配信で見てもすごかった -R3BIRTHファンミライブ照明を振り返る-

こちらの記事はR3BIRTHファンミDAY2のネタバレを含みますので、回避したい方はブラウザバックをお願いします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 みなさんあけましておめでとうございます。最近はライブを見ながら思ったことをTwitterに投げて終わりにしがちなまさけです。

 

 本日1/23は中須かすみちゃんの誕生日であり、僕ラブ23の開催日であり、R3BIRTHファンミ2日目でもあるという特濃の1日でした。

 

 私も僕ラブには参加していましたので、もし読者の方で私のスペースに来てくださっていた方がいたら、あらためてここでお礼を。ありがとうございます!

 

 Aqoursの4th以来照明考察をちらほら書いて、照明考察本も3冊出して、段々と身の回りでライブ後に照明の話を耳にするようになって、嬉しい限りです。今回のR3BIRTHのファンミライブも当初見る予定は実はなかったんですが、僕ラブのスペースでファンミの照明がすごかったという話を聞いてしまって思わずアーカイブのチケットを買ってしまいました笑

 

 そんなわけでR3BIRTHファンミのライブアーカイブを見たわけですが、「ああここのことを言っていたんだろうな」と、ばっちりわかるほどに特徴のある照明でした笑 ライブのハッシュタグと照明を合わせてTwitterで検索してもちらほらとツイートがあって、それくらい印象に残る照明演出だったんだなと感じました。

 

 今回のブログではライブパートのソロ曲パート、決意の光から翠いカナリアまでの各曲の照明演出を一つずつ振り返ってみようと思います。それぞれの曲の照明演出で随所に異なるこだわりが散りばめられていたように感じます。それでは決意の光からいきましょう!

 

1. 決意の光

 ソロ曲一曲目は決意の光。2ndライブでお披露目済みのこの曲はトークパートとライブパートとの橋渡しとしてまさに適任と言えました。そんな決意の光の照明演出は2ndライブの時との違いが印象に残りました。

 

 2ndライブで披露された決意の光は静と動の対比を軸に曲の疾走感を押し出した演出でした。疾走感の部分とは、具体的に言えばAメロ前の前奏や間奏でレーザーがぶわっと扇を開くように展開したり、下手から上手へ向かってスポットライトの光が動いたりといった画面全体で動きを出す演出です。対照的に、曲がグッと静かになるAメロではライトをほとんど動かさないようにすることで静的な印象を作り出していました。この静と動の対比と疾走感が、栞子ちゃんの加入によって次の章へ物語が動き出すことを予感させ、また新しい一歩を踏み出す栞子ちゃんを印象付けていました。

 

 ファンミライブにおいてもこの静と動の対比や疾走感という演出の軸は受け継がれていました。いわばこの曲の良さですから、当然と言えば当然ですね。一方、前奏や間奏でスポットライトが下から上へ動いたり、桜の花弁がひらひらと舞う映像が差しこまれたりと前回にはなかった演出が見られました。下から上へという動きはスポットライトだけでなくステージを縁取るLEDにも同様の演出が見られましたね。これは純粋に「上を目指す」というメッセージと捉えて良いのでしょう。初披露時のテーマが「はじめの一歩」だとするなら、今回のライブで「上達」をテーマにするのは自然な流れですね。舞い散る花弁についても、桜の蕾が春の知らせであるならば、舞い散る桜は初夏の足音を予感させます。栞子ちゃんがスクールアイドルを始め、その中で技術の未熟さを感じ、それゆえにもっと技術を磨きたいという気持ちになるのはストイックな栞子ちゃんにぴったりです。そんな一面が今回の照明からは感じられました。

 

2. I'm still...

 疾走感から一転、暗めの青を基調に光量を落とした照明から始まったI'm still...は直前の曲との対比もあってかなり静かな印象でした。この曲を配信で見て真っ先に印象に残ったのは内田さんを正面からアオリのアングルで捉えた映像の画面です。これはきっと狙っていると思うんですが、この画面だと内田さんのちょうど頭上にスポットライトがきらりと輝くように映ります。まるでキャラクターの頭上に輝く一つの星といったように。頭上に輝く星で連想されるのは「憧れ」や「手の届かない存在」といったところでしょうか。決意の光で垣間見た「上達」のテーマがここに通じているのが絶妙なバランスですよね。

