セトリと合わせて考える照明 ~Aqours 5th Liveのテーマと照明演出をマクロに振り返る~

この記事はAqours 5th Liveのネタバレと照明演出への妄想が多く含まれているので、回避希望の方は適宜ブラウザバックをお願いします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、本業にしばらく追われていたのですっかりこちらの編集を放置してしまっていましたが、今回のライブもとても良い内容でした。私自身はライブ中どうしても高揚感にとらわれてしまってあまり感極まって泣いたりはしないんですが、その分ライブが終わったあと数日くらいはBelieve AgainやBrightest Melodyを聞いては照明演出やらそこまでの物語やらが頭に浮かんでは急に泣きそうになったりしていました。

 

 今回のライブでは全体を通して照明演出を見てみようと初めてライブ中メモを取るということをして見た訳ですが、セトリと合わせて考察した結果セトリの方が中心になってしまいました。ということで今回は「ライブのセトリがエモすぎる」という内容を中心に「照明がエモいセトリとどうリンクしているか」という話をできればなと思います。

 

5thライブのテーマ 

 照明演出の前に今回のライブのテーマについて少し考えて見ましょう。まず劇場版公開の後のライブですから、今回の目玉曲は何と言っても映画曲ですね。中でもNext Sparklingはライブタイトルにもなっているくらいです。ラストを盛り上げる曲ではなくしっかりと演出するこの曲で締めるという構成は素晴らしいですし、だからこそこの曲が残した強烈な余韻がライブが終わった後も会場を捉えて離さなかった、ライブから数日空けても私の心を離さなかったのだろうと思います。

 

 そしてこれとは別にもう一つ今回のライブテーマとして、私自身は「Aqoursの歩みを振り返って、そして君も夢を追え!」という強いメッセージを受けたように思います。このメッセージを感じた一つの手がかりとして、ライブのセトリがあります。

  • 1.僕らの走ってきた道は…
  • 2.スリリング・ワンウェイ
  • 3.青空Jumping heart
  • -MC(コーレス)-
  • 4.SKY JOURNEY
  • 5.Daydream Warrior
  • -幕間アニメ-
  • 6.逃走迷走メビウスループ
  • 7.予測不可能Driving!
  • 8.Marine Border Parasol
  • 9.ハジマリロード
  • -幕間アニメ(劇場版ダイジェスト映像)-
  • 10.Hop? Stop? Nonstop!
  • -幕間アニメ-
  • 11.恋になりたいAQUARIUM
  • 12.君の瞳を巡る冒険
  • 13.未来の僕らは知ってるよ
  • 14.SELF CONTROL!!
  • 15.Believe again
  • -幕間アニメ(劇場版ダイジェスト映像)-
  • 16.Brightest Melody
  • 17.Over The Next Rainbow
  • -MC-
  • 18. ホップ・ステップ・ワーイ!
  • EN1.卒業ですね
  • EN2.Guilty!? Farewell party
  • EN3.サクラバイバイ
  • -幕間アニメ(劇場版ダイジェスト映像)-
  • EN4.Next SPARKLING‼︎

こちらは1日目のセトリですね。「このタイミングでこの曲!?」みたいなことが1日目結構あったので、2日目の会場へ向かう道すがらなぜこのセトリだったのかをぼんやりと考えていました。そこで最初に思ったことですが、「僕らの走ってきた道は…」「スリリングワンウェイ」ってそのまま文として噛み合っているじゃないか!と。そこで、実はMCや幕間を境界線にしてそれぞれのセクションでまとまりを作っているんじゃないかと。そしてそれをつなぎ合わせるとライブのテーマが見えて来るんじゃないかと。

 

