Aqours4thライブのテーマの視点からThank you, FRIENDS!!の照明を考えるお話

はじめに、この記事はネタバレを含むのでそちらを避けたい方はブラウザバックを推奨します。

 

 

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初めてこういうブログを書くのでこれくらいのスクロールで足りるのか少し心配ですが、始めましょう。

 

まずは4thライブお疲れ様でした!Sailing to the Sunshine!ってタイトル、サントラのJourney to the Sunshine!にめっちゃ似てない?って思っていたらまさかのオーケストラ参入だったり、想いよひとつになれではりきゃこがダンスに加わったりとオタク的にはかなり刺さる演出のオンパレードで正直1日目は過去一番に泣きました。また2日目の終わりの挨拶ではあんちゃんがカメラさん、美術さん、そして照明さんとライブを行うにあたって協力してくれているスタッフさんたちへの感謝を述べて会場からの拍手を送るなど、あらためてラブライブは「みんなで叶える物語」なんだなぁと強く感じることができました。5thライブやアジアツアーも決まり、劇場版公開も見えてきてますます盛り上がりを見せていくんだろうなという気持ちが絶えません。

 

そんな余韻がいまだに強いですが、こうして余韻が強い間こそ考察を書くべきなんだ!と初めてながら意気込んでおります。

 

さて、タイトルにも書きましたが、「Aqour4thライブのテーマの視点からThank you, FRIENDS!!の照明を考える」ということでこれからは下の目次に沿って話を展開していこうと思います。

 

目次:

1. 4thライブのテーマは何だったのか

2. Thank you, FRIENDS!!曲中での照明装置の動き方とその考察

 

3. 劇場版の内容と照明演出の関わり

4. おわりに

 

では早速始めていきましょう。

 

1. 4thライブのテーマは何だったのか

これに関しては他の方もおっしゃっているのでツイッターで見たなどのご意見あると思います。わたしもそういうツイートを見たり友人からそういう話を聞く中で確かにと思う部分に多く出会いました。

 

さてしかしここで結論から言いますと、私は4thライブにおいてはテーマが2つ設定されていたのではないかと考えています。

 

ひとつ目のテーマは「感謝とプレゼント」。この文言は私の友達からの受け売りです(笑)4thライブのテーマソングはなんといっても今回考察の対象にもなっているThank you, FRIENDS!!です。その歌詞の中には感謝の気持ちの言葉が散りばめられており、「人生にはときどきびっくりなプレゼントがある」とも言っています。ライブ内容で言えば聖なる日の祈りを歌う前のMCにあった「早めのクリスマスプレゼント」であったりNo. 10という曲であったりによく表れていると思います。また2日目のダブルアンコールではキャストの方々の多くが涙ぐんでいましたし、これはスタッフと観客からキャストへのサプライズプレゼントと捉えることもできると思います。MCでは1日目にはAqoursちゃんたちがキャストをドームへ連れてきてくれたという趣旨の発言があり、2日目ではあんちゃんがスタッフさんへの拍手を求めたところもやはり感謝というテーマにしっかりと沿っているなと感じました。このようにライブを通して「感謝とプレゼント」という要素は多く散りばめられているなと感じました。

 

ではふたつ目のテーマはとは何か、これは照明演出を考察していく中で浮かんできたものでもあります。それは「アニメ1期2期を俯瞰して物語を整理し、劇場版への橋渡しをすること」だと思っています。アニメ1期の後に行われた1stライブ、アニメ2期の後に行われた3rdライブでは主にアニメの中での展開に沿った振り返りの映像が流れライブのセトリもそれを意識したものになっていたと思います。それに対して4thライブでは幕間にアニメを振り返る映像が3度、浦の星交響楽団の演奏とともに流れました。1つめの映像では千歌ちゃんと梨子ちゃんの出会いに始まり各メンバーの加入回の映像が使われており、ここでは出会いの物語としてのラブライブサンシャインが描かれていました。2つめではAqoursメンバーみんなで海で遊んだり、練習をしたり作曲したり、あるいはAqours結成前にメンバー間でどのような関わりがあったかを描いた映像が集められていました。すなわちAqoursの絆の物語としてのラブライブサンシャインと捉えられます。最後はラブライブという大会にのぞむ競技者としてのAqoursの姿が0という大会の結果などを含めて表されていました。