 

 モノローグのように綴られる歌詞と暗めの照明は夜に自室にこもっているような状況を連想させます。「眠れない夜」という言葉があるように、こうした状況は不安やもどかしさといった感情と容易に結びつきますよね。だからこそこの画面から感じ取れるものは自分の気持ちを抑え込んでいるような、どこか塞ぎ込んだような印象です。こうして「空と地上」「夜」「塞ぎ込んだ気持ち」といった要素をAメロBメロでの静かな照明演出を通してセットアップしていきます。

 

 そして積み上げた要素をサビで一気に転換する演出。感情が一気に込み上げる爆発力のある演出でした。光量は増して全体をより明るい画面へ、レーザーの色には青い光に緑を混ぜたより明るいシアンを使うことで、色の統一感を維持したまま一気に印象を明るくしました。この転換から「夜明け」や「気持ちが晴れる」といったことを連想した人も多いのではないでしょうか?塞ぎ込んでいた気持ちが晴れて事態が一気に好転したような印象を受けますよね。

 

 そしてサビの照明演出ではもう一点、スモークとレーザーの組み合わせがよかったですね。帯状に展開したレーザーがスモークの中を通ることによって、レーザー面に雲のような模様が出現していました。これによってAメロBメロで形成された「頭上の星と地上の私」という対比構造が取り払われて、「私」もまた星たちと同じステージへ立ったという物語が作られていました。2番のサビでモニターに映されていた雲上の青空の映像もこれと並行をなすものでしょう。「雲を切り裂いて空高くへ」という歌詞とも重なってこの歌に描かれた物語を強烈に印象付ける演出になっていたと感じました。

 

3. Toy Doll

 物語性に溢れたI'm still...とは対照的にこちらはスポットライトを動かし、ステージの色調を変え、ライトの点滅やハロゲンライトで観客を煽る非常に動きのある演出でした。

 

 I'm still...が静のステージだとすればToy Dollは動のステージだったと言えるでしょう。決意の光が1曲の中で用いた対比を2曲間の関係に再構築することで、統一感と変化をいいバランスで調和させています。

 

 そんなToy Dollは正統派ライブチューンといった照明演出で、ライトの動きで曲の疾走感を演出しつつライトの点滅を使ってビートを強調してメリハリをつけています。ここでの照明演出は曲への没入感や一体感を高めるのが目的ですので、物語性はあまり感じなくても問題ないですね。観客としてぶち上がれればそれが正解でしょう。

 

 あえてこの曲に物語性を付与するとすれば、Toy DollはI'm still...の続編としてこのライブでは位置付けられているように感じました。I'm still...をステージに上がるまでの物語だとすればToy Dollはステージに上って「なりたい自分」を解放している姿なのだろうと思います。あの瞬間の会場にはきっとミアテイラーが顕現していたと思いますし、そのように感じた方も多かったのではないかと私自身は思っています。

 

4. QUEENDOM

 ランジュちゃんの一曲目はQUEENDOM。曲が始まる直前、ステージの装飾だと思っていた宝石から放たれる煌めきに度肝を抜かれた方はいらっしゃいますか?私はぶち抜かれました。どうやったらあんな演出が可能なのかわからなさすぎて何度も一時停止をしました。

 

 色々見てみて立った仮説ではあるんですが、おそらくあれは宝石の形の装飾に対して外から光を当てて作っているんだと思います。アーカイブで冒頭の映像を確認してもらえればよりはっきり分かりますが、装飾から伸びる光の筋のいくつかが他のに比べてかなり長いのが分かります。このことから、おそらく会場後方からステージの装飾めがけて強く細い光を当てているという予想ができます。

 