 そのように考えてみると最初のセクションは僕ら(Aqours)が走ってきた道はスリリングワンウェイだったということになります。スリワンのサビには「止まらないよ 溢れそうな思いは。誰かのためじゃなくて自分勝手なパッション」「めちゃくちゃな願いを 誰もが隠してるよ 自分勝手にレッツゴー」とあります。他の誰でもない自分だけの願い、それを一言で言うのであれば「夢」という言葉がピッタリでしょう。ここに追い風を加えるように青ジャンが「見たことない夢の軌道、追いかけて」と歌い出します。つまり一番最初のこのセクションでは夢を追い始める時の高揚感や夢を実際に追いかけ始める時の熱い気持ちを表現していると言えるでしょう。「輝きたい!」そんな高海千歌の夢からラブライブサンシャインの物語は始まりました。この始まりはラブライブでの「叶え!みんなの夢!」という台詞も同時に思い出させます。ここからはAqoursの辿った夢の軌跡と夢を追う人たち一般によくあることを念頭に置いて続きを見ていきましょう。

 

 さて、高海千歌一人の夢、そしてAqoursの物語に関わるキャラクターたちの「夢の軌道」を描くアニメシリーズにおいて、その夢が壁に直面する部分がアニメ2期で描かれていきました。MCの後のSKY JOURNEYとDaydream Worrierはここに対応していると考えてよいでしょう。冒頭の「どこから来たの?ずっと遠くから!」そして2番の「どこを目指すの?もっと遠くへと」という文言はまさに道半ば、しかしまだ自分が至らんとする場所にたどり着いていないイメージへと聴衆を誘い込みます。しかしこの前向きな言葉とは裏腹に、サビでは「胸に確かなもの持ってたらそれだけでなんとかなるって なぜ優しく語れるのだろう」と歌います。「すぐにここから次の場所へと旅立つだろう」の部分では夢を追う中で次第に迷走していく姿が如実に浮かびます。自分のしたいことやりたいことを追い求める中で道に迷うことは誰しも経験のあることではないでしょうか、そうした背景を自分も持っているからこそこの歌はとても心に刺さりました。そしてDaydream Warriorでは「夢は夢でしかないと 嘆きの果ての運命は変わらずに今はlost love」と歌います。所詮夢は夢だと、諦める人の多くが口にする言葉が出て来ます。このあたりからも夢を追う途中で困難に直面しているイメージが強く湧くことでしょう。ちなみにこの曲で夢とは別に「恋人・想い人」というモチーフが出て来ますが、恋人のポジションに夢をいれてみると、これも少しあとになって効いて来ます。

 

 さて幕間アニメを挟みまして逃走迷走メビウスループという曲で先ほどのセクションのテーマを引き継ぎつつ、曲調を明るいものへと変えていきます。夢との恋路がうまくいかない時、人は諦めを選択しそこから逃げることもあるでしょう。しかし自分が夢を諦めても夢の方は簡単に諦めてくれたりしません。かつての夢がしばしば脳裏に浮かんでは諦めたのだと言い聞かせて夢から逃げる。この様子は裏を返せば自分が夢を諦めきれず心のどこかでそれを追い続けているという関係性を反映しているのではないでしょうか。こんな逃げたり追いかけたりといった様子は「追いかけられてるはずが 追いかけてるのかも本当は」という歌詞にぴったりですね。また「本音ってばあついね」という歌詞が、SKY JOURNEYの「あついよ」と呼応して夢への渇望をここで再び思い出させてくれます。

 

 メビウスループに続く学年曲3曲では共通して見られるテーマがあります。「夢があったらdriving」「迷いながらdriving 望むところさ」と歌う予測不可能Driving!、「水の中揺れる太陽 捕まえたつもりでもキラキラこぼれてしまう」「僕らの夢の色は変わっていくと気づいた」と歌うMarine Border Parasol、「ハジマリとオワリの線など引けないよいつのまにかまた始まる」「駆け抜けたがる僕らはどこへ」と歌うハジマリロード。これら3曲はどれも夢が固定的なものでないこと、だからこそどこへ向かっているのかわからないことが決して迷走ではないこと、そしてそれこそが自由であるということだと歌っていきます。これはすなわちSKY JOURNEYの部分で出てきた「迷走」というあるべきではない状態を「自由」というあるべき状態であると塗り替えているわけです。夢を追いながらも自分のあり方に悩む人たちのネガティブな気持ちを、それこそ夢に近づくためのあり方だとポジティブなものに捉え直していくわけですね。