 

このように各映像では1期2期をとおして観点別にラブライブサンシャインの物語を整理して、いわば物語の総決算をしていたと言えます。3rdライブツアーからあまり時間をおかない11月にライブを行ったことは映画の公開前にライブを行いたかったという意図があったのではないでしょうか。

 

上のように2つのテーマがあったのではないかと考えた上で、2つめのテーマを念頭に照明演出を見ていきましょう。

 

2. Thank you, FRIENDS!!曲中での照明装置の動き方

Thank you, FRIENDS!!で稼働していた照明装置は2つ、ステージの上や先端など様々に設置されたスポットライトとステージ装飾のふちどりをするように設置されたネオンライトのような細いライトです。この記事では便宜上前者を「ライト」後者を「ふちどりライト」と呼ぶことにします。

 

ではまずライトの方から見ていきましょう。

Thank you, FRIENDS!!はBPMもあまり速い曲ではなく落ち着いた曲調ということもありライトの動きは左右に大きくゆったりと動く、そんな動き方をしていました。しかしただ左右に動いていたわけではなくライトが動くタイミングをずらしてウェーブを作るように動いていました。この動かし方だけであれば曲調やBPMを考えればごくごく自然な照明装置の動かし方と言えます。しかしこの時の動き方は常にステージ側から見て右側(つまり観客席中央から見ると左側)のライトが常に動きの起点となるように動いていました。このように動かすと右から左へライトを動かすときは光が扇状に広がり見栄えとしても綺麗なのですが、左から右へ動く際には光が交差してしまって照明的な見栄えは劣ります。

 

そこでこの動かし方にはそれなりの意図があってのことではないかと考えて見ました。すると、ライト一つ一つをAqoursのメンバーだと考えたとき光の交点は出会いの象徴だと考えることができます。実際ライトは交点で重なる光の数が増えても交点の数は常に1つになるように動いていました。この点を踏まえるとますます光の交点はAqoursのメンバーが出会い集まっていく様を描いていると考えられるでしょう。さらに光の交点は観客席側からみてひだりから右へと動いていきます。左から右というのは我々が時間軸を書く際に常に左を過去に右を未来にするため方向自体がメタファーを持ちます。光の交点は左から右へ動くに連れ交わる光が増えるので、ここはAqoursのメンバーが時間を追って増えていく過程を示していると考えられるでしょう。では右に移動しきった光はどうなるかというと、今度は交点から一つづつ光が離れていきます。光の交点が出会いを示すのなら光がそこから離れることは別れを表していると捉えるべきでしょう。すなわち3年生の卒業です。3年生の次は2年生、その次は1年生と卒業していき各メンバーはそれぞれの道を歩んでいきます。同じ時を共有したメンバーがそれぞれの未来へと散っていく様はまさに扇状の照明にピッタリと当てはまるように思います。

 

ではAqoursの出会いはなくなってしまったのでしょうか?そんなことはありません。ライトから伸びた光を私は先ほどメンバーの未来と表現しました。では扇状に広がったライトの光を仮にライトの後ろまで伸ばしたらどうなるか?もちろん重なりますね。つまりAqoursの一人ひとりがそれぞれの未来へ歩みを進めはじめても過去での繋がりが永遠に彼女たちを繋ぎ止めてくれる、そういうメッセージをここの照明は伝えていたのではないでしょうか。この友情の永遠性はThank you, FRIENDS!!の歌詞にもEternal Friendsという文言に表れていますね。

 

こうしてライトが交点を結び、それが時間軸の中を進んでいく様はまさにAqoursが歩んできた軌跡とAqoursメンバーの関わりを表しており、それは千歌ちゃんがWonderful Storiesの中で「かがやき」と呼んだものでした。

 