 このように言葉で書いてしまえばなんてことないですが、これはかなりすごいことのように思います。装飾に差し込んだ光が中で反射して再びステージに姿を表すということは、実際の宝石と同じように光が装飾の中で屈折し、反射するように計算されて作られているということです。そう考えるとこのステージ照明は「宝石みたいな装飾」ではなく「宝石と同じ性質を持った装飾」であるということです。美術さんと照明さんの連携があってこそ可能になった演出と言えるでしょう。

 

 冒頭の照明で度肝を抜いたQUEENDOMですが、曲中の照明は大きく2パターンに分かれていました。AメロBメロで用いられていたのは主に紫〜青の色調に統一された配色でした。比較的おそめのBPMに合わせた動きの少ない照明ですが、所々色を切り替えたり光を点滅させることでビートの強調をしていました。一方サビでは色調をオレンジへと寄せより活動的な印象を作りつつ、レーザーとミラーボールによるゆったりとした動きを演出していました。

 

 この照明演出で強調されているQUEENDOMの特徴は「安定感」でしょう。一貫してゆったりとしたビートを刻むこの曲は自身を崩さず悠々と道を闊歩するような自信と余裕が感じられます。そんな「威風堂々」といった様がサビのミラーボールやレーザーの動きに現れているのではないでしょうか。特にミラーボールの動きはゆっくりですので、その余裕が感じ取れるかと思います。

 

 また、少し細かいところではありますがステージの一階部のスポットライトがスモークに向かって光の模様を投影しています。この模様は通常ステージの床面・壁面に投影されるものなので、この使い方はランジュ特有の使い方だといってもいいかもしれません。

 

5. 夜明珠

 こちらの照明もQUEENDOMと同様、安定感のあるビートに合わせてレーザーがゆったりと動いています。ゆったりと大きく動かして自信や余裕を演出するというのはランジュを演出する上での一つの軸になっていると言えるでしょう。

 

 演出上の軸は似通っているかもしれませんが、配色は大きく変えていますね。マゼンタやシアンの色のレーザーは上海の夜景を思わせます。QUEENDOMがオレンジの照明とレーザーで絢爛な印象を形作っていたのに対し、こちらはネオン街をイメージさせるような演出になっていました。これは「夜明」という文字からも連想を広げた結果なのでしょう。

 

 またQUEENDOMとの違いで言えばミラーボールの動く速さもこちらは速くなっています。こちらはもしかすると光の筋を動かすというよりもステージを見る観客に対してキラキラした印象をより強める働きを狙っているのかもしれません。「余裕」と「煌びやかさ」といった印象を強く押してくる演出には、皆の模範や憧れの対象でありたいという願望が隠れているのかもしれません。

 

6. 翠いカナリア

 ソロ曲パートラストは再び栞子ちゃんが登場し翠いカナリアを披露しました。

 

 この曲で印象的なのはサビで激しく動き回るレーザではないかと思います。この曲が持つ激しさや疾走感をよく表したような激しい演出ですね。みている側も自然とアドレナリンが出るというか、突き上げる衝動を感じます。

 

 一方でこの曲には1stの栞子にはみられなかった要素も見て取れます。それは例えばBメロで照明のメインカラーがマゼンタピンクになる点であったり、ミラーボールを使用している点だったりですね。さらには先ほどランジュ特有とした光の模様をスモークに投影する方法です。

 

 こうした他のキャラクターに見られる演出を取り入れている姿は、自身の殻を破ろうと努力する表現として捉えられるのではないかと思います。決意の光のなかで「上達」というモチーフを匂わせた栞子ですが、その努力が垣間見えるのがこの翠いカナリアの演出ではないでしょうか。これから栞子の曲の演出がどのように変化していくのか、それを見守ることで、栞子ちゃんの成長の一面を照明演出から感じ取れるように思います。

 

 

以上、ファンミライブのソロ曲パートを振り返ってみました。

実はこの記事を書いてる現時点で私はまだランジュちゃんやミアちゃんのストーリーをほとんど追えていないので、もしかしたらスクスタストーリーを踏まえると異なる解釈になるところもあるかもしれません。そんなところがあったら、ぜひ皆さんもご自身で考察してみてください。きっとライブの楽しみが1段階深くなることと思います!

 

それでは今日はこのあたりで。またどこかでお会いしましょう!