 

 そこに綺麗に追い討ちを入れるのがHop? Stop? Nonstop!です。「ミライはイマの先にある それには自由な翼でFly away!」と歌うこの歌は映画の中で鞠莉が自分のやりたいことを母親に認めてもらうように歌う曲です。やりたいことを自ら追うのだと、そのためには前セクションで出てきた「自由」が必要なのだと訴えていきます。学年曲のテーマの後に聞くと映画での役割とは別にAqoursの夢が私たち聴衆の夢へと繋がり広がっていく様子が眼に浮かぶようですね。

 

 幕間を挟んで恋アクから君の瞳をめぐる冒険へと、そして映画曲へと繋がります。恋アクに関しては正直「道ができていく」という部分が欲しいのかなくらいに思っています。曜ちゃんソロにできるヨーソロードを自分の道が拓けていくイメージと重ねているのかなと思います。この道ができる演出はDay2の果南レールも同様ですね。一方君の瞳を巡る冒険についてはDaydream Warriorの時に立てた「恋人、想い人」のモチーフが活きてきます。「謎はいつも目の前で違う場所を開く、謎を解いてこのセカイであそぼうよ」「僕は君を見てる 君の目に僕を映してよ」「見つけたの言葉を待ってるよ、早く探してよ」これらの文言を含む君の瞳を巡る冒険の歌詞は夢から私たちに語りかけていると考えると、これまでのセトリとぴたりと符合する点が多く出てきます。目の前で違う場所を開くからこそ私たちは迷ってしまう、夢を夢だと諦めてしまう。それでも夢が私たちを追ってくるのは夢が私たちを見ているからなのでしょう。デイドリで片思いのように見せかけたところを君の瞳を巡る冒険で両想いへとリフレームしていく。その間にある謎が人と夢とをすれ違わせてしまうというメッセージを発しています。だからこそこの次の曲が未来の僕らは知ってるよなのでしょう。「夢のカタチをさがして」いる私たちに「未来の僕たちは答えを持っているはずだから、本気で駆け抜けて」と伝え、その答えとはすなわち「We got dream」だと強いメッセージを投げかけてくるのでしょう。「君と夢との出会いは果たされる!」と強く私たちの背中を押してくれるのがここまでの流れです。ちなみに君の瞳を巡る冒険はDay2ではMy list to youになるわけですが、こちらも未来に会うべき想い人へ語りかけるという要素は引き継いでいます。ただ語りかける強さは君の瞳を巡る冒険の方が強いように個人的には感じますが(笑)

 

 ここまでで打ち立てた「あなたの夢を追え!」というメッセージは劇場版曲へとつながって、映画でのメッセージの「やってきたことはゼロにはならない」「明日は今日より夢に近いはずだ」という映画のテーマへ合流していきます。このようにまとめると今回のセトリは安直にアニメシリーズでの曲をたどるのではなく、それでいてこれまでのAqoursの歩みと夢追う人たちのイメージを重ねて映画曲の希望のイメージを最大化するように構成されていたと言えるでしょう。Aqoursの物語が必ずしも一筋縄にはいかない夢のあり方を描く作品だったからこそ伝えられる「うまくいかない時があっても夢を追い続けることの美しさ、尊さ」というメッセージを、そしてこのような文脈を事前に立てているからこそ「新しい輝きへと手を伸ばそう」というメッセージが最大限聴衆に響くように構成されたライブだったのかなと思う次第です。

 

各セクションでの照明演出

 セトリを眺めている時に考えた構成の素晴らしさを語っただけでかなり文字数が多くなってしまったのですが、各セクションでの役割と照明演出におけるモチーフとの対応を見ていくにはどうしても欠かせないのでお付き合いいただきました。ここからは照明装置の動きだったり壁に映った光の模様の動き方を中心にセクションテーマがどのように表現されているかを見るとしましょう。ここで記述する照明の演出はDay2でメモを取ったものなのでセトリはDay2のものとなります。