ライトの方の話がかなり熱くなってしまいましたが、今度はふちどりライトのほうを見ていきましょう。

曲の前半ではふちどりライトは白い色をしているだけでした。しかし曲の2番がおわったあたり(少しうろ覚えです)から虹色にその色を変えます。ラブライブサンシャインの物語における虹と言えば、2期3話で予選会場から学校へ走るときに千歌ちゃんが「奇跡は起こるよ、だって虹かかかったから!」と言ったセリフが浮かびますね。では奇跡とはなんだったのかと考えた時真っ先に私に浮かんだのは1期1話で千歌ちゃんが梨子ちゃんに対して放った「奇跡だよ!」でした。ここからふちどりライトにおける虹色は出会いを象徴しているのではないかと考えました。

 

以上の2つを合わせるとライトは出会い、共に歩み、別れるけれども共に歩んだ時間(すなわちつながり)は過去になっても永遠に残る点を示し、ふちどりライトの虹色は出会いが奇跡であることを示しているので、この曲における照明演出のメッセージは「出会いは奇跡、歩んだ時間は輝きで、共に過ごした時間は別れの後も永遠にみんなを繋いでくれる」とまとめることができると思います。このメッセージはまさに先述した4thライブのテーマ2つめの前半「1期2期を俯瞰して」の部分に合致していると考えられます。

 

ここまでまとめることができたので、劇場版への橋渡しの部分を次は考えていくとしましょう。

 

3. 劇場版の内容と照明演出の関わり

Thank you, FRIENDS!!の曲中での照明演出については上に示した通りで付け加える点はありません。しかしライトの演出では3年生が卒業し、2年生と1年生が続いたあとの未来まで描いていると書きました。しかしアニメでは3年生の卒業というテーマはほとんど描かれておらず、照明演出が観客の知識を超えてしまっているように感じられます。しかしThank you, FRIENDS!!はアンコールで披露された曲で、私たち観客はすでに劇場版の内容について一部お知らせのコーナーで触れていました。PVでは3年生の卒業を前にAqoursメンバーそれぞれが動いていく様を描き出す旨の告知がなされていました。アニメで扱われなかった卒業というテーマは劇場版で取り扱われるんですね!そして卒業というイベントは必ず別離を含み、今まで浦の星女学院という一つの場所に集まっていたAqoursの関係性に変化をもたらすことでしょう。共に歩む時間が過去になる時、共に歩んだ時間という輝きという考えはどのようになるのか?この問いに対する解答の可能性の一つが照明演出には隠れているのかもしれません(これは希望的観測ですね笑)。

 

少し話がずれてしまいましたが、映画のテーマに卒業があることを考えると、4thライブのテーマソングであるThank you, FRIENDS!!の照明演出がメンバーの卒業まで視野に入れていることは頷けるでしょう。このように「アニメ1期2期での内容を整理した上で劇場版への橋渡しをする」という4thライブのもう一つのテーマをかんがえるとThank you, FRIENDS!!の照明演出はまさにこのテーマを体現したような演出だったのかなとおもいます。

 

4. おわりに

ここまで長いことお付き合いいただき誠にありがとうございました。初めての記事ということもあり読みにくかったところもあるかと思います。

 

照明の役割というのはあくまでパフォーマンスをサポートすることが主ですので上に書いたようなことがいつでも起きているわけではありません。私は照明の役割を(1)演者の周りを照らしてパフォーマンスを助けること、(2)特定の場所に光を当てて観客の注意を引くこと、(3)耳で聴くものである音楽にたいして視覚的な演出を通して表現を豊かにすること、(4)特定のテーマを照明装置を使って表現することだと考えています。主な役割は1~3で、今回のような記事を書けることは珍しいですが、1~3役割を照明さんがしているということ、その演出にライブ中に少し注意を割いていただければ、「みんなで叶える物語」としてのライブがより豊かになるかなと思っています。

 

今回の記事を読んで照明演出を見てくれる方が増えれば嬉しいです。

 

それでは最後に照明さんへの感謝の言葉で締めたいと思います。

 

照明さん、素晴らしい演出をありがとう!!!!!!!!!