です。
そして何より、アーカイブで見られるのなら、旬なライブの照明演出を話しても後から確認できるじゃないかということに気が付きまして、今回久しぶりに筆を取りました。これまでこのブログを読んでくださった方々も、この記事から初めてこのブログに触れる方も、この記事を読んだ後にライブを再試聴することがあるならば、その時は自分なりの演出の解釈が形作られる喜びを感じていただければと思います。
少し感傷的に前置きを長くし過ぎてしまいました。本題の照明演出の話に移るとしましょう!今回はライブパートの中で特に印象的だった照明演出と自分の感想を、主に時系列順に話して行こうと思います。
1. Saint Snowムービー、からの登場
時系列順の序列第一位は登場シーンですね!すでにユニットライブ等でもお馴染みとなった登場時の期待感を盛り上げる演出。楽曲をアレンジしたサウンドトラックにセンタースクリーンの映像、そして照明。毎度毎度どのユニットも大好きなんですが、ギルキスとSaint Snowはここがめちゃくちゃかっこいいんですよね。
Saint Snowの今回の登場では、メインステージの階段上と階段下、それぞれの左右に設置されたレーザー装置から放射状に放たれた白い光が互いに交差して、パースのかかったアーガイルのような模様を作るんですが、これがめちゃくちゃカッコよかった。レーザーのくっきりして直線的な光ってとても硬くて冷たい印象を受けるので、Saint Snowのようなハードな曲を特徴としていて、名前に雪を冠するグループにはぴったりだと思うんですよね。例えるなら、雪の結晶が規則正しくまっすぐ枝を伸ばすような印象とでも言いましょうか。
そこからさらにピンクと水色の光を画面に足して、Believe Againを思いっきり意識させてきます。この配色が加わることでSaint Snowくるぞ!っていう期待感が高まりますよね。さらに掛け声に合わせてレーザーを点滅させる演出も加わって、ますます期待感を煽っていく。この手拍子や掛け声を煽るのは通常大光量のハロゲンライトなんかを使うよね〜と思いますが、ここをレーザーに変えてきたのは、新しさもかっこよさも両立していてとてもテンションが上がりました。
2. White Dazzling Town
セトリの一曲目、そして最後の曲でもあるわけですが、White Dazzling Townの照明も印象的でした。冒頭の照明の色が黄色と紫、それだけで、今までのSaint Snow 楽曲では使われなかった色だと思い、新曲という印象が一気に強まりました。この配色はMVのシーンの配色を意識していると思うので、もしかしたら紫についてはカメラの角度の関係でピンクのライトが紫に見えていたのかもしれません。
しかし、私はむしろ紫だった説を推したい。これは完全に自分の願望なんですが、ラブライブサンシャインのライブイベントで黄色と紫の組み合わせには心当たりがあるんですね。そうその通り、アニサマでやる青空Jumping Heartの照明の配色と同じなんです!青ジャンといえばアニメ一期のオープニングですし、アニサマは言わずと知れた大型ライブイベントですよね。今回のライブはSaint Snowの初めてのライブですし、観客を会場に動員した上でのライブです。だからこそ、物語のはじまりというイメージや観客の存在を意識づけられると、結びつけずにはいられないわけです。
冒頭以降の照明演出でいえば、サビのところで階段上からのレーザーが帯状に広がってステージへ照り付けていましたね。高い場所から打ち下ろすよようなレーザーはラブライブでは比較的新しい演出だと思っていて、ラブライブフェスの果林先輩のパフォーマンスでありましたね。そこでの経験を踏まえているところも過去のパフォーマンスとのつながりを感じて、ラブライブは途切れてなんかいなかったんだという気持ちにさせられました。
またサビ?の「始まれこの場所から」のところに来るとメインステージの前の際に置かれたスポットライトから黄色とピンクをメインにカラフルな光が放たれるんですが、この中に一筋、青色の光も混じっていました。一筋だけ青が混ざっているという光景は(私の記憶が正しければ)4thの想いよ一つになれで似たような演出があったなと思って、これまたステージにはSaint Snowの二人しかいないとしても、Aqoursの9人もまたステージ上の彼女らを応援し支えているんだろうという気がして、素晴らしい構成だなと思いました。
3. Crash Mind, Dropout
続いてはアニメ挿入歌よりこの2曲。どちらも赤、青、白の三色を基調とした配色で、Crash Mindではこれに加えてセンターモニターに映ったフレーム映像も加わった画面になっていました。赤青白はラブライブのコンサートでもよく使われる組み合わせではありますが、Saint Snowに関していえばSelf Controlの照明はアニメ映像の時からこの配色ですね。それゆえにSaint Snowが、もっといえば鹿角理亞が転機を迎えるAwaken the PowerやBelieve Again以前という印象が際立つ配色でもあります。今回の二曲はまさにそこを意識しての構成のように思えました。
しかしこの配色はハードな曲調の曲によく用いられている組み合わせで、Strawberry TrapperやLoveless Worldでも使われています。それもあって、特にDropoutとの相性が非常に良くて、Self Controlとの繋がりとかそういう部分を抜きにしても、シンプルにかっこいいという良さがありました。照明はあくまで盛り立て役。キャストのパフォーマンスの魅力を最大限まで引き上げることこそ第一目的であることを考えると、この配色は二重に構えられたとてもいい演出だと感じます。