 

 まず最初のセクションですが、ここでの照明の特徴はライトを固定して光の軌道は動かさずに曲のリズムに合わせて照明を点滅させたり色を変えて照明に変化を生み、ステージ上のLEDライトの方で動きを出していました。ステージ上部についたサスペンションライトや床や客席の位置にあるコロガシのようなライト(ここではフロアライトと呼ぶとしましょう)が曲中で回っていたのは青ジャンでの間奏くらいでしょうか。このような「直線的」「固定的」といった印象の照明演出は「ワンウェイ」の文字によく現れるような迷いのなさを強調しているように思えます。まさに夢に向かってまっしぐらな頃の象徴的な態度を意識した演出だったのではないでしょうか。

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特に資料を参照してないので造形はイメージです


 

 この直線的だった照明演出はSKY JOURNEYになると一変します。SKY JOURNEYの照明はサビの部分でサスペンションライトとフロアライトを大きく回して演出していました。実はこの時ステージにつけられたモニターでは矢印がぐるぐると回るような映像がカメラ映像に上乗せされていました。この二つは「堂々巡り」「同じところをぐるぐる回って先へ進めない」というイメージを強調します。2つ目のセクションは夢の道半ばで迷う部分であることを考えるとここを照明演出に組み込むことは非常に納得いきます。Daydream Warriorは曲調自体がとてもハードで直線的な照明イメージと相性がいいです。このためサスペンションライトやフロアライトは固定で演出されていました。しかし、キャストがセンターステージへと移動した後、センタステージの縁のLEDライトがセンターステージの周りをぐるぐると回るように光を回していました。(下図参照)またステージの方から目をあげるとステージを囲うようにスタンド席上部に設置された照明ブースから大きな円を作るようにライトが飛ばされていたのも印象的でした。下図では客席の方から見たイメージでしか描けませんでしたが、5thライブの会場ではスタンド席の奥の方に照明棟が組まれていて、スポットライトと細い光を出せるライトが4つ備え付けられていました。ちょうどこの照明棟が会場をぐるっと囲むように合計10棟設置されていて、下図のように細い光を各棟から左右に飛ばすことで全体として大きな丸を作っています。このように2つ目のセクションでは円のイメージが照明演出に取り込まれていました。

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客席上部のライトとセンターステージを縁取るLEDライトのイメージ

 

 さて逃走メビウスループの照明に関するメモが全く残っていないのですが、予測不能DrivingについてはAメロの時点でサスペンションライトをサーチライトのようにあちこちへと動かしていました。このサーチライト様に動かす照明演出はMarine Border Parasolとハジマリロードでも使われていました。ここまでは直線と円という規定された動きであったのに対し、サーチライトはどの方向を照らしているのか定まらないという動きです。これは3つ目のセクションで描かれる「自由」を象徴しているのでしょう。どこへ行こうか決まらないけれど、ただの迷走ではなく次行く先を探すという積極性を伴う行為がサーチライトから感じ取れますね。メビウスループから始まるこの3つ目のセクションでのテーマが「迷走→自由」というイメージの刷新であることを考えると、この積極性という違いをしっかりと照明演出に反映させてくるあたり仕事の堅実さが伺えます。

 

 Hop Stop Nonstop!はまた考察に使えそうなメモが全然残っていないのでどのような演出だったかしっかりと思い出せないのですが、その後に披露されたHappy Party Trainではサスペンションライトを回す演出から固定する演出へ変えるのを曲中で行なっていました。この次のMy list to you、未来の僕らは知ってるよでもサスペンションライトを固定した演出をメインに行なっていました。これは回転→固定という演出ですが、ちょうど1, 2番目の照明演出の逆になりますので迷っているところからまた再び夢を見据える状態への変化を示唆していると考えられるでしょう。このセクションはここまでのセトリを映画曲中心の部分へと接続するところなので、「夢を再び追い求める」という演出は映画曲への接続部としてはぴったりではないでしょうか。しかも、セトリ上このセクションでは迷いなどを乗り越えた後での夢を見据えられている状態と考えると、夢はおそらく叶ったのではないかと思えてなりません。というのももしまた探しているのであればサーチライト的な動かし方を使えばいいからです。そこをわざわざ直線のライトを使っているということはしっかりと夢を見られている、自分の進むべき場所がしっかりと見えていることの表れなのではないでしょうか。君の瞳を巡る冒険の目線で捉えるなら、自分の瞳に夢を映すことができた状態だと捉えられます。だからこそみら僕のラストに現れる「we got dream」という歌詞にさらなるパワーを上乗せして、夢は叶うという強いメッセージを生んでいます。

 

 こうして「夢は叶うよ」というメッセージを焼き付けたあと、ライブは映画曲と全巻購入特典へと移ります。別れはあってもそれまでの軌跡は自分の中に残っているというテーマを映画曲で導入し、それぞれの特典曲で卒業を明るく彩っていきます。この辺りは映画の大きなテーマと重なりますし、映画の追体験的なセクションと考えていいでしょう。そして最後にNext Sparklingで「明日は今日より夢に近いはずだよ」、さらには「止まらない 熱くなって 新しい輝きへと手を伸ばそう」と歌ってライブを締めくくるわけですね。この「止まらない 熱くなって」のあたりは冒頭のスリリングワンウェイと重なる訳で、新しい輝きとは新しい夢と解釈できるでしょう。この部分で改めてMarine Border Parasolの「夢は変わって行く」やBrightest Melodyの「新しい夢、繋がってくんだ」という部分が頭に浮かびます。以下無限ループって感じですね笑

 

 まとめ

今回はセトリの解釈を中心にそれに沿う形で照明がどの様に演出に利用されていたかをたどってみました。ライブから時間が経ってしまって覚えていない部分も多い中拙い長文にお付き合いいただいた読者の皆様には感謝いたします。「以下無限ループ」と先ほど書いたのですが、新しい夢で同様のことを繰り返すということなので完全な無限ループではないことが大切ですね。これを書きながら思ったのですが、劇場版のパンフレットで酒井監督も「日常を繰り返している様で少しずつ変わっているということを表現したかった」とインタビューに答えていましたが、夢を叶えては新しい夢を追って、こうして人は成長していくのだろうと考えると今回の5thライブは酒井監督と同じ方向を向いていたのでしょう。そしてそのメッセージの一部でもこうして汲み取れたこと、またもし読者の皆さんがこのブログを読んで夢への希望を新たに持つことの一助になれたのであれば書き手冥利に尽きるというものです。私も夢に向かって突き進むぞという気持ちを強く持てたので、また少しずつ頑張っていこうと思います。

 

それでは皆様、また会う日まで……!!

 

 

おまけ

 ここからはおまけです!やっぱり曲の中で特に印象に残った最高の照明演出について語りたいという私の欲望をここで放出していこうと思います(笑)

 

 今回はBrightest Melodyの照明ですね、何と言っても壁面に投影した光の模様の使い方が良かった。そして香貫山からの朝日を普段観客を煽る時に使ってる大光量のライトでやっていることのわかりみが深かった。

 

 香貫山のシーンは映画でもかなり目立つ演出だったので印象に残っている方も多いのではないでしょうか。ちょうど衣装が変わるところですね。「衣装チェンジやばかった!!」と周囲のみんなが口々に発している中私は一人ステージ上部のライトを見て「うおおおおおおお!!!!!!!!」と叫んでおり、肝心の衣装チェンジの部分を見られなかったのが残念でなりません。Blu-rayはよ!!!!って気持ちでいっぱいです。しかし実はこの香貫山の朝日のライブ演出はライブ前に自分で予想していたのもあって、自分の考えた演出と実際の演出が重なった時の感動はひとしおでした。香貫山のシーンは中央モニターでバッチリ映っていたのですが、そこに妥協せず照明装置でも同様のシーンの再現をしようとする照明さんのお仕事には感服するばかりですね。