4. Lonly Snow Planet
トークパートを終えての一曲目がLonely Snow Planetでした。この曲の照明は非常にシンプル。ほぼ貫徹して白一色。これは曲を聞かせる演出だと考えてもいいでしょう。実際歌詞がとてもいい曲ですから、非常に正しい選択です。ライトが動いたり点滅したりと、他に気を引く要素がないからこそ、歌詞の魅力が最大限引き立つというのは引き算の美学って感じですよね。
その上で、やはり白という色を選んだのには理由がありそうだとも思います。白のライトはいろんな解釈に繋がりますが、今回は読者の皆さんもすでに想像がついていることでしょう、すなわちこれから何色にでも染まりうる色としての白だと思います。歌詞を見れば、次なる世界、次なる未来、新しい私へという言葉が入っていますし、本を開く振り付けもありました。まさにこの照明の白は、そうした新しい世界に触れる直前の純粋に白紙の状態と言えるでしょう。
これにはやはり5thライブのことが関わっているのだろうと思います。劇場版の曲を惜しみなく披露した5thライブは、多くの人にとってAqoursというグループがアニメという一つの物語のくびきから離れていく印象を与えたことでしょう。そしてそれを裏付けるように、続いて発表されたユニットシングルではそれまでのユニット像を少し覆すような要素が混ざり、ソロアルバムの曲のPVではこれまでとは異なるクリエイターによる映像が付けられています。そして今回の1st GIGのセトリは常に始めと終わりの曲がDazzling White Town、これはユニットライブの時から作られた一種の型を踏襲していますから、このライブもまた新しいラブライブサンシャインプロジェクトの流れの中にあると見るべきなのでしょう。そのように考えると、私がかつてNew Romantic SailorsのライブにAqoursの新たな門出を見たように、このライブもまたSaint Snowというグループの新たな門出を象徴しているのだろうと感じました。
照明考察最後の曲はAfter The Rainです。Saint Snowの1stシングルをあまり聞く時間がなかったからこその解釈でもあるので、これについては読者の皆さんはまた別の感想を抱くかもしれません。
この曲は冒頭雨音から静かに始まりました。曲に入ると同時にステージ上のスポットライトから細い筋となって降り注ぐような光が印象的ですね。サビに入るとさらにそこにレーザーが加わり、扇状に広がる光が青や水色を添えて画面をよりカラフルにしてくれます。
そんな演出を前に、あまり曲を聞いていないことも助けて、私は曲の一番のあいだ素直にこれを雨の表現のように捉えていました。ステージ上部から降り注ぐ照明は雨を、サビで加わるレーザーの青はそこへ水や冷たさの印象を加えてくれる。Saint Snowにはめずらしいローテンポな曲調もあいまって、私はその静謐な雰囲気に引き込まれました。
しかしこの曲の照明もLonely Snow Planet同様非常に動きの少ない照明です。ゆえに歌詞が頭の中にスラスラ入ってくる。するとどうでしょう、先ほどまで雨と水に見えていた照明演出が、構成自体は全然変わっていないにもかかわらず、二番に入ると違って見えてきました。ステージに注ぐ細く白い光は、雨上がりに雲間から差す日の光に、サビで加わる水色は雲を突き抜けて澄み渡った空を眺めたような印象を与えてくれます。
雨はやがて止むもの。辛いことの後にはきっといいことがあるという歌詞のメッセージをまるで追体験したようでした。このメッセージは意識を鹿角理亞という人物に引き付けていきます。ルビィちゃんに最初にキツく当たってしまったこと、ひとり立ちしようと空回って、返って姉の期待に応えられなかったこと。アニメの中に描かれない人生の中でも、理亞ちゃんにはきっとたくさんの似た辛い体験があったことでしょう。その度にその雨を越えて一歩一歩成長してきた理亞ちゃんに想いを馳せると、彼女の中で聖良さんがどれだけ大きな存在であったか、そしてひとり立ちする今、彼女がどれだけ成長したかが窺い知れます。
構成自体が変わらない照明演出を人の体験に読み替えるのであれば、この演出は当時辛かった体験が、それ自体は何も変わらないはずなのに、時が経つことでそれもまた思い出になったりと見方が変わることを表したような演出だったと感じました。
おわりに
つらつらと書き連ねて、すでに五千字。皆様ここまでお付き合いいただき本当にありがとうございました。
Saint Snow 1st GIG ~Welcome to Dazzling White Town~ を概観して振り返ってみると、今回のライブは今までのSaint Snowの思い出を胸に、新たな躍進に胸を膨らませるライブだったなと感じます。それは上に書いた個々の曲での演出の積み重ねに他なりませんが、とりわけLonely Snow Planetが白一色に尽きたことが大きいなと思います。
1stと言っているんだからきっと2ndもある。そう信じて、これまで赤青白、水色ピンク白と染まってきたSaint Snowが、次は何色の景色を見せてくれるのかに期待して、これからのますますの活躍を願いましょう。
もしこれを読んで改めてアーカイブをみる方がいらっしゃったら、配信は11/15(日)の23:59まで、チケットの購入は同日の21:00までですので、お気をつけください。
改めて、最後まで読んでいただき本当にありがとうございました。この謝辞をもって締めの言葉にかえたいと思います。
それでは皆様また会う日まで、お元気で!