 

 そして大光量ライトとは別にもうひとつ、Brightest Melodyの照明演出では壁面に投影するライトが2種類使われていました。舞台照明で言う所のゴボネタってやつですね。ライブ中に壁面にライトで模様を投影すること自体は珍しくないのですが、私が覚えている限りでは2種類同時に壁面に投影したことはなかったので、何か演出上の意図があるのではと勘ぐって注目していました。

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Brightest Melody中で使用されていた壁面投影用のライトのイメージ

上図に示した2種類が2塁スタンド席の真上に使われていたのですが、Brightest Melodyで2種類といえばやっぱり3年生と1、2年生なのかなと思って見ていると、やはりそうなのではと思えるような演出が見受けられました。曲の1番では二つのライトは同じ動きをしていたのですが、3年生パートがない2番ではbメロのところで、壁面投影1のライトが止まっているのに壁面投影2はくるくると回っていたんですね。そこをみて壁面投影2のライトはもしかして1、2年生を象徴しているのでは?と思っていた訳です。やっぱりライトが静止していると「アクティブじゃない」感じがするんですよね。学校から卒業してしまえばOGになってしまう訳で、学校の生徒というアクティブな状態ではいられなくなってしまうんですね。そう考えると止まっている壁面投影1は卒業した3年生を、動いている壁面投影2は在学している1、2年生を表している様に印象づけられます。この後のサビでは壁面投影1も回っているので、歌っている人たちにある程度対応させた動きにすることでこの対応関係をより強固なものにしているなと感じます。

 

 そして間奏後の「輝いていたいんだこのまま進もう」の直後、3年生の3人が「Ah, どこへ行っても忘れないよBrightest Melody」と歌い始めるところで壁面投影1のライトが会場の左右へサッとはけたんです。「卒業した!!!!!!!!!!!!」と思いました。3年生が卒業しても一緒に過ごした時間は変わらないし、繋がりは消えないんだよな!!!サンフレなんだよな!!!!!と思ってそれはそれはハチャメチャにエモい演出だなと思いました。ラストのサビでは壁面照明1が再び2塁スタンドの上に戻ってきて、壁面照明2と一緒にくるくる回る演出が使われます。たとえ居場所が離れてしまっても、このBrightest Melodyがみんなの心を繋いでくれるんですねと、やっぱりサンフレなんだよな!!!!とこみ上げる感慨は今でもよく覚えています。映画の文脈だとどうしても1、2年生が「心はいつも3年生も一緒だよ」ということに気づいて前へ進む力を得られた曲として印象付けられてしまうんですが、3年生もまた3人別々の道を歩み新天地での生活に不安もあることだろうと思うんです。映画に映らなかった場面でもしかしたら3年生もまた各々の中に不安を抱えていたかもしれない、それでも前へ進もうという原動力は単に3年生同士の繋がりだけでなく、心では1、2年生もまた力を貸してくれるんだというところから勇気を得ているかもしれない。そんな3年生目線をサラッと照明演出に反映してくる照明さんめちゃくちゃすごくないですか!?!?僕はすごいと思います。

 

 映画のテーマを再構成している様に演出しつつ、細かい部分で映画の再構成にとどまらない演出を見せる照明さん達には感服するばかりです。やっぱり照明演出大好きです…。それと勢いで「サンフレなんだよな!!!」と2度も書いてしまいましたが、何のことだ?と思った方はぜひ4thライブのThank you, Friendsの照明考察を合わせて読んでいただければと思います。リンクを下に貼っておくので、気になった方はぜひそちらからアクセスして見てください。

 

masake.hatenadiary.jp

 

それではここで本当におしまいにしたいと思います。おまけまで付き合っていただいた方には改めて最後で読んでいただいてありがとうございますと謝辞を述べたいと思います。みなさんが「照明って面白いな」と少しでも感じていただければとても嬉しいです。長文失礼いたしました。

 

 

それではまた会う日まで、お元気で!